(仮)耽奇館主人の日記
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2005年05月15日(日) 勃起する拳銃のこと。

かつて存在した画家、ピエール・モリニエには三つの情熱があった。
即ち。
絵画。
女。
そして、拳銃である。
私はモリニエがリボルバーを構えている写真を見たことがある・・・ロマンスグレイの老紳士が、唇を真一文字に結んで、ほっそりした腕をむっくりと筋肉で盛り上がらせ、肩からまっすぐに拳銃の銃口をぴんと伸ばしている様は、ダイレクトに勃起そのものを思わせた。
拳銃はモリニエにとって、ペニスそのものだったのだ。
肉体的にも、精神的にも。
拳銃への情熱は、彼の自殺方法にも活かされた・・・無数のポルノグラフィーに取り囲まれて、自らの頭を撃ちぬいたのだった。

そのペニスの代弁者としての拳銃を主人公に、私はBLものを書いた(完成は二十四日であった)。
執筆中の音楽は、執拗なまでに、スターリンの「バイ・バイ・ニーチェ」を繰り返し、繰り返し聴き続けていた。

バイ・バイ
だけど
大好きだから
もっと
遊ぼう

舞台は、戦時中の長崎。
軍人の息子である美少年が、地元の不良少年たちに強姦されてしまう。
そこで、父親の古い回転式拳銃を手に、次々と不良少年たちを射殺していく。
逆に、銃弾で相手を強姦していくわけだ。
だが、拳銃には欠陥があって、シリンダーと引き金がうまく噛み合わなくて、空撃ちしてしまうことがよくある。
しかも、弾薬がしけっていて、不発に終わることもある。
ガチッ。ガチッ。ガチッ。と引き続けて、いきなりドキュン!と。
このへんが、勃起した初々しい少年のペニスと同じように重ね合わせて、表現していく部分だ。
そして、撃つ側と撃たれる側。
死で結びつきあう深い絆。
ゴツイ体格のリーダーが、美少年の拳銃で撃ちまくられながら、次第に「女性化」していく様。
死に至る快楽のなかで、リーダーは美少年に愛を告げる。
その愛に、拳銃そのものはどう応えるか。
こんな感じで、私はほとんどトリップしながら、一気呵成に書き上げた。

拳銃そのものの、勃起、挿入、射精の表現に、BL読者たちはいかなる反応を示すだろうか?

僕を川へ・・・
そして海へと押し流そうとする
押し流されてしまう前に・・・

向こうの世界に流されてしまう前に
向こうの世界に流されてしまう前に
向こうの世界に流されてしまう前に

僕をしっかり捕まえてくれ
僕を犯して、吸いつくしてくれ
そして
おまえをしっかり撃ちぬいてやる
おまえを殺して、魂を呑み込んでやる

少年たちは深い海の底へ沈みやすい
少年たちは深い海の底へ沈みやすい

深い海の底で
僕たちは・・・

この作品は、依頼者の発行する同人誌に掲載されますが、今秋開館予定のHP「耽奇館(仮名)」の作品置き場に所蔵される予定なので、そちらで読むことが出来ます。
今日はここまで。


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