ちょっとだけ写真をいじってみた いちばん気に入っている 朽ちたベンチのスカートをとった日の およそ20枚あまり のきなみ彩度を落としてあるので それを少し上げて 逆に明度を落としてみる
その後実物を手にしながら色の調節 しょせんはどういじっても 実際の色とは違うけれど それなりにここという一点が じぶんの中で決まって行った 以前のモニターでの補正作業 その感触を思い出そうとするのだが どうもうまく行かない
いくつかは無理やり 決定したものの 戻って改めて見てみると またいじりたくなる この程度の決まり方ではたぶんキリがないので やっぱり時間を置こうと思った 納得が行かないままに進むと 結局またやり直しになるのだから
それで 気分を切り替えようと 次に作ろうと思っている チャイナワンピースに向かう 正確にはチャイナというより モンゴル風の打ち合わせにしたい もうこれは型紙なしでは無理なので 初めてお手本ありの作業になる
パターンはもう作ってあるので 後はそれを解いた着物の生地の どこに配置して切るかというところ ここまでは簡単だったのだが 結局生地のいいところだけを取ろうとすると どうしても身頃二枚では足りない 少し茶けたあたりも含めて 果たして売り物になるかどうかが難しい
他にも同じような形にふさわしい柄の 着物があるのだけれど どうしてもこれが捨てがたい ちょっと紫がかったピンクの地に 所々薄い色の花が 手まりのように集まっている柄 他の着物の生地を足して補おうにも この色を引き立たせるようなのが見つからない
ひょっとしたら ただ試作品としてだけの作業になるかも いつもいつも 売れて初めて報われるということが 錘のようについて廻る だからせかっく使った労力が そこに繋がらないことがなにより怖い けれどそれはコントロールできないことなのだ
じぶんのちからでできることは ものを作って写真を撮ってアップするまで そこまでの過程の中でわたしは自由だ もちろん仕上がりには限度があるけれど そのどこで納得するかも自分次第 だったらせめてその自由を できるだけ享受していたい
そうしてとことん楽しんだら 初めて自分のコントロールの及ばない所へ 手放すことができる 誰かのためではなく まずはわたしのためにある今の過程 繰り返し反芻することが とても大切だからこそ いちどクリアしたかに見えるものも また形を変えて戻って来るんだろうな
牛の歩み 迷わずどっしりとそうありたい 自分の不器用さを全て愛してあげよう
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