Shigehisa Hashimoto の偏見日記
塵も積もれば・・・かな?それまでこれから


2005年04月08日(金) エンターテインメント近況

a.たけしと志村けんが久しぶりに共演したコント特番が放送された。両者をコメディアンとして好意的に見ており、かつ「タケシムケン」のファンでもあった私としては期待せずにはいられなかったが、視聴後の感想ははっきり言って芳しくない。何といってもコントの切り口が古すぎるのだ。しつこいほど繰り返されたエレベーターのギャグなど、「だいじょうぶだあ」時代の志村の悪い癖がそのまま残っていて、見ている途中90年代初年に飛ばされたかのような錯覚に陥ってしまった。
確かに今のお笑い界の風潮は酷い有様だが、だからといって過去の世界に閉じこもるかのようなコントを現在進行形で作ってもらっても困るのである。目指すべきは調和と破壊を繰り返す新しいコントであるが、幸いなことに二人とも体のキレ・喋りのテンポが決定的には衰えていない。今回を良い教訓と考えて、是非とも次の一手に期待したい。

b.小林信彦の著書「小説世界のロビンソン」を入手した。その名の通り、(洋の東西を問わない)小説を巡る随筆で、彼らしい”コダワリ”が全編に満ち溢れている。
小林は知識の埋蔵量と、彼自身が興味を持っている対象にあたり、いかにそれが魅力的であるかということを分析的に記述する能力に長けているが、その内容の真贋は怪しいものだし、彼自身が執筆した小説はどれもレトリックが酷いので、まあ話半分ぐらいの気持ちで読むのが丁度いいかな、と考えている。

c.ゲームの雑誌は巷に沢山あるが、いちばん発行部数が多いのはおそらくファミ通だろう。全機種の情報を取り扱ってるし、独占契約を交わしているのか、速報性が他紙に比べて高い。そして何より、値段が最も安い(筈である)。私も、高校生の頃はファミ通をよく読んでいたものである。だが、私はファミ通に対して決定的な不満が二つある。ひとつはレイアウトの悪さである。端的に言ってセンスがあまりよくない。この点ではザ・プレイステーション(休刊してしまった)やドリマガ(旧・セガサターンマガジン)の方が私の好みである。思えば、小学生の頃に愛読していたのは「ファミリーコンピュータマガジン」であった。こと紙面づくりという方向からするとどうもこっちの系統のほうが私には合うようである。
不満の第二は―実はこちらの方が重要なのだけれども―内容に反骨の気概が全くないことである。例えば大手メーカーの大作ゲームが発売されると、どんな内容であろうと雑誌を挙げて誉めそやす。そこに批判はほとんどない。反面、マイナー作品に対する扱いはそうとう酷い。つまり、面白いゲームを紹介するというよりかは大企業の広告塔でしかないのだ(そうでなければ多作のあまり形骸化したスーパーロボット大戦シリーズをあそこまで持ち上げない筈である)。大手メーカーから多額の宣伝量をもらっているからこういうことになるのだろう。
また、ゲームが有害である、という報道がなされると、この雑誌は必ずヒステリックに反応する。有害かそうでないか、と択一すれば確実に有害であるのに決まっているのに、無理やり「ゲームは素晴らしいものだ」というロジックにはめようとする、この狭量さがいやらしい。有害でも子供たちがあえてゲームを遊ぶのは、ゲームが楽しいからである。だからこそ節度を守って遊ぶべきなのに、そういうダークな部分に目を瞑るのは社会的にみて、非常に不誠実であると言えやしまいか。


橋本繁久

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