しむちゃんのつれづれ日記
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2003年09月01日(月) 貯蓄は経済を停滞させる(短期的に)

友人は言いました。

「個人の貯蓄は将来のために必要な行動だ。」

その通りです。将来が不安だと思える時であればあるほどそうです。

80年代後半から現在に至るまで経済成長率(名目GDP成長率)は右下がり。
97年からは2000年を除いてはマイナス成長。一方では金融資産残高伸び率は
1999年までは何とかプラスでしたが、2000年からはマイナスになって
います。これは収入が減りつつも、がんばって消費を減らし、貯蓄をしてきたが、
2000年の段階で、消費の切詰めも限界がきたということでしょう。

一般的に個人の金融資産は1400兆円と言われておりますが、この数字は頭打ち
ということになります。とはいえ、この金額から大きな変化は出てきていない。

この金融資産の内訳は、預貯金・株式・債券・投資信託・年金準備金といったもの。
大事なことは、その資金の一部(20〜25%)が借金によって賄われていると
いうこと。これは住宅ローンやマイカーローンの影響が大きいでしょう。

この10年間に400兆円増えていますが、その半分が預貯金の増加。
バブルが崩壊した91〜92年も含めて、下がることなくずっと増加してきています。

貯蓄が増えるということは、消費が減るということです。
消費が減るということはどういうことかというと、まさしく経済成長が止まることを
意味しています。消費が減ることの原因には2つあって、ひとつは収入が減る、もう
ひとつは将来に不安があって蓄えを増やす、このふたつです。

経済にとって貯蓄は流動性を失った死んだお金。
貨幣には流通速度というものがありますが、流れを失ったお金は停滞するのです。
信用創造の逆のことをしているのですから、いくら将来の貯めに蓄えたとしても
経済の収縮を促がすだけです。貨幣は流通して初めて価値を生むのです。

個人は将来の貯めにいいことをしていても、全体としては悪い方向になる。
このことを「合成の誤謬」といいます。全ての家計が消費を倹約して正しいことを
すれば、企業の収入が減って個人の収入も減ることになってしまう。巡り巡って。
せっかくいいことをしているつもりでも、結局は自分の首を締めていることになる。
マクロとミクロは切り離して考えられるものではないことを表しています。

将来の不安があるから貯蓄をすることは正しい行動。でも全体としては経済を停滞
させてしまう悪い行動。だから貯蓄をするなということではなくて、貯蓄をしない
行動の原因を排除する必要があるのです。

これはまさしく年金にあるわけで、バブル期に余って仕方がなかった年金準備金も
今や底をつく状態。年金の支払もままならない状態。これをよく知る若年層は、
自分の年金が支払額よりも少なくなる不安から支払を拒否している人も多い。
年金を金融商品と考えると、これは正しい方向。でもこれが膨らんでしまうと、
真面目に支払をしている人の年金が全く支払われなくなることも考えられます。

その原因は、年金の使い方や配分の仕方が問題なのであって、そこを変えるべき
なんです。それがまさしく構造改革。将来の不安を払拭するべく、組織や仕組みを
正そうとする方策なのです。

これを否定する人は、その日暮らしがままならないほど生活に逼迫している人か、
あるいは意図的に構造改革を妨害したい人のどちらか。要するに、目の前が大事か
将来が大事か。どちらに困難を覚えているかなんです。時間軸の問題です。明日の
おまんまが大事か、10年後のおまんまが大事か。

自民党の中で分裂しているのは、その差です。時間の考え方です。
小泉首相は将来を、抵抗勢力は明日のことを訴えているわけです。
求める時間軸のメッシュが違うから、おのずとやることが違ってくる。当然です。

現在の窮状を改善するためには、急激な療法が必要になりますから副作用も大きい。
それを覚悟でやろうとしているかが問題となります。単に従来の手法の繰り返しで
楽観論の抵抗勢力の考えには自分は賛成で来ません。繰り返し失敗してきたことを
また繰り返そうとしているから。効率的な公共投資はまやかしです。公共投資の
経済的効果は効率的だろうが非効率的だろうが、変わりはありません。そのあたりは
ケインズが言っているとおりです。方法が問題なのではなくて、いくら注ぎ込むかが
問題であると。そしてここで注ぎ込まれたお金が貯蓄に回ってしまえば、せっかく
投じたお金も無意味です。経済効果としては表われないからね。

だからこそ、お金を使える環境を、基盤を整備する必要があるわけです。
ここを整備しなければ、いつまでたってもお金は貯蓄に回ることになります。
真水を増やしても還流しなければ経済は膨らみません。お金を使える環境作りが
必要なんです。お金を使えるだけでなく、作り出す労働環境も必要です。

この2面性を打ち出しているのが小泉内閣です。
目の前の苦境に直面している人に我慢してくれと言っているわけです。
抵抗勢力が言っているような単に見殺しにしているわけではないんです。

ただ、バブルの崩壊後10年以上も経過してしまったからには、回復するのも
10年以上かかることを覚悟しなければなりません。そこが小泉首相の辛いところ。
やろうとしていることは正しいことだから応援したいけど、我慢のしっぱなしで
我慢しきれなくなっている人が出てきていること。しかも見通しが不透明であること。

かつて経験したことのない経済状態だから、簡単には見通しを語れる人はどこにも
いないとは思いますが、何らかの指標を示してあげないと、せっかく我慢しなければ
と思って応援してくれている人もいい加減見離してしまいます。そこが政治家としての
理念と責任の示しどころだと思うんですよね。(そこが彼の批判されるところです)

とはいえ、根源的なところを手術しようとしているんだから、これを止めるわけには
いきません。そういうわけで繰り返しますが、小泉再選。ふたたび。

はい。今日は曇り。(東京地方)


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