しむちゃんのつれづれ日記
文字サイズは「中」が最適なようです。

2001年11月11日(日) 堅い話ですが

中国がWTO加盟の承認を受けました。しかも満場一致で。
これって事件です。

中国が世界の資本主義社会の仲間入りをしたことで一番利益を得るのは
アメリカでしょうが、隣国である日本も例外ではありません。

今までは国内の企業を守るためにかなり高い関税を課していたため、
中国への輸出は中国国内に無い技術やら製品を海外勢同士で戦っていた
のが、関税の低減や撤廃でより海外からの流入が増します。これは
ある意味、中国の国内企業には脅威ではありますが、戦後の日本が
そうであったように、海外の技術を取り入れながら、時間がたてば
自国の技術にしてしまう。そんな器用さは中国にもあると思います。

中国の人は日本人よりもしたたかなところがありますので、日本が
歩んできた時間よりも短い間に自分のものにしてしまうかもしれません。
しばらくは製鋼技術であれば日米欧、造船技術であれば北欧韓日から
導入するでしょうが、それらの技術導入をしてしばらくすると海外へ
輸出するだけの力がついてくるでしょう。そうなると技術指導をして
きた海外勢は、中国の安価な労働力に圧倒されて製造業の陥落が来て
しまうかもしれません。

今から日本の製造業の一部は、一時の円高の時代と同じように中国へ
製造拠点を移してしまうかもしれません。そのうち台湾もWTO加盟の
承認を受けるでしょうから、台湾へも移転が始まると思います。
これは時代の流れです。拒絶するわけには行きません。

そうなると問題になるのは日本における労働力の余剰です。
工場が中国や台湾へ移ってしまうので、日本で働いていた社員や外注、
取引企業もそれについていくか、他の会社へ移るかの選択を強いられる
ことになります。国がちんたら進めている構造改革は民間では待った
無しです。自分の権益なんか求めている場合じゃないんです。

中国や台湾が技術を習得し、品質も日本と同等で、より安い製品を輸出
してきたら、これもいやおうなく受け入れるしかありません。製造業の
空洞化が叫ばれて久しいですが、中国のWTO加盟を機に拍車がかかる
ことは避けられません。今すぐでなくとも、10〜20年のうちに
日本で作っていることがバカらしくなる時代が来るかもしれません。

でも、製造業は日本のお家芸。コアな製造技術を進化させていくしか
ありません。差別化するとしたらこのあたりの技術を中国や台湾に
追いつかれ無いように先へ先へと進んでいくことでしょう。

やはりかつての栄光を脱ぎ捨て、常に新しい技術を追い求める好奇心と
開発にかける資金力を確保することが、これからの日本の製造業に
求められると思います。その意味でこの厳しい時代を乗り越えることで
その可能性を維持することが必須です。選択すべきは、いかに収益を
確保していくか、他社に飲み込まれ無いようにしていくか。限られた
資源を使いながら、使い古された言葉ですが、「選択と集中」で事業の
方向性を見つけていくしかないんでしょうね。

その踏ん切りが経営者にとって難しいところなんですけどね。
がんばれ。日本の製造業経営者!
(そのためにはつまんない天下り企業や不用な外郭団体を民間と同じ
土俵につかせて、より民間企業が仕事のできる機会を与えていくことが
重要なんです。そんなところにも構造改革の意味があります。)

はい。今日は曇りときどき晴れ。(東京地方)


 < 過去  INDEX  未来 >


しむちゃん [HOMEPAGE]

My追加