2010年04月17日(土) |
中国1〜3月期の成長率11.9% |
1、中国:成長率11.9% 金融危機後、最高に 1〜3月期 2010年4月15日 毎日新聞 2、中国経済を牽引する10億人の低所得者層 2010年2月15日 毎日新聞 3、人民元が切り上げられると、どうなるの?=回答・柳原美砂子 毎日新聞 2010年4月14日
中国は空前の成長を続けている。中国国家統計局は15日、10年1〜3月期の国内総生産(GDP)の実質成長率が前年同期比で11.9%だったと発表した。
ここでは中国の外貨準備高に付いて少々引用したい。 中国の2009年末の2兆3992億ドル(約216兆円)はもちろん世界一。2位・日本の1兆493億ドルの約2.3倍なのである。本来、貿易黒字の影響によって人民元は値上がりするのが経済原則。しかし、中国政府は「元安維持のため大量の元売り・ドル買い介入を断続的に実施し、一段と外貨が蓄積されています。貿易黒字と輸出下支えのための元売り・ドル買い介入で、外貨が積み上がっていくという外貨蓄積のスパイラル状態にあります。」(毎日新聞から)
ポイントは、この介入によって市場で売却された元は、市場に吸収されずに放置される結果、市場に過剰流動性が蓄積し、金融緩和と同じ効果が発揮しているのである。これら一連の動きは、「昨年末の外貨準備高が前年比23.3%増、通貨供給量(マネーサプライ)が同27.7%増、銀行貸出残高は同31.7%増というデータが端的に示しています」(毎日から)
元の過剰流動性によって、大都市中心部土地は平均で年間2〜3割、優良物件は同5割近く値上がりしているようである。過剰流動性によって、土地バブルが起こっている。この現象は所得格差がますます広がることを意味する。所得の低い10億人近い低賃金労働力が中国の国際競争力を支えているが、不満のマグマが何時噴き出してくるか分からない。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 1、中国:成長率11.9% 金融危機後、最高に 1〜3月期 2010年4月15日 11時22分 毎日新聞 【北京・浦松丈二】中国国家統計局は15日、10年1〜3月期の国内総生産(GDP)の実質成長率が前年同期比で11.9%だったと発表した。積極的な財政出動で内需が刺激され、輸出も回復しており、08年秋の金融危機後で最も高い伸びとなった。高成長が確認されたことで、米国が求めている人民元切り上げに向けた中国側の判断が注目される。 四半期ベースの成長率では07年10〜12月期(12.0%)以来の高水準。2ケタ成長は09年10〜12月期(10.7%)から2期連続で、成長ペースが一段と加速し、景気過熱も警戒されそうだ。 金融危機前には2ケタの伸びが続いた中国の成長率は09年1〜3月期には6.2%に低下したが、その後は急回復している。10年の年間GDPで日本を抜き、米国に次ぐ世界2位の経済大国となるのは確実とみられる。 中国は金融危機対策で打ち出した総額4兆元(約54兆円)の大型財政出動を今年も継続。消費の指標となる1〜3月の小売総額は17.9%増と好調な新車販売などを反映。落ち込んでいた輸出も海外経済の持ち直しを背景に復調し、1〜3月は28.7%増だった。 一方、1〜3月の不動産投資は35.1%増と大幅に伸びた。景気対策や金融緩和で資金があふれ、不動産バブルの様相が強まっている。また、1〜3月期の消費者物価指数は前年同期比2.2%上昇。インフレ懸念も指摘されているが、中国政府が目標とする3%以内には収まっている。 中国国家統計局の李暁超報道官は15日の会見で、高成長を「主に景気刺激策の結果」と説明する一方、成長率が低かった前年の反動も一因と指摘した。 【関連記事】 <成長する中国>中国GDP8.7%増 膨らむ資産バブル 庶民に乏しい実感 <成長する中国>中国経済を牽引する10億人の低所得者層 中国と日本 「異なる常識」当たり前 人民元問題 米中の巧妙な衝突回避 質問なるほドリ:人民元が切り上げられると、どうなるの? <成長する中国>アジア中間層8.8億人 世界の成長センター 有望市場を開拓する <成長する中国>中国:人民元切り上げ…再開観測強まる ―――――――――――――――――――――――――――
2、中国経済を牽引する10億人の低所得者層 2010年2月15日 毎日新聞
昨年12月5日、中国共産党、中国政府、中国人民銀行(中央銀行)などの政策当局が、2010年のマクロ経済政策の基本方針を話し合う「中央経済工作会議」が開かれました。リーマン・ショック直後だった前回会議では、財政拡大と金融緩和を行う基本方針を決定。一方、今回は不動産バブルやインフレ懸念について議論し、バブル経済に警戒感を示しつつも、金融緩和の継続方針を決定しました。 具体的には、10年の銀行貸し出しの年間増加額目標を7兆5000億元(約100兆円)に設定。前年の5兆元の1・5倍、同国の国内総生産(GDP)の約2割に相当する規模です。この目標が実現すると、10年末の銀行貸出残高は47兆元に達し、1年間で25%以上増加します。 工作会議では、中国人民銀行がバブルを懸念して年間増加額目標を前年並み(5兆元)とすることを主張した模様ですが、共産党と政府が緩和策の継続で押し切ったようです。 中国政府は昨年9月、バブルの影響で過熱気味だった鉄鋼、セメントなど8業種を「過剰生産・重複建設業種」と位置づけ、土地供給や銀行貸し出しを管理。また投機的な不動産購入も抑制する姿勢を打ち出しました。工作会議はその姿勢をわずか3カ月で転換した形ですが、バブル崩壊よりも景気減速に対する懸念の方が勝り、巧みにバブルを維持していくことを決定したと言えます。 09年末の外貨準備高2兆3992億ドル(約216兆円)はもちろん世界一。2位・日本の1兆493億ドルの約2.3倍です。 本来、貿易黒字の影響によって人民元は値上がりするのが経済原則。しかし、中国政府は元安維持のため大量の元売り・ドル買い介入を断続的に実施し、一段と外貨が蓄積されています。貿易黒字と輸出下支えのための元売り・ドル買い介入で、外貨が積み上がっていくという「外貨蓄積のスパイラル状態」にあります。 しかも、この介入によって市場で売却された元は、市場に吸収されずに放置(非不胎化介入)される結果、市場に過剰流動性が蓄積し、金融緩和と同じ効果が発現しています。これら一連の動きは、昨年末の外貨準備高が前年比23.3%増、通貨供給量(マネーサプライ)が同27.7%増、銀行貸出残高は同31.7%増というデータが端的に示しています。 金融緩和の影響は不動産価格に波及し、昨年末の前年比上昇率は7.8%。これは中国全土の平均値ですが、北京、上海など大都市中心部は平均で同2〜3割、優良物件は同5割近く値上がりしているようです。 ◇日本の成功モデルを参考 中国の現状は、1980年代の日本と極めて似ています。中国は、高度成長期からバブルによる資産インフレで世界経済を席巻した80年代までの日本の成功モデルを参考にしているとも言われます。しかし、日本ではその後バブルが崩壊、その影響は今なお尾を引いています。 中国は今後どうなるでしょうか。 日本との違いは所得の非常に低い層が依然10億人近く存在すること。旺盛な購買意欲と上昇志向が経済を牽引し、低賃金労働力がコスト面で産業の国際競争力を支えています。また、経済発展が生み出す中間層が政治的民主化を促すという欧米諸国でみられた経験則も今のところ当てはまっていないようです。 世界の覇権は19世紀の英国、20世紀の米国から21世紀の中国にシフトしつつあるようにみえます。米国の同盟国で、中国の隣国である日本。巧みな国家運営が不可欠です。 2010年2月15日 ――――――――――――――――――――――――――――――――
3、人民元が切り上げられると、どうなるの?=回答・柳原美砂子 毎日新聞 2010年4月14日 <NEWS NAVIGATOR> ◆人民元が切り上げられると、どうなるの? ◇中国の輸出産業に影響 名目は「国内向けのインフレ対策」 なるほドリ オバマ米大統領が、中国の胡錦濤国家主席に要請した「人民元の切り上げ」ってどういうこと? 記者 米ドルに対する人民元の価値を高めることです。ドルと円の場合で考えてみましょう。1ドル=100円から90円になる(切り上がる)と、これまで1ドルの商品を輸入するのに100円必要だったのが、90円ですむようになります。一方、輸出する場合は100円の製品が米国で1・11ドルと値上がりし、価格競争力が落ちてしまいます。逆に価値を下げる場合は「切り下げ」といいます。 Q 「円やドルを切り上げる」とは、あまり言わないよね。 A 円、ドル、ユーロなどの主要通貨は「変動相場制」で、原則として、為替市場での自由な取引の結果、相場が決まります。中国は1ドル=約6・8元を基準に1日の変動幅を上下0・5%と決め、その範囲だけで変動させる「管理変動相場制」をとっています。市場の動きはごくわずかしか反映されません。通貨当局が切り上げ、切り下げを決めているのです。 Q これまで切り上げたことはあったの? A 05年までは1ドル=8・28元に固定し上下0・3%だけ変動させていました。ところが、中国の安い製品が大量に輸出されるようになると、対中貿易赤字の拡大に直面した米国などが切り上げを迫りました。そこで、中国は2・1%高の1ドル=8・11元に切り上げ、複数の通貨に連動させることにしました。 Q 今回の切り上げも米国が求めているの? A そうです。景気の先行きが不透明になった08年夏から中国は、ドルを買い人民元を売る介入で、人民元を事実上、固定相場に戻していました。自国の輸出産業を保護するのが狙いです。これに対し、今秋に中間選挙を控える米議会は「不当に低い相場で輸出を拡大している」と批判を強めました。「輸出倍増」で雇用創出を目指すオバマ大統領も、中国に繰り返し切り上げを求めています。 Q 中国は応じるかな。 A 人民元をドルに固定することで、中国は世界的な経済危機からいち早く抜け出しました。でも、人民元売り介入を続けると、金余りによるインフレや不動産バブルの懸念が高まります。「米国に言われたから」ではなく、「インフレなどの副作用対処」を理由に、輸出産業に打撃を与えない程度の小幅な切り上げに踏み切るとみられています。(経済部) ============== なるほドリコーナーへの質問をお寄せください。〒100−8051(住所不要)毎日新聞「質問なるほドリ」係 naruhodori@mainichi.co.jp 【関連記事】 社説:人民元問題 米中の巧妙な衝突回避 人民元切り上げ:米中「必要」で一致 「大人の対応」演出 米大統領:人民元切り上げを胡主席に要請 上海外為:人民元、6カ月ぶり高値 切り上げ観測で上昇 中国:人民元切り上げ…再開観測強まる 東京朝刊
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