『日々の映像』

2010年02月24日(水) 民主:長崎知事選敗北



社説:長崎知事選敗北は鳩山政権への警鐘だ(2/23)
                      2010年2月23日  日経
社説:民主敗北―民心の離反を見据えよ
                      2010年2月23日  朝日

与野党対決となった長崎県知事選で、民主、社民、国民新の与党が推薦した元農水官僚が、自民、公明の野党支援の前副知事に大差で敗れた。東京・町田市長選でも与党推薦候補が敗れた。昨年の総選挙では、長崎県内の4小選挙区すべてで、民主党候補が勝った。長崎は選挙区選出の参院議員2人も民主党が占める民主独占県だ。ここで敗れたのであるから鳩山民主党は、この事態を深刻に受け止める必要がある。

夏の参院選の情勢を占うと与野党が位置付け、総力を挙げた選挙。この結果は鳩山政権への厳しい審判といえる。 選挙結果は国会運営にも影響することは必至だ。自民党は小沢氏らの証人喚問を求めて衆院予算委員会審議を欠席するなど強硬姿勢に転じた。 この情勢だから、小沢氏の進退問題が再浮上する可能性もありそうだ。政界の1寸先は分からない.

自民党の審議拒否が妥当なのかどうか日経の社説の結びを引用したい。
「自民党は小沢氏の国会招致に与党が応じないことなどを理由に、22日から審議拒否戦術に転じた。だが、公明党など他の野党は審議に応じており、自民党の戦術は支持を得られまい。国会で議論すべきテーマは山積している。自民党は論戦で存在感を示した方がいい」

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社説:民主敗北―民心の離反を見据えよ
                      2010年2月23日  朝日
 
このままでは反転攻勢はおぼつかない。鳩山由紀夫首相と民主党は、この事態を深刻に受け止める必要がある。
 夏の参院選の前哨戦とされた長崎県知事選で、民主など与党3党が推薦した元農水官僚が、自民、公明両党が支援した前副知事に大差で敗れた。
 昨年の総選挙では、長崎県内の4小選挙区すべてで、民主党候補が勝った。長崎は選挙区選出の参院議員2人も民主党が占める民主独占県だ。
 国政と地方選挙の違い、候補者の力量や知名度の違いはもちろんあろう。それでも、民主党の失速ぶりをはっきり見せつける結果である。
 首相や小沢一郎幹事長の政治資金問題が影響したことは間違いない。首相も記者団に「政治とカネの問題の影響を受けた」と認めた。
 同じ日曜日の東京都町田市長選でも、民主党など与党推薦候補が、自公が支援した現職に敗れた。昨年の都議選、総選挙で民主党候補が躍進した地域。ここでも民主退潮を印象づけた。
 内閣支持率の低下にも歯止めがかからない。朝日新聞の週末の世論調査では、政権発足後初めて4割を下回った。鳩山政権は民心が離れつつある現実を見据え、本気で政権立て直しに取り組まなければいけない。
 まずは政治とカネの問題である。小沢氏はいまだ、国会の場での説明に応じていない。石川知裕衆院議員の辞職勧告決議案もたなざらしのままだ。
 小沢氏は国会の参考人招致などに応じる。決議案は粛々と採決する。それが最低限のけじめであろう。
 政治家本人の監督責任の強化や企業・団体献金の禁止など、政治資金規正法の抜本改正の議論も、予算審議と並行して進めてほしい。
 もうひとつは、いま地方が何を求めているのか、その切実な声に真摯(しんし)に耳を傾けることだ。
 長崎で示された民意は、なにも民主党の政治とカネの問題に対する批判ばかりではない。むしろ、最大の争点は、人口流出が続き、疲弊する地域社会をどう立て直すかだった。
 政権交代から5カ月。県民に生活向上の実感があれば、選挙結果はまた違ったものになっていたかもしれない。
 ところが、民主党が見せたのは、政権党の強みをちらつかせて、自民党を支援してきた業界団体を引きはがそうという利益誘導まがいの姿だった。これで、地域に生きる人たちの共感が得られるとは思えない。
 一方の自民党は勝利に力を得て、与党への対決姿勢を強め、予算委員会の審議を拒否した。これもまた、民意をはき違えていると言わざるをえない。
 有権者が求めているのは、国民生活のための徹底した政策論議だ。それがわからないようでは、参院選に向けた党勢回復にはつながるまい。
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社説1 長崎知事選敗北は鳩山政権への警鐘だ(2/23)
                      2010年2月23日  日経

21日に投開票された長崎県知事選で、民主党など与党3党が推薦した候補が大差で敗れた。鳩山由紀夫首相や小沢一郎民主党幹事長の「政治とカネ」の問題が響いたのは、明白だろう。首相や小沢氏は、鳩山政権への警鐘として選挙結果を深刻に受け止める必要がある。

 長崎県知事選では自民、公明両党が支援した前長崎県副知事が、与党3党が推薦した元農林水産省室長に9万票以上の差をつけて勝利した。同じ日の東京都町田市長選では与党3党の推薦候補が、自民、公明両党の支援を受けた候補に惨敗した。

 1月の都議会補欠選挙で、自民党候補が民主党候補を大差で破るなど、地方選で民主党系候補が苦戦する例が目立つ。閣僚らを送り込んで総力戦を展開した長崎県知事選での与党推薦候補の敗北は、潮目の変化を印象づけた。

 首相は22日午前、記者団に「やはり政治とカネの問題の影響を受けた。私どもは真摯(しんし)に受け止める必要がある」と語った。

 首相がなすべきは「政治とカネ」の問題の説明責任を尽くすことだ。政治資金規正法違反で元秘書ら3人が起訴された小沢氏について、各種世論調査で7割前後の人が幹事長辞任を求め、ほとんどの人が小沢氏の説明に納得していない。

 小沢氏がいまだに国会で説明していないのは極めて遺憾だ。党代表である首相には、小沢氏が国会招致に応じるよう促す責任がある。小沢氏が国会での説明を拒み続けるなら、党内外から幹事長辞任を求める声が強まるのは確実だろう。

 国会審議で「平成の脱税王」と批判された首相自身も、自らの偽装献金問題に関して、より丁寧に説明する必要がある。

 「政治とカネ」の問題だけではなく、米軍普天間基地の移設問題の迷走など鳩山政権の政策遂行力にも不満が募っている。政権交代への期待感はしぼみ、有権者の視線は厳しさを増している。ここでたがを締め直さないとじり貧になりかねない。

 自民党も喜んでばかりはいられない。今回の選挙結果は「敵失」に助けられた面が大きく、自民党の支持率自体が上向いているわけではないからだ。

 自民党は小沢氏の国会招致に与党が応じないことなどを理由に、22日から審議拒否戦術に転じた。だが、公明党など他の野党は審議に応じており、自民党の戦術は支持を得られまい。国会で議論すべきテーマは山積している。自民党は論戦で存在感を示した方がいい。


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石田ふたみ