『日々の映像』

2010年02月15日(月) 北朝鮮:デノミで生活大混乱 価格上昇



1、北朝鮮:デノミ失敗、混乱続く 中国との関係強化を模索
                    毎日新聞 2010年2月14日
2、デノミ失敗で北朝鮮首相が謝罪、批判の矢面に?
                    2010年2月11日 読売新聞
3、北朝鮮 デノミ失敗 餓死者続出
                    2010年2月4日 北海道新聞
4、北朝鮮:デノミで生活大混乱 価格上昇、食料買えず
                    2010年2月5日  毎日新聞

 北朝鮮がデノミで大混乱となったニュースを収録して置きたい。3の北海道新聞の報道によれば「昨年11月のデノミネーション(通貨呼称単位の変更)実施後、急激なインフレの影響などで深刻な食糧難が発生し、餓死者が続出しているもようだ。暴動が起きたとの報道もあり、北朝鮮社会は混乱状態に陥っているとみられる。」ある。

 「信なくば立たず」である。大衆が「国家に対して信」を置いていない以上どのような政策も失敗に終わると思う。デノミで物価が上昇するなどの大混乱の一例を挙げよう。「デノミで1キロ20ウォンに下がったコメの価格も1月末には平壌では400ウォンに跳ね上がった。1 月25 日の時点で一部の外国人向けを除き、平壌の大半の商店は閉鎖された。食堂の場合、料金を100分の1にする義務があるのに、食材は100 分の1では買えず、営業中止の追い込まれたのだ。

強行的なデノミを実施した目的はなんだったのか。銀行預金以外の旧通貨には交換額の上限が設けられ、交換できない通貨は紙くずになってしまう政策であった。隠し資産を両替しようと市民が闇市場に殺到する事態になったのだ。
どちらにせよ、金正日(キム・ジョンイル)総書記体制下の国民は哀れである。

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1、北朝鮮:デノミ失敗、混乱続く 中国との関係強化を模索
毎日新聞 2010年2月14日
 【北京・西岡省二】通貨ウォンのデノミネーション(通貨呼称単位の変更)失敗による混乱が続く北朝鮮で、中国との関係強化を突破口に事態打開を模索する動きが出始めた。北朝鮮当局は金正日(キム・ジョンイル)総書記の68歳の誕生日(16日)をにらみながら混乱収拾を急いでいるが、デノミ失敗で落ち込んだ国民生活の回復を図るには、最大の支援国・中国からの援助を確実に受けることが不可欠と判断しているようだ。
 金総書記は今月8日、咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸興(ハムフン)に王家瑞・中国共産党対外連絡部長を招いて会見した。金総書記が地方都市で外国要人に会うのは異例で、北京の外交関係者は「対中関係重視という金総書記の意思の表れ」と指摘する。同関係者によると、金総書記は会談と歓迎宴のそれぞれ約2時間を王部長とともにし、宴会ではビールや焼酎も飲んだ。中国側は関係国に「金総書記の健康状態は全く問題ない」と報告したという。
 会談で金総書記は国内経済に言及し「全体的に良い方向に発展している」と強調した。だが実際には、昨年11月末に実施されたデノミで北朝鮮経済は大混乱に陥っており、指導部には「経済目標達成が2、3年遅れた」(指導部に近い関係者)という危機感が漂っている。
 北朝鮮指導部は、実務責任者の朴南基(パク・ナムギ)労働党財政計画部長を解任する一方、市場での売買や外貨使用を再び認めて事態収拾を図り、ウォン急落や物価上昇に歯止めをかけた。迅速な対応の背景には「混乱のままでは誕生日の祝賀ムードが低調になってしまう」(同関係者)という判断があったようだ。
 デノミ失敗は、政府機関などによる物資調達不足が主な原因といわれる。加えて、最近は北朝鮮側で「温家宝中国首相の訪朝(昨年10月)で約束した中国からの援助が期待通りに実施されていない」と指摘する声も上がっている。6カ国協議首席代表を務める金桂冠(キム・ゲグァン)外務次官が9〜13日に訪中したが、金次官には、核問題の論議以外に、援助を急ぐよう中国側に念押しする任務があったといわれる。
 今回、金次官は李根(リ・グン)外務省米州局長や対米交渉担当の英語通訳を伴って訪中し、長期間滞在した。6カ国協議関係者の間には、米国側との接触を予想する声も上がったが、現時点では確認されていない。北朝鮮の指導部に近い関係者は「経済混乱で、わが国(北朝鮮)は外交的に妥協せざるを得ない状況になった。もはや駆け引きする余裕はない」と指摘する。
 最近、金次官の3月訪米説が浮上している。米国側は否定しているが、北京の外交関係者は「中朝間の調整が進み、米朝の対話が必要になれば、日程を詰めることになる。今は日程が決まっていないという意味で、水面下の調整は進んでいる」と話している。
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北朝鮮:市場再開か デノミ失敗で政策変更
毎日新聞 2010年2月14日 19時01分
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2、デノミ失敗で北朝鮮首相が謝罪、批判の矢面に?
              2010年2月11日21時35分 読売新聞
 【ソウル=前田泰広】韓国紙・朝鮮日報は11日、北朝鮮の金英逸(キムヨンイル)首相が、集落を統括する代表者らに対して、デノミネーション(通貨単位の切り下げ)の失敗で混乱を招いたとして5日に謝罪していたと報じた。
 北朝鮮内の消息筋の話として伝えた。首相が矢面に立つことで、デノミに対する住民の不満が金正日(キムジョンイル)総書記や、後継と目される三男の金ジョンウン氏に向かうことを回避する狙いがあるとみられる。
 朝鮮日報によると、金首相は平壌で、準備不足のままデノミを無理に進めたと認め、「人民に大きな苦痛を与えることになったことを心から謝罪する」と発言。誤った措置を是正する意向も明らかにしたという。デノミ実施に伴い禁じられた市場取引を再開することや、外貨使用禁止措置の解除を指しているとみられる。こうした措置は、すでに実施されているとの情報もある。
 デノミを巡っては、朝鮮労働党の朴南基(パクナムギ)計画財政部長が、混乱の責任を問われて解任されたとされる。
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3、北朝鮮 デノミ失敗 餓死者続出
                   2010年2月4日 北海道新聞
 【ソウル井田哲一】北朝鮮で昨年11月のデノミネーション(通貨呼称単位の変更)実施後、急激なインフレの影響などで深刻な食糧難が発生し、餓死者が続出しているもようだ。暴動が起きたとの報道もあり、北朝鮮社会は混乱状態に陥っているとみられる。
 北朝鮮への人道支援を行う韓国の人権団体「良い友人」は2日発行のニュースレターで、北朝鮮政府関係者から得た情報として、朝鮮労働党が1月に実施した住民生活実態調査の結果を報告した。
 デノミ実施後、住民が食料などを売買する市場の取り締まり強化と、物価暴騰によって食料の流通が止まり、食糧難は深刻化。飢えて死ぬ住民が出る事態に陥った。特に北朝鮮北東部の咸鏡南道端川(ハムギョンナムドタンチョン)市では、1月初めから26日まで、毎日数人の餓死者が出て、北朝鮮内で最も深刻という。
 朝鮮労働党の機関紙、労働新聞は1日の論説で、金正日(キムジョンイル)総書記の「人民がまだトウモロコシを主食としていることに最も胸が痛む」との発言を掲載した。
 最高指導者が深刻な食糧難を認め、劣悪な食糧事情を嘆くことで、社会の動揺を抑える狙いとみられる。
 韓国メディアによると、デノミ失敗の責任を問われ、党で経済を担当する朴南基(パクナムギ)計画財政部長は解任された。今後、北朝鮮が経済政策を転換する可能性も出ているという。<北海道新聞2月4日朝刊掲載>

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4、北朝鮮:デノミで生活大混乱 価格上昇、食料買えず
                 2010年2月5日  毎日新聞
 【北京・西岡省二】北朝鮮が通貨ウォンのデノミネーション(通貨呼称単位の変更)を実施して約2カ月。当局はデノミ政策の失敗を認め、実務責任者の朴南基(パク・ナムギ)朝鮮労働党財政計画部長の解任に踏み切った。地元の経済関係者らから国内の状況を聞き取ると、党幹部を処分せざるを得ないほど、市民生活が大きく混乱している様子が浮かび上がる。
 ◆大半が閉店
 当局は昨年11月末、市民の給料支給額を据え置いて、物価を100分の1に下げた。
 これにより市民が市場に殺到、市場は品不足への懸念から閉鎖した。食料を購入できなくなった市民は闇市場に頼った。
 このため物価は逆に上昇し、デノミで1キロ20ウォンに下がったコメの価格も1月末には平壌では400ウォンに跳ね上がった。
 1月25日の時点で一部の外国人向けを除き、平壌の大半の商店は閉鎖された。食堂の場合、料金を100分の1にする義務があるのに、食材は100分の1では買えず、営業できない状態だ。
 ◆闇両替で急落
 デノミに伴い、新通貨の公式の為替レートが1ドル=約100ウォンに設定された。だが、国の両替機関だと35ウォンに値切られることも。その結果、市民は闇両替に向かい、通貨ウォンの価値が急落。先月20日の時点で実勢レートは600ウォンに達した。外国に出張する知人に食料の持ち込みを依頼するケースも多く、北京発平壌行き定期便ではコメや野菜などが詰まった荷物が大量に持ち込まれる。
 ◆見せしめ?銃殺
 当局はデノミの約半年前、政府機関など数十カ所に物資輸入を割り当てていた。物資がそろった状態で物価を下げればデノミは成功する見通しだったが、供給目標は大半が未達成だったという。
 現時点では暴動は起きていない。当局は昨年末、違法な外貨取引に関与したとして市民数人を銃殺刑にした。「不満を封じ込めるための見せしめ」とささやかれたという。
 北朝鮮の経済関係者は「デノミ失敗で国の経済再建は2、3年遅れた」と指摘する。
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石田ふたみ