『日々の映像』

2009年04月11日(土) 荒れる農地が発生する要因

報道

社説:荒れる農地 地域資源を再生するには
                    新潟日報2009年4月9日

 現役のころ仕事の関係で多くの山林・農地を買収する機会があった。この行動で法的にクリヤしなければならないのが農振法・農地法である。農振法で指定されている区域は、基本的には農地以外に利用するな!・・と農家を縛り付けている法律である。後記に農振法15条の2のURLを示したが、手続きが困難で農地以外の転用は事実上できないのである。

よって、農家に後継者がいないと耕作が放棄される面積が膨大になる。先人が苦労して作った農地が次から次へちと放棄されているのだ。新潟日報の社説から荒れる農地の実態をメモして置きたい。
耕作に使えない農地が   28万4000ヘクタール
内復元不可能な農地は    13万5000ヘクタール・・琵琶湖の二倍の面積

・1ヘクタールは100メーター×100メーター(10000平方)である。
・28万4000ヘクタールは10000平方×284000倍のことである。

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社説:荒れる農地 地域資源を再生するには
                    新潟日報2009年4月9日
 耕されなくなった田畑はたちまち雑草に覆われてしまう。そのまま放置すれば、元に戻すのは難しくなる。こうした農地が中山間地や都市近郊を中心に広がっている。
 農林水産省が初めて行った耕作放棄地に関する実態調査で、現状で耕作に使えない農地が全国で約二十八万四千ヘクタールに上っていることが分かった。このうち森林・原野化が進み、実質的に復元不可能な農地は琵琶湖の二倍の面積に相当する十三万五千ヘクタールに達した。
 県内では、耕作に使えない農地が三千八百ヘクタールで、うち三千ヘクタール超は復元不可能とされた。
 作物を生産してこその農地である。その当たり前のことができずに、見捨てられたままになっている。
 都市近郊の放棄地は、商業地など他用途への転用期待があるためとされる。農地はあっても耕作しない人が多いという。「所有から利用へ」の方針に基づき、農地本来の使い方を促す改革を急がねばならない。
 本県で深刻なのは中山間地だ。県によると、耕作放棄地は下越の山間地や佐渡に多い。
 こうした地域では、高齢化や過疎化が急速に進んでいる。コメの価格低下や減反政策が耕作放棄地の増加に拍車を掛けている。
 棚田に代表されるように、中山間地の農地は貴重な資源だ。作物の生産基盤であると同時に、洪水防止のダム機能を有している。自然と調和した景観は地域の誇りだ。耕作放棄地の増加はこうした価値を大きく損ねている。
 国は、中山間地への直接支払い制度などの施策を導入し、農地の維持保全活動を支援してきた。だがこれだけでは不十分なことが、今回の調査であらためて明らかになった。
 農水省は二〇一一年度をめどに耕作放棄地を解消する方針を掲げる。〇九年度予算には復元作業などのために、補助金創設を盛り込んだ。
 しかし、あと三年で目標が達成できるとは思えない。「復元が不可能」な農地を除くとしても、十五万ヘクタールの「耕作に使えない」農地がある。
 誰が復元作業を行い、耕作するのか。担い手の裏付けがなくては、机上のプランというしかない。減反政策や農地制度の抜本見直しも絡んでくる。
 上越市は、本年度から平場にある農事組合法人に中山間地の稲作を委託し、助成するモデル事業を始める。集落同士が連携し、営農をカバーし合う仕組みも進めるという。
 「放棄地ゼロ」を目指すなら、個別の地域に即した具体的なアイデアが欠かせない。国土保全や景観対策も含めた総合的な政策をどうつくるのか。農政の大本が問われている。

[新潟日報4月9日(木)]

開発行為の制限(農振法15条の2)
http://www.pref.aichi.

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石田ふたみ