『日々の映像』

2009年04月10日(金) 政府与党:15兆円経済対策、大筋合意

報道
1、15兆円経済対策、大筋合意 エコカー促進や子育て支援
                  2009年4月9日12時27分  朝日
2、追加経済対策は国費15.4兆円、国債増発10─11兆円程度に
                  2009年 04月 9日 14:45 JST

補正予算に論評を加えるだけに知識は持っていない。ただ印象を記述させてもらえば「選挙用の補正予算」のイメージである。本当の意味に国益と景気回復を考えるのであれば、4月7日に書いたように、太陽光発電と風力発電に2〜3兆円の資金を投下すべきではないかと思う。

・雇用        1.9兆円
金融         3.0兆円
環境         1.6兆円
健康・子育て     2.0兆円
農業・教育・研究開発 2.6兆円
・安全・安心  1.7兆円
・ その他省略

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1、15兆円経済対策、大筋合意 エコカー促進や子育て支援
                   2009年4月9日12時27分  朝日
  
 
政府、与党は9日、深刻な景気後退に対応する新経済対策(経済危機対策)について大筋で合意した。財源の裏付けとなる09年度補正予算案の財政支出は過去最大の約15兆円。新経済対策は経済の底割れ回避のため、09年度後半までは「平時の経済原則・政策原則からの乖離(かいり)も辞さない」として、財政出動を強化する内容。10日に正式決定し、補正予算案は大型連休前に国会に提出される見通しだ。
 自民党は9日午前、臨時総務会で、09年度補正予算案に盛り込む政府の新経済対策を了承した。公明党も9日中に党内手続きをとり、政府・与党案として10日に決定する方針。
 新経済対策で政府は、直面している経済危機について、「(73〜74年の)石油危機を上回る可能性が高い」と分析。15兆円を超える過去最大規模の補正予算を組むことに対し、10年度までに経済状況を好転させるため、「国民の総力を挙げた協力と挑戦が不可欠だ」と理解を求めた。
 与党内で調整が難航した贈与税減税は、住宅取得に使われた生前贈与について、新たに500万円を上限に課税対象額から除外する方針を決めた。
 具体的な施策としては、再就職支援や派遣切り防止、雇用調整助成金の拡充などの雇用対策に約1.9兆円を投じる。がん対策の研究開発や子育て支援の拡充など「健康長寿・子育て」関連施策に2兆円を積み上げるなどした結果、財政支出は15.4兆円に膨らみ、資金繰り支援の融資・保証枠などを加えた総事業規模は56.8兆円に達する。
 また、株式市場安定化のため、政府が市場から株式を買い取る仕組みの整備を急ぎ、政府保証付きの買い取り枠を50兆円まで拡大することも決めた。
 財源について河村官房長官は9日午前の記者会見で、財政投融資特別会計の準備金約3兆円と経済緊急対応予備費1兆円に加え、10兆円あまりの国債発行で賄う方針を明らかにした。これにより、09年度の新規国債発行額は40兆円を大きく超え、過去最悪の財政状態に陥ることになる。

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2、追加経済対策は国費15.4兆円、国債増発10─11兆円程度に
2009年 04月 9日 14:45 JST

 [東京 9日 ロイター] 自民党は9日、国費15兆4000億円程度、事業費56.8兆円程度となる追加経済対策を取りまとめた。経済対策に伴う補正予算としては過去最大規模となる見通し。
 
 財源には財政投融資特別会計の金利変動準備金3兆円程度や経済緊急対応予備費1兆円などを活用するが、大半は建設国債と赤字国債で賄う。河村官房長官によると、赤字国債を含む新規国債発行額は10─11兆円程度になる見通しで、新規国債発行額は09年度当初予算の33.3兆円と合わせると43兆円─44兆円規模に迫り、これまでの最大額(99年度37.5兆円)を大きく上回る。
 
公明党との調整を経て10日に政府与党として正式決定する。政府は大型連休前にも2009年度補正予算案と関連法案を国会に提出する方針。 
 
<市場からの株式買い取りに政府保証50兆円、資金繰り支援も大幅拡充>

 具体策では、09年度後半ごろまでを「景気底割れ回避を最優先する局面」と位置づけ、非正規労働者に対する新たなセーフティーネットの構築等の緊急雇用対策の拡充・強化を行うとともに、企業の資金繰り対策など金融面の対策を明記した。
 
 対策には、企業の3月期決算の発表が集中する「5月危機」を意識し、株式市場対策も盛り込んだ。臨時・異例の措置として公的資金を活用し、市場から株式などを買い取る仕組みを整備。買い取りを行う主体となる政府関係機関の借り入れに対する政府保証枠を50兆円とすることを明記した。
 
さらに、銀行等保有株式取得機構の買い取り枠を拡大。金融機関が保有する優先株・優先出資証券、ETF、J─REITのほか、事業法人が保有する金融機関の優先株・優先出資証券も対象に加える。
 
資金繰り支援では、中小企業向けには信用保証協会による緊急保証枠を10兆円追加して総額30兆円に拡大するほか、日本政策金融公庫(日本公庫)によるセーフティーネット貸付枠を3兆円追加、商工中金(商中)の危機対応貸付枠も2.4兆円上乗せする。
 
中堅・大企業向けには日本政策投資銀行などによる長期資金貸付枠を8兆円追加する。資金供給にあたっては、社債償還資金貸付を含む新発社債の購入やコミットメント・ラインの設定など多様な経路の活用も盛り込んだ。政投銀が危機対応業務を円滑に行えるよう、追加出資も行う。また、産業活力再生特別措置法に基づく企業への出資を円滑化するため、損害担保制度も創設・拡充する。 
 金融政策については、日銀に「金融市場の安定確保に取り組む」とともに、「適切かつ機動的な金融政策運営により経済を下支えする」ことを期待するとした。

  <未来への投資:環境対応車やグリーン家電の普及促進など> 
 中長期的な成長促進策として緊急に実施すべき施策を選別。具体的には、環境対応車購入に対する補助(登録13年以上の買い替えに25万円・新規10万円)やテレビ・エアコン・冷蔵庫の省エネ家電購入時に販売価格の5%相当分を消費者に還元する「エコポイント」制を導入する。地デジ対応テレビにはこれを5%上乗せし10%相当のエコポイントを付与する。また、家庭で発電した太陽光発電について電力会社が現行の2倍程度の価格で買い取る制度を新設するなど、低炭素社会の実現を目指す内容を盛り込んだ。

 <贈与税軽減で消費喚起、中小企業支援の税制改正も> 
 税制面の措置では、贈与税減税を2010年末までの2年間の時限措置として盛り込んだ。居住用住宅に限定して現行110万円の非課税枠を500万円まで上乗せし最大610万円に拡大し消費喚起を狙う。また、中小企業支援を目的とした研究開発税制の税額控除限度額拡大や交際費課税の軽減する税制改正も打ち出した。
 
<2010年度までに経済状況好転させる>
 09年度後半までは「景気底割れ回避を最優先」するが、09年度後半から10年度後半までの第2期は、輸出依存に偏った経済・産業構造の転換促進のための施策を優先し、景気底入れ・反転を確実にする。自民党はこうした施策を着実に実行することにより「2010年度までに経済状況を好転させると同時に、経済・産業構造を変革していく」との決意を盛り込んだ。 
 (ロイター日本語ニュース 吉川 裕子記者  伊藤 純夫記者)
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いいのかな 国債44兆円、税収上回るかも 戦後初 
2009年4月11日7時54分
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 与謝野財務相は10日の記者会見で、09年度補正予算案で「10兆円を超える国債を追加発行することになる」と明言した。当初予算の新規国債発行額約33兆円と合わせ、今年度の発行額は44兆円を超えそうだ。税収見通し(46.1兆円)は景気後退に伴う法人税の減少などで大幅に減り、戦後初めて国債発行額が税収を上回る可能性が高い。
 09年度予算には経済緊急対応の予備費が1兆円あり、財政投融資特別会計の積立金は約3兆円使える。与謝野氏は「残余は国債を発行せざるを得ない」と述べ、総額約15兆円の補正予算の財源の残りを建設国債と赤字国債の発行でまかなう方針だ。一方で、税収は「減ると考えるのが現時点では自然」(財務省幹部)という情勢にある。
 今回の追加発行で、国債の発行残高は今年度末で約590兆円を上回る見通しとなった。(磯貝秀俊)
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社説:15兆円補正―大盤振る舞いが過ぎる
                                    2009年4月10日 朝日
財政支出15兆円余、事業規模は57兆円。過去に例のない大規模な新経済対策を政府・与党がまとめた。
 米国政府に「国内総生産(GDP)の2%相当の財政刺激」を約束した麻生首相は2%、つまり10兆円規模の財政支出を指示していた。しかし、総選挙を控えた与党の議員から「需要不足が20兆円超とされるのに足りない」といったむき出しの要求が高まり、膨れ上がった。
 この結果、すでに決定ずみの対策も合わせると、今年度の財政出動はGDP比3〜4%程度となる。超大型景気対策をとっている米国や中国とも肩を並べるような水準だ。いくら深刻な経済危機に直面しているとはいえ、先月成立した経済対策の予算執行が始まったばかりの段階で、これだけ大規模な追加対策が必要だったのだろうか。
 「規模ありき」で性急に検討が進んだため、メニューには不要不急の項目がかなり紛れ込んだようだ。
 検討過程で、自動車や不動産などの業界が与党議員に働きかける姿も目立った。このためか業界支援色が濃い。エコカーや省エネ家電への買い替え補助は低炭素社会への転換を大胆に促すほど厳しい基準は設けず、住宅取得目的の生前贈与減税にも踏み切った。
 各省庁も予算拡大に動いた。食糧自給率向上へ向け減反政策の見直しを進めている農林水産省は、その結論も出ていないのに、従来の減反を推し進める対策費の増額を盛り込んだ。
 世界経済危機に直面し、日本経済も大きな痛手を負った。ショックを緩和し、社会不安を防ぐ安全網を整備し、経済活性化策を打ち出すのは政府の役割である。だが、それにしても「大盤振る舞い」が過ぎないか。
 民主党も2年間で21兆円の財政出動をする経済対策をまとめた。与野党あげて選挙目当てで規模を競う様相となっており、歯止め役が不在だ。
 政府案では、今年度の新たな「国の借金」(新規国債発行額)は空前の43兆円超となる。不況による税収の大幅減が見込まれるので、さらに膨らむだろう。新規の国債発行を極力抑え、主要国最悪の財政状態を立て直そうとする財政再建路線は挫折した。「11年度に基礎的財政収支を黒字に」という旗を麻生政権は降ろしてはいないが、実際には葬り去ったも同じだ。
 消費刺激型の景気対策は、将来の需要の「先食い」でもある。そのために政府が借金するのは、子や孫の世代へ「負担のつけ回し」になる。一時的に景気刺激効果があっても、長い目でみればマイナス面が少なくない。
 米オバマ政権は大規模な景気対策を打ちながら、任期4年で財政赤字を半減という目標も掲げた。いばらの道ではあろう。だが、将来世代に対し責任を果たすことも、政治の役割である


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石田ふたみ