2009年03月04日(水) |
小沢氏秘書逮捕、民主に激震 |
報道 1、小沢氏秘書逮捕、民主に激震 進退論、浮上も 2009年3月4日 日経 2、社説1 違法献金の疑いに小沢代表は説明を(3/4) 2009年3月4日 日経 3、社説:公設秘書逮捕 小沢氏は責任を明確にせよ 毎日新聞 2009年3月4日 4、社説「西松」違法献金 小沢代表は説明責任を果たせ 2009年3月4日 読売新聞 5、【主張】西松献金逮捕 小沢氏の責任は明白だ 2009.3.4 産経新聞
小沢氏秘書逮捕に関連した報道が山のようにある。悲観論は書きたくない。 この事件が契機で政治が少しでも良い方向に進むことを願うのみだ。今日は社説の引用に留めたい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1、小沢氏秘書逮捕、民主に激震 進退論、浮上も 2009年3月4日 日経 「政治とカネ」を巡る疑惑が、衆院解散にむけて攻勢を強める民主党を直撃した。3日、小沢一郎代表の公設第一秘書を逮捕した東京地検特捜部は、西松建設から小沢氏側に流れた違法な企業献金の全容解明を進める方針。民主党内では、戸惑いや反発が広がる一方、小沢氏の進退問題や次期衆院選への影響を懸念する声が出ている。 「何でこういうことを言われるのか全く分からない」。3日午後の民主党幹部会。小沢一郎代表は自らの資金管理団体を巡る違法献金疑惑に不快感をあらわにした。会計責任者で小沢氏の公設第一秘書が逮捕されたのはそのわずか1時間半後。党内に緊張が走った。 幹部会では小沢氏側に違法性がないことを説明していく方針を確認。鳩山由紀夫幹事長は秘書逮捕の一報が入った後、都内で記者団に「小沢氏は、資金の出し入れはオープンにきちんと処理している、問題はないと話していた。我々はそれを信頼している」と強調した。 (07:47)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2、社説1 違法献金の疑いに小沢代表は説明を(3/4) 2009年3月4日 日経 小沢一郎・民主党代表の資金管理団体会計責任者が、準大手ゼネコン西松建設から違法な政治献金を受け取っていた疑いで、東京地検特捜部に逮捕された。
政治資金規正法は、会社から政治家個人への献金を原則禁じている。西松建設は同規定をくぐり抜けるために、会社OBを代表にした政治団体をつくり同社社員や家族が会費を納める形をとって、会社のカネを政治団体を通じ小沢代表側に渡していた疑いがある。
一方、逮捕された会計責任者は、そうした偽装を承知のうえ西松建設から来た違法なカネと知りながら寄付を受け、表面上適正を装う処理をした容疑を持たれている。
規正法のこの規定は、政治資金の名を隠れミノにしてワイロ性のこもるカネを政治家に贈る実質的な贈収賄を防止する意味がある。会社や団体から政党に贈った献金が特定の政治家に渡るように仕組む、いわゆる迂回(うかい)献金が問題になるのも同じ趣旨だ。
つまり今回、小沢代表側は、政治資金を処理するうえでの単なる形式違反ではなく、政治とカネを巡って政治家が国民に疑惑を抱かれぬよう細心の注意を払うべきところでごまかしをした嫌疑をかけられたわけだ。しかも逮捕された会計責任者は小沢代表の公設第一秘書でもある。
小沢代表は「すべて(政治資金は)きちんと処理している」と党の幹部会で発言したという。また鳩山由紀夫幹事長は検察による逮捕に陰謀を感じるとまで言った。
これでは容疑内容の重大さを分かっているのか疑わせるだけで、国民を納得させられるものではない。きょう行うとしている記者会見では、分かっている事実をあまさず公表し、十分な説明をしてもらいたい。
西松建設の裏金を巡っては、海外から不正に資金を持ち込んだ外為法違反罪で前社長らが起訴され、法人としての同社が罰金の略式命令を受けた。過去10年でつくった裏金は10億円以上にのぼるとされる。
その使い道で初めて違法の疑いが摘発された。小沢代表側への資金の抜け道に使った政治団体からは、与野党国会議員らに総計約4億7000万円を献金してきた。すべて、実際には西松建設のカネだったと考えられ、受け取った政治家側が事情を承知していれば今回と同じ容疑がかかる可能性がある。
東京地検には、捜査権力を公平に行使する観点からも、厳正な姿勢でそれぞれの献金先を調べることが求められる。 公設秘書逮捕―小沢代表に説明を求める 準大手ゼネコンの西松建設の裏金事件に絡んで、民主党の小沢代表の公設第1秘書が、政治資金規正法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。 同法は、他人名義での献金や、政党とその政治資金団体以外への企業献金を禁じている。だが、西松は社名を出さずに国会議員へ献金するため、同社OBが代表になっている二つの政治団体をトンネルにして、資金を流す仕組みをつくっていた疑惑がある。 逮捕された第1秘書は、この仕組みを通じて、自らが会計責任者を務める小沢氏の資金管理団体に、西松建設から事実上の企業献金を受け取っていた疑いが持たれている。 小沢氏はきのうの民主党の幹部会で、問題の献金について「すべてきちんと処理しており、まったく問題はない」と述べたという。鳩山由紀夫幹事長は「いろいろな陰謀があると感じる。政府与党側は何もないところからおかしな話をつかみ取ろうとしているのではないか」と記者団に語った。 だが、党首の資金団体の会計責任者である側近逮捕という深刻な事件だ。政府与党の陰謀だなどと反発するだけで済まされるはずがない。 トンネル献金の事実は本当になかったのか。小沢氏自身のかかわりはどうだったのか。小沢氏は自ら国民にきちんと説明しなければならない。 西松建設の裏金は計20億円にのぼるともいわれる。今回登場した二つの団体は、小沢氏以外にも複数の自民党などの政治家の団体に献金をした事実が分かっている。同社の社員らの個人名でした寄付もあった。 小沢氏以外の政治家側には、規正法違反はなかったのか。特捜部には徹底的に疑惑を追及してもらいたい。 今回の事件が、混迷する政局に投げかける影響は計り知れない。 民主党は、記録的な低支持率にあえぐ麻生首相を早期の衆院解散に追い込もうと攻勢を強めてきた。その主役は、何と言っても一昨年の参院選を与野党逆転に導いた小沢代表である。 民主党は、引き続き小沢氏を中心に結束を固めていけるのか。解散・総選挙の時期をめぐる首相の判断にどんな影響を及ぼすのか。 小沢氏の政治資金をめぐっては、2年前、政治団体名義で東京都内や地元岩手県にマンションなどを所有していることが「財テクではないか」と批判を浴びたことがある。 その時、小沢氏は自ら記者会見して領収書や契約書などを報道機関に公開し、個人の所有ではないと説明した。その後、事務所費疑惑が指摘された自民党議員らも領収書などを公開せざるを得なくなる流れをつくった。 今回も事実関係を調べ、国民に説明を尽くす。それも一刻も早く。それこそが小沢氏の責任だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 3、社説:公設秘書逮捕 小沢氏は責任を明確にせよ 毎日新聞 2009年3月4日 準大手ゼネコン・西松建設の裏金事件に絡み、小沢一郎・民主党代表の公設第1秘書らが3日、東京地検特捜部に政治資金規正法違反の疑いで逮捕された。今の政治状況を一変させる可能性のある衝撃的な逮捕である。 小沢氏は同日の党幹部会で「適切に政治資金を処理している」と語ったといい、秘書も容疑を否認しているという。だが、衆院解散・総選挙が近づく中、これまで追い風が続いていた民主党へのダメージは避けられない。小沢氏は早急に事実関係をきちんと説明し、責任を明確にすべきだ。 政治資金規正法では、届け出があった政党側以外への企業からの献金を禁止している。しかし、西松建設は、同社OBを代表とする政治団体を隠れみのにして違法な企業献金をしてきたとされる。 今回の容疑は小沢氏の資金管理団体「陸山会」の会計責任者である秘書が、実際にはOB団体を名義にした西松建設の企業献金と認識しながら、計2100万円の献金を受け取り、政治資金収支報告書に虚偽の記載をしたというものだ。 西松建設のOBが設立した二つの政治団体には同社の課長クラス以上の幹部が会費を支払い、後で会社が賞与に上乗せする形で補てんしていたという。西松建設の前社長も同時に逮捕されており、企業ぐるみの違法献金だったことは明らかで極めて悪質だ。 企業や業界との癒着につながる不明朗な政治家とカネの問題はこれまでも再三指摘されてきた。小沢氏もかつて、自らの資金管理団体が巨額な不動産を取得していた問題で与党から追及されたこともあった。 もちろん、今後の捜査の進展を慎重に見極めなくてはならない。だが、小沢氏は「古い自民党政治」と決別するため、自民党を離党し、政権交代を目指してきたはずだ。その小沢氏と自民党政治の象徴といえるゼネコンとの不透明な関係が今回明るみに出た。有権者の間には「小沢氏も古い体質から逃れられない」とのイメージが広がるだろう。 小沢氏の政治的な責任が大きいのはそこだ。今後、小沢氏の進退問題につながる可能性がある。野党優位で進んできた国会情勢も大きく変わるかもしれない。 民主党内には総選挙が近づく時期の逮捕に「政治的意図があるのではないか」と反発する声もある。だが、まず党を挙げて事実関係を確認し、国民に説明する方が先だ。 西松建設OBによる2団体の政治資金収支報告書などによると、06年に解散するまでの10年間で政治献金は総額3億8500万円に上り、小沢氏側以外にも、自民党や民主党の有力議員らの側にも提供されていた。同様に違法献金だった疑いもある。特捜部にはこれらについても徹底した捜査を求めたい。 【関連記事】 小沢氏秘書逮捕:「隠れみの献金」に警鐘 露骨な西松手法 小沢氏秘書逮捕:乏しい違法認識 政治家側「適正記載」 小沢代表:秘書を逮捕 西松から違法献金の疑い 東京地検 小沢氏秘書逮捕:市民ら政治に絶望感 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 4、社説「西松」違法献金 小沢代表は説明責任を果たせ 2009年3月4日01時18分 読売新聞 ゼネコンによる違法な政治献金に捜査のメスが入った。東京地検特捜部が3日、民主党の小沢代表の公設第1秘書らを政治資金規正法違反容疑で逮捕した。 「政治とカネ」にかかわる疑惑である。小沢氏は公党の党首として自らしっかり説明すべきだ。 今回の疑惑は、準大手ゼネコン「西松建設」の前社長らが海外で捻出(ねんしゅつ)した裏金を国内に持ち込んだ外為法違反事件を捜査する過程で浮上した。小沢氏の公設秘書とともに、西松建設の前社長ら2人も逮捕された。 政治資金規正法は、他人名義での献金や政党以外への企業献金を禁じている。 しかし、西松建設は、OBを代表にした二つの政治団体を使い、小沢氏の資金管理団体「陸山会」に2003〜06年に計2100万円を寄付した。社員を政治団体の会員にして会費を払わせ、その分を賞与に上乗せしていた。 西松建設関係者によると、こうした違法献金は、1993〜94年のゼネコン汚職で、政治家との癒着が厳しく批判されたため、企業名が表に出ないようにする“工夫”だったという。 「政治活動が国民の不断の監視の下に行われるようにする」という政治資金規正法の目的を骨抜きにする、あるまじき行為だ。 陸山会の会計責任者である小沢氏の秘書は、実際は西松建設からの献金と知りつつ、2政治団体からの寄付と偽った政治資金収支報告書を、総務省に提出した疑いが持たれている。 小沢氏は民主党の幹部に対し、「きちんと処理しており、全く問題ない」と説明したという。民主党の鳩山幹事長は「国策捜査のような雰囲気がする」などと捜査を批判している。 だが、公設秘書が逮捕された事実は重い。民主党内では小沢氏の進退を問う声も出ている。小沢氏は、西松建設との関係や資金管理団体の収支などについて進んで明らかにする必要がある。 一方、西松建設の問題の政治団体は、小沢氏への献金額が突出していたが、ほかにも与野党の20人近い国会議員や県知事などに献金したり、パーティー券を購入したりしていた。 検察当局は、小沢氏周辺はもちろん、他の政治家に対する資金の流れについても、全容を解明していかなければならない。 献金などを受けた政治家が、それぞれ説明責任を果たすべきことは、言うまでもない。 (2009年3月4日01時18分 読売新聞)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 5、【主張】西松献金逮捕 小沢氏の責任は明白だ 2009.3.4 03:38 産経新聞 ■首相は懸案解決に邁進せよ 準大手ゼネコン「西松建設」の裏金事件は、小沢一郎・民主党代表の公設第1秘書らが政治資金規正法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕されるという衝撃的な事件に発展した。小沢氏自身の政治責任はきわめて重いと言わざるを得ない。自ら出処進退を明らかにすべきだろう。政権交代を目指す政党の責任者として、政治とカネの問題で国民の信頼を失いつつあることを重く受けとめるべきだ。 逮捕された大久保隆規容疑者は、西松建設側から不正な政治献金を受けたとされる政治資金管理団体「陸山会」の会計責任者を務めている。また公設第1秘書は側近中の側近でもある。 小沢氏はこうした事態とどう向き合うのか。 小沢氏はこれまで、西松建設側からの資金提供について「企業献金ではなく、政治団体からと思って受け取ったのだと思う。何ら違法性はない」と説明していた。東京地検の強制捜査前には、小沢氏は民主党本部での幹部会で「すべてきちんと処理している。まったく心配はない」と語り、政治資金に関する法令上の問題はないとの認識を示した。 民主党執行部もその説明を了承したというが、不明な点ばかりではないか。政治とカネをめぐる事件が党首周辺で起きた事態を深刻に受け止めているのか。 小沢氏自身も含め、民主党は今回の事件について国民に説明する責務がある。 ≪政権を担当できるのか≫ とくに小沢氏は最近、北朝鮮による拉致事件に対し、金銭的な解決しかないとの趣旨の発言を行ったとされる。政治家の資質を疑いたくなる発言といえる。 西松建設の裏金問題は同社前社長の国沢幹雄被告(外為法違反で起訴)が中心となって、海外にプールした約10億円の裏金を税関に無届けで日本に持ち込んだことから発覚した。 東京地検特捜部は西松建設が与野党の政治家の政治資金管理団体に献金していた疑いが強いとみて、捜査を続け、小沢氏の政治資金管理団体に2100万円の不正献金があったことをつかんだ。 西松建設の手口は巧妙だ。同建設のOBが代表を務める政治団体が、政治家の資金管理団体に献金するというやり方をとっていた。政治資金規正法は、企業献金先を政党と政党の資金を管理する政治資金団体に限っており、他人名義や匿名での寄付も禁じている。 不正な政治献金の舞台とされた「陸山会」は一時期、東京都内などに計13件、総額10億円を超す不動産を購入していた。政治資金規正法に触れないものの、不適切ではないかと問題視されていた。 自民党などは政治団体の不動産所有は政治資金による資産形成にあたると指摘していた。こうした問題も徹底解明を期待したい。 今秋までには衆院選を通じて自民、民主両党による天下分け目の戦いが行われる。麻生内閣の支持率の低迷などから、自民党の苦戦が予想され、有権者の間にも選挙後には民主党を中心とした政権が誕生する可能性が高いとの認識が広がっている。 ≪国民の政治不信に拍車≫ それだけに民主党トップの秘書が逮捕されるという事件は、民主党支持層に限らず多くの国民は信じられない思いを抱いたに違いない。ねじれ国会を背景として続いてきた国政の停滞に加え、今回の事件で新たな政治不信を招きかねない。 参院財政金融委員会は3日、定額給付金などの財源根拠となる関連法案を否決した。4日には参院本会議で否決、衆院再議決により成立する運びだ。それに続き、来年度予算案や関連法案などの参院審議が控えている。 麻生太郎首相にとってもここは踏ん張り時である。民主党の混乱に乗じて解散・総選挙を求める声が自民党内から出るだろう。だが、首相が全力を挙げるべき課題は内政外交の懸案を一つでも二つでも解決することだ。 株価下落などを受け、追加経済対策策定や補正予算の編成作業などの景気対策も待ったなしだ。 さらにアフリカ・ソマリア沖の海賊対策のため、海上警備行動として海自艦船を派遣するほか、海賊行為対処法案(海賊新法)の早期成立を図るべきだ。北朝鮮のミサイル発射問題もある。首相は指導力を発揮する絶好の好機ととらえるべきだ。
|