2009年02月09日(月) |
小千谷のパナソニック子会社撤退 |
報 道 1、パナソニック子会社、本州2拠点を福岡本社などに統合 2009年2月6日 読売新聞 2、小千谷のパナソニック子会社撤退で対策会議 2009年2月7日 読売新聞 3、「安定雇用」は幻想、就業能力高める道をめざせ(2009/2/5) 森 一夫 特別編集委員 http://www.nikkei.co.jp/neteye5/mori/index.html
田村智行新潟労働局長は「過去に例のない早さで雇用調整が進んでいる。今後も正社員の雇用調整が続く可能性がある」と、現在の雇用情勢に危機感を示した。家電大手パナソニックの子会社「パナソニックコミュニケーションズ」が新潟事業場(小千谷市)の撤収を決めた。ここに勤める270人は九州に転勤するか退職するかの決断をしなければならない。
「子どもは小さいし、住宅ローンもある。妻子と離れ、九州に異動するしかありません」――。6月末までに閉鎖されることが決まった「パナソニックコミュニケーションズ」(本社・福岡市)の新潟事業場(小千谷市)に勤める30歳代の男性は、ふる里長岡市を離れ、九州へ異動することを決意したという。サラリーマン残酷物語である。
自分の意思と大きくかけ離れた条件を出す会社は、自分から辞めるだけの「就業能力」を常に磨く必要がある。生涯青春の会で「自己鍛錬の場」(社会の情報を題材とするスピーチの会)を提供しているが、この価値観を深く理解する人が少ないので、若者中心の会は休止の方向である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1、パナソニック子会社、本州2拠点を福岡本社などに統合 2009年2月6日 読売新聞 パナソニック子会社のパナソニックコミュニケーションズ(PCC、福岡市)は5日、複合機やファクスの開発拠点である宇都宮事業場(宇都宮市)と生産拠点の新潟事業場(新潟県小千谷市)を6月末までに閉鎖し、本社と佐賀事業場(佐賀県鳥栖市)に統合すると発表した。 パナソニックは、グループ国内外で27か所の製造拠点閉鎖と1万5000人の人員削減を発表しており、PCCの事業場統合はその一環。宇都宮には612人、新潟には245人の従業員がいるが、同社は「統合先への異動を基本に雇用確保を図る」としている。 景気後退に伴う企業の経費削減を受け、複合機などの市場は縮小しており、PCCは事業場再編で生産性向上を目指す。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 2、小千谷のパナソニック子会社撤退で対策会議 2009年2月7日 読売新聞 家電大手パナソニックの子会社「パナソニックコミュニケーションズ」が新潟事業場(小千谷市)の撤収を決めたのを受け、県、新潟労働局などによる「緊急雇用対策新潟本部」が6日、県庁で会合を開いた。 冒頭、泉田知事は「社員全員が配置転換に応じられるとは限らない。痛みが軽減出来る対策をしたい」と述べ、田村智行新潟労働局長は「過去に例のない早さで雇用調整が進んでいる。今後も正社員の雇用調整が続く可能性がある」と、現在の雇用情勢に危機感を示した。 会合は非公開。同労働局によると、国の2次補正予算などをもとに対策を拡充する方針で一致したという。終了後、泉田知事は、「小千谷市は被災地でもあり、県も(復興)基金などを使いながら支援している。それ以外にも必要あれば対応したい」と述べた。 ◇ 「子どもは小さいし、住宅ローンもある。妻子と離れ、九州に異動するしかありません」――。6月末までに閉鎖されることが決まった「パナソニックコミュニケーションズ」(本社・福岡市)の新潟事業場(小千谷市)に勤める30歳代の男性は、ふる里長岡市を離れ、九州へ異動することを決意した。 会社側から事業場閉鎖の話が正式にあったのは5日午後。海外への製造拠点移管など、国内の事業拠点は縮小傾向にあったことから、「本社から遠く離れた新潟事業場はいずれ閉鎖されるだろう」と内心覚悟はしていた。 同社は、正社員245人について、本社がある九州への転勤を条件に雇用は維持する方針。異動を断った場合の退職金の説明など、来週から事業場閉鎖に向けた動きが本格化するが、女性、年配の社員を中心に、既に退職を決意した人も多いという。 新築したばかりの自宅のローン約2000万円が重くのしかかる。妻と小学生、保育園児の子ども2人と離れるのが何よりもつらいが、妻とは「このご時世に働く場所があるだけまし」と話し合った。新天地での生活に慣れたころ、妻子を九州に呼び寄せるつもりだ。 (2009年2月7日 読売新聞) ――――――――――――――――――――――――――――――――― 3、「安定雇用」は幻想、就業能力高める道をめざせ(2009/2/5) 森 一夫 特別編集委員 http://www.nikkei.co.jp/neteye5/mori/index.html 2008年12月の完全失業率が前月比で0.5ポイントも上がって一気に4.4%になったため、雇用情勢の悪化に一段と危機感が高まっている。今や「雇用の安定」が社会的な課題に浮上しているが、中身をよく考えないと幻想を追うことになりかねない。 「正社員=安定雇用」は一面的な見方 年末年始に東京の日比谷公園に設けられた「派遣村」が連日、マスコミによって報じられた影響は大きい。派遣契約を解除されて、住居を失った人たちが派遣村に救いを求める姿は、見る人に強烈な印象を残した。 失業して路頭に迷う人たちの救済が重要であることは、あらためて言うまでもない。しかし、その結果、派遣社員に代表される非正規社員という雇用形態が、雇用不安の原因という受け止め方が広がった。 製造業への派遣禁止など、派遣労働を規制すべきだという声が高まり、国会で検討されている。非正規社員=不安定雇用だから、非正規労働を規制して減らせば不安定雇用は減るという短絡的な考え方である。 この背景にあるのは、非正規とは逆に、正社員=安定雇用という一面的なとらえ方である。非正規を制限すれば、正社員が増えて、雇用は安定する。こういう流れを思い描いているわけだが、果たして、実際にそうなるのか。 景気回復で忘れられた「拓銀・山一の教訓」 疑問が二つある。第一に、非正社員を減らせば、その分が正社員にそっくり移るのか。第二に、正社員=安定雇用というのは、本当にそうなのかという点である。 例えば、もし製造業への派遣労働を禁止した場合、どうなるのだろうか。直接雇用に変わったとしても、予想されるのは期間契約社員への移行である。あるいはメーカーが製造請負会社をつくって、そこで雇用する方法もある。実際には、いわゆる終身雇用型の正社員に移れる人は限られるのではないか。 たとえ正社員になっても、これからは安心できない。正社員=安定雇用という見方は、たぶんに思い込みではないのか。「正社員」には良い待遇というイメージがあるが、これも一概には言えない。現在、非正規社員の削減が先行しているが、正社員は決して聖域ではない。NECグループやJVC・ケンウッド・ホールディングスなど、正社員の削減に動いている企業も少なくない。 1997年に北海道拓殖銀行や山一証券などが経営破たんした時、大企業の不倒神話は崩れ、終身雇用も当てにならないことを多くの人が知ったはずである。ところが2002年からの景気回復により企業の新卒採用が持ち直すと、再び正社員=安定雇用という観念が支持されるようになった。 しかし今回の世界的な不況による景気の落ち込みは激しく、すぐには回復しない。正社員の雇用調整も増加するだろう。非正規=不安定、正規=安定という雇用形態の違いによって、「安定雇用」を考えるのは現実的ではないことが、いずれはっきりするだろう。 「就業能力で職を確保する時代」へ発想転換を 正社員、非正社員という言葉自体、職種、職業よりも、どこの会社の社員かを重視する古い観念に基づいている。グローバル競争と情報化により変化は速まっており、「会社」に一生を預ける危険性は以前とは比べものにならないくらい高まっている。 これからは個人が能力開発や職業経験を通じて、就業能力を高めることによって、職を確保する時代である。企業も、賃金制度を含めて人事制度を、外部の労働市場とリンクしたものに改めていく必要がある。個人は会社を代わったり、職種を代わったりしながら、全体として雇用が継続できる社会を目指すべきだろう。どこかに「安定雇用」というものがあると思うのは錯覚である。
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