2008年12月28日(日) |
世界不況 非正規社員8万5000人の解雇 |
資料 1、生活危機:08世界不況 非正規社員8万5000人、悲痛な叫び 2008年12月28日 毎日
厚生労働省の調査によると、10月から来年3月までの半年間に失業する非正規社員は8万5000人を超えるという。この数字は解雇予告をされた集計で、1−3月になると更に増加することは必至といわねばならない。今日は主な内訳を整理したい。
1、主な企業の非正規社員削減数 トヨタ自動車 6000 ホンダ 1250 日産自動車 2000 マツダ 1500 スズキ 960 ダイハツ工業 500〜600 いすゞ自動車 1400 ソニー *16000・・・正社員8000人を含む キヤノン 1700 東芝 1230 TDK 1000 YKK AP 1000
2、雇用形態別の失業者 派遣 57300 期間工 15737 請負 7938 その他 4037 合計 85012
3、県別の失業者 ◇都道府県別の非正規社員の失業状況 (合計人数の多い順に集計) 合計 愛知 10509 長野 4193 福島 3856 静岡 3406 栃木 2912 岐阜 2818 岡山 2629 広島 2620 神奈川 2539 大分 2511 滋賀 2463 群馬 2385 三重 2281 山形 2239 岩手 1996 山口 1863 福岡 1863 富山 1822 新潟 1818 宮城 1801 石川 1799 東京 1736 茨城 1720 北海道 1663 福井 1661 京都 1635 兵庫 1610 島根 1400 埼玉 1332 大阪 1311 宮崎 1200 鳥取 1159 佐賀 1159 秋田 1142 青森 1014 山梨 702 鹿児島 663 千葉 562 長崎 533 奈良 505 愛媛 466 熊本 430 徳島 410 和歌山 313 香川 245 高知 103 沖縄 15 合計 85012 詳しくは以下をお開きください。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 1、生活危機:08世界不況 非正規社員8万5000人、悲痛な叫び 2008年12月28日 毎日 大不況が雇用を直撃している。厚生労働省の調査によると、10月から来年3月までの半年間に失業する非正規社員は8万5000人を超えそうだ。政府や自治体が短期の仕事や住宅を提供し始めたが、年明けには失業者がさらに増えるとの見方もある。不安を抱えたまま新年を迎える人々からは、さらなる支援を求める声が上がっている。どうすればこの危機を乗り越えられるのか。 ◇9割「就職先なし」 ◇景気・雇用の実態 発端は昨年夏、米国で顕在化した低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題だった。今年9月に米大手証券「リーマン・ブラザーズ」が破綻(はたん)すると一気に金融不安が高まり、急激な株安と円高が進んだ。輸出に依存してきた日本のメーカーは打撃を受け、競うようにして非正規社員削減に走り出した。 厚労省が26日に発表した調査結果によると、今年10月から来年3月までに削減される非正規社員は、8万5012人。企業に聞き取りをしてまとめた数字だが、「すべての事例を把握しているわけではない」としており、実態はさらに深刻とみられる。 このうち年内に職を失う労働者は5万2684人。12月だけで、3万4368人が失業する見通しだ。派遣契約の途中で契約を解除される派遣労働者は2万9451人を数える。 再就職の状況が分かった1万7171人のうち、9割近くは「就職先なし」。就職先が決まっているのは1割程度にとどまっており、再就職の困難さが浮き彫りになっている。 ◇国や自治体の対策 非正規社員の大量失業を受け、政府や自治体は、就業や住宅確保の支援に相次いで乗り出した。 トヨタ自動車のおひざ元の愛知県豊田市は失業した非正規社員約100人を臨時雇用したり、最大40万円を無利子で融資する対策を打ち出した。愛知県も約200人を県職員として臨時採用する。 キヤノングループの製造拠点の大分市は、就職先や住居が決まるまで、市営住宅を月5000円で貸し出している。別府市旅館ホテル組合連合会も、市内のホテルで70人以上を雇用する方針。 富士重工業の群馬製作所がある群馬県太田市は、解雇や契約打ち切りとなった市内居住者を対象に、ホームヘルパー2級の資格取得に必要な研修費用の半額を助成する。 滋賀労働局は各地で週1日の「外国人出張行政相談コーナー」を新設。ポルトガル語やスペイン語で雇用保険の手続きを紹介するなど、外国人の生活相談にのる。 一方、国は、失職して会社の寮を出された派遣労働者らの住宅として、雇用促進住宅の空き室約3万室を活用する方針。来年1月には受け入れを開始する。 ◆識者の処方せん ◇失業者は「被災者」だ−−浜松大准教授・柴崎孝夫さん(57) トヨタ自動車は、安い部品を効率的に調達する「カンバン方式」を徹底追求して生産性を高め、世界的な企業に成長した。日本の企業は人材確保にもこの方式を導入し、非正規社員を増やしてきた。それが、今回の不況で失業者の急激な増加を招いた要因だ。 企業はグローバル経済に対応するため、合理化に走った。中高年社員のリストラを進め、人材を派遣やパートのような労働力で補った。人件費が安い中国の経済発展で、より低コスト意識が強くなったことも大きい。規制緩和の影響もあり、非正規社員は労働者全体の3分の1に当たる1700万人にまで増加した。 景気に関係なく、企業は繁忙期に多くの従業員を雇い、仕事が少ないと余剰人員をカットする。その調整弁の役割を、非正規社員は背負わされている。企業の意向一つで失業し、生活が不安定になる。失業と同時に住まいを失う人も珍しくない。人をモノとして扱う企業の姿勢が、労働者の生存権をも危うくしている。 企業の論理からすれば、商品が売れなくなった時に、大量の在庫を抱えないよう生産調整を行い、余剰人員を削減するのは当然かもしれない。 正社員が多かった時代は、給料カットや株主への配当金の引き下げなどで乗り切ってきた。いまは非正規社員の解雇で調整が利く。固定経費だった人件費は、流動的な費用になっている。 だが、目先の利益を確保することが、本当に企業の発展につながるのか。解雇された労働者は収入が断たれ、物を買わなくなる。企業の業績向上に不可欠な消費も冷え込む。結局、購買力を確保するには雇用を守るしかない。企業には先を見据えた対応を心がけてもらいたい。 失業者に対するセーフティーネットの構築には、膨大な資金がいる。大企業は雇用を守ることで、自らの社会的責任を果たすべきだ。失業者を生むことは反社会的な行為と考えてほしい。 失業者を臨時職員で採用する自治体も出始めた。大量の失業者が出ることは、大災害と同じだという心づもりで、支援策を拡充する必要がある。失業者一人一人が「被災者」という考えで取り組みを進めてもらいたい。 ◇セーフティーネットを−−弁護士・中野麻美さん(57) 政府は近年、民間活力を導入すれば雇用や福祉の向上にもつながるとして規制緩和を進めてきたが、それが裏目に出ている。派遣など非正規で働く人を中心に失業が続出し、今は最初の小爆発に過ぎないのではないか。生活を保障したり、次の職につなげるセーフティーネットが必要なのに、ほとんど整備されていない。 06年に偽装請負が社会問題になり、多くの企業は請負を派遣に切り替えた。派遣期間は原則1年、特別な手続きを経ても上限は3年で、製造業派遣の多くが09年で違法な状態となる。この「09年問題」を前に、製造業の「派遣切り」は直接雇用を避けたい企業が不況を口実に進めているとの見方もできる。 期間従業員の契約期間中の解雇も相次いでいる。期間従業員も派遣社員も、最低でも残りの契約期間中の賃金が支払われるべきだ。多くの人々が職を失っている今、緊急的な対策として、まず生活の基本となる住居の確保が必要だ。だが転居は労働者の負担が大きい。継続して住まう保障があってこそ、安心や明日に向かうエネルギーが生まれる。 本来、派遣業者はハローワークと並んで働き手と仕事をマッチングし、生活の安定に寄与する役割を果たすからこそ、その存在が認められたはず。それが失業させたうえに住まいから追い出してしまうようでは本末転倒だ。失業給付も登録型派遣労働者にとって1カ月の待機期間が設けられるのは生き死ににかかわる問題で、迅速な受給体制が求められる。 中長期的には規制緩和政策の見直しが不可欠だ。市場原理に任せると、人間の労働は一般の商品より買いたたかれ、安い賃金で使い捨てにされる。市場原理にワンクッションおいてだれもが安心して働ける仕事を保障するためのルールやセーフティーネットの構築が課題だ。 派遣先が決まった時だけ働く「登録型派遣」を認めてしまった労働者派遣法には基本設計上の欠陥があった。常用雇用を原則とすべきだ。また「ワークシェアリング」が本格的に目指されるべきだ。そのためにも、政治がリーダーシップをとって新しい時代にふさわしいルールを作ること。今は厳しくても頑張ろうという社会に、きっとなるはずだ。 ◇米国の負の側面露呈−−エコノミスト・門倉貴史さん(37) 今回の不況は、日本だけにとどまらない世界同時のものだ。90年代初頭のバブル崩壊や、その10年ほど後のIT(情報技術)バブル崩壊の状況とは明らかに異なる。景気が悪くなると、しばらくして雇用が悪化するのが従来のパターンだったが、今回は景気と雇用の悪化がほぼ同時に進んでいる。 日本は長年、終身雇用・年功序列を守ってきた。高い経済成長率とピラミッド型の人口構造が崩れてきたこともあり、近年はそうした制度を見直す企業が目立ち、雇用調整をしやすい構造に変化した。今は企業で働く人たちの3人に1人が非正社員という状況だ。これが、景気悪化による急速な人減らしを可能にしている。 今後は消費が減るため、小売業などにリストラの波が及ぶ可能性がある。影響はサービス業にも広がり、レジャー消費を控える志向が強まるだろう。来春からは、非正規社員だけでなく正社員の雇用調整が本格化する可能性すらあるだろう。 こんな状況にもかかわらず、日本の政局は依然不安定で、有効な雇用対策を打ち出せずにいる。現在までに打ち出されている対策は、比較的年代の若い非正社員向けのものだ。中高年の失業者向けの対策としては不十分と言わざるを得ない。 もし本気で雇用を安定させるつもりなら、政府が急激な円高を阻止するとか、派遣労働の規制を強めるような形を取るべきだ。定額給付金では、景気の浮揚効果は期待できない。将来の消費税増税を約束している以上、必ずしも追加的な消費には回らないだろう。 2010年春卒業の大学生の就職戦線も厳しい。新卒採用は相当絞り込まれ、10年ほど前の氷河期に近くなるだろう。業績がいい企業が、ずっと好業績を維持するとは限らない。かなり長い目でどの企業が伸びるか見極める必要がある。転職すればキャリアアップできると言われるが、統計を見れば実態はダウンしている。今は控えた方が無難だろう。 結局、日本は米国に追従して雇用の規制を緩和してきた。年俸制を導入したりして米国の体質に近づいた。今回の不況で米国的体質の負の側面が明らかになったと思う。伝統的な日本の雇用慣行が世界的に見直される契機になるかもしれない。 ============== この特集は、木戸哲、工藤哲、町田徳丈、山本太一が担当しました。 ============== ◇主な企業の非正規社員削減数 トヨタ自動車 6000 ホンダ 1250 日産自動車 2000 マツダ 1500 スズキ 960 ダイハツ工業 500〜600 いすゞ自動車 1400 ソニー *16000 キヤノン 1700 東芝 1230 シャープ 640 TDK 1000 YKK AP 1000 日立建機 900 三菱マテリアル 300 日産ディーゼル工業 200 *正社員を含む …………………………………………………… ◇都道府県別の非正規社員の失業状況 (合計人数の多い順に集計) 派遣 期間工等 請負 その他 合計 愛知 3983 4834 1675 17 10509 長野 3360 309 170 354 4193 福島 3213 287 4 352 3856 静岡 2766 490 125 25 3406 栃木 1263 753 878 18 2912 岐阜 2119 279 420 0 2818 岡山 2143 460 0 26 2629 広島 2252 306 0 62 2620 神奈川 2162 285 80 12 2539 大分 671 385 1455 0 2511 滋賀 1713 0 374 376 2463 群馬 1431 868 80 6 2385 三重 1849 236 150 46 2281 山形 2025 111 66 37 2239 岩手 1396 478 74 48 1996 山口 1533 200 60 70 1863 福岡 1592 62 171 38 1863 富山 1612 182 27 1 1822 新潟 1209 436 56 117 1818 宮城 1557 119 111 14 1801 石川 1160 613 15 11 1799 東京 104 819 0 813 1736 茨城 1401 84 235 0 1720 北海道 1183 219 0 261 1663 福井 1371 0 0 290 1661 京都 1336 260 0 39 1635 兵庫 1350 39 215 6 1610 島根 629 117 461 193 1400 埼玉 653 599 80 0 1332 大阪 588 567 14 142 1311 宮崎 806 64 310 20 1200 鳥取 1073 46 0 40 1159 佐賀 982 92 85 0 1159 秋田 534 418 11 179 1142 青森 875 82 57 0 1014 山梨 411 236 37 18 702 鹿児島 542 24 44 53 663 千葉 179 175 208 0 562 長崎 440 10 0 83 533 奈良 276 0 23 206 505 愛媛 466 0 0 0 466 熊本 310 120 0 0 430 徳島 252 0 158 0 410 和歌山 248 0 9 56 313 香川 243 2 0 0 245 高知 39 61 0 3 103 沖縄 0 10 0 5 15 合計 57300 15737 7938 4037 85012
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