『日々の映像』

2008年12月18日(木)  派遣切のおびただしい報道


報 道
1、派遣切り無情、50歳元教師はホームレス同然 「屈辱と寒さで…」
                           2008.12.10  産経
2、日産が国内工場で追加減、派遣社員はゼロへ
                           2008.12.17  産経
3、「泣いてる市民見過ごせない」 派遣切りや解雇に救いの手続々
                           2008.12.18  産経
4、解雇された派遣社員ら対象のハローワーク、1カ月前倒し開設
                            2008.12.18 産経
5、派遣会社団体が寮の空き室提供 雇い止めの労働者に、愛知
                            2008.12.17 産経

 派遣切りに関するおびただしい報道がある。このような社会の姿を直視しなければならない。ここでは報道の一部を引用しておきたい。日産の派遣社員は約2000人在籍していたが、全員が解約されることになった。次は正社員の解雇・希望退職の動きが出てくるのではないかと思う。米国同様日本も経験したことに無い労働環境になることは必至と言わねばならない。

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1、派遣切り無情、50歳元教師はホームレス同然 「屈辱と寒さで…」
                      2008.12.10 13:55  産経新聞

 世界的な金融危機の影響で増加を続ける“派遣切り”。「このままでは平成21年を迎えられない」…契約を解除され、仕事を失った派遣労働者の窮状を訴える声は、年の瀬が近づくとともに大きくなっている。
学生も悲痛 内定取り消し「年末に通告…なぜ」
 三重県の駅構内には、蓄えもないまま派遣先の寮から立ち退きを求められ、ホームレス同然の生活を余儀なくされた50歳の男性の姿があった。
 「屈辱感と寒さで…」
 体の震えはなかなか止まらなかった。
 「申し訳ないが、今回の契約満了をもって終了とさせていただきたい」
 木枯らしが街を吹き抜けた11月半ば。三重県四日市市の大手メーカー半導体工場に勤務していた男性(50)は、登録していた派遣会社から今月末で終わる雇用契約を更新できないと告げられた。
 工場では秋ごろから業績が急速に悪化、約80人いる派遣労働者との契約を打ち切る方針が打ち出されたのだ。
 ほんの数カ月前までは、“次”の職場を斡旋(あっせん)してもらえた。だが、派遣会社の担当者は、無情にこう続けた。
 「こちらでも探してはみますが、なにぶんこの情勢ですから…ご自分でも探してください」
 事実上の解雇通告だった。
 男性は、ハローワークで紹介された約20社を回った。
 「年はいっていますが体は丈夫です。使ってください」
 必死に訴えたが、どこの採用担当者も判で押したように同じ反応だった。
 「35歳ぐらいまでならなんとかなるけど、その年齢ではね…」
 すべて冷たく断られた。
 工場の寮からは退去を余儀なくされた。所持金はおよそ8万円。身の回りの品を詰め込んだスポーツバッグ2つを手に、駅構内で雨露をしのぐ生活が始まった。
 初めて野宿をした夜は、「寒さと恥ずかしさ、屈辱感で思わず涙がこぼれた」。
×    ×
 鹿児島県出身。大学卒業後、福岡市の市立中学校で社会科教諭をした。
 学校の管理職と保護者の板挟みに悩み、平成元年に退職。情報技術系の専門学校に講師として再就職したが、少子化の波が押し寄せ、16年に閉鎖。妻とも離婚した。
 この年、当初は専門性の高い職種に限られていた労働者派遣法が製造業にも解禁され、大勢の派遣労働者が市場に生まれた。
 40代半ばになっていた男性も「一から仕事を始めてもある程度の収入が見込める」と、「派遣の世界」に飛び込んだ。
 最初の勤務先は大分の自動車工場。残業も含めて1日約12時間、重い部品を運ぶ重労働だったが、「手取りで40万円近い月収があった」。
教師時代に故郷の鹿児島に一戸建てを購入しており、毎月返済を続けてきた。
 まだ300万円ほど残っているという。しかし、今の状態では、とても支払えない。この家には84歳になる母親が今も暮らしている。
 毎月少ないながらも続けていた仕送りも、できなくなった。心配をかけたくないから、工場を解雇されたことは告げていない。
 面接の交通費代がかさみ、所持金は約3000円まで減った。
 「どんな仕事でもいいから働きたい。母には決まったときに連絡するつもりです」
 そう力ない言葉を発した男性は、恨めしそうに冬空を見上げた。

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2、日産が国内工場で追加減、派遣社員はゼロへ
                        2008.12.17 23:46産経
このニュースのトピックス:自動車産業
 日産自動車は17日、今年度内に国内工場で約7万8000台の追加減産に踏み切ると発表した。9月以降の減産幅は約22万5000台。今期の国内生産台数は当初138万8000台の予定だったが、計画比で約16%の減産となる。世界的な新車販売の不振が続くなかで、ホンダも同日に追加減産の方針を決定しており、大幅減産の動きがさらに加速しそうだ。
 日産は栃木工場(栃木県上三川町)や九州工場(福岡県苅田町)などで追加減産を行う。減産に伴い、派遣社員の削減計画も見直す。11月時点では、来年1月時点で在籍する派遣社員を約500人とする計画だったが、さらに中途解雇を含め3月末までに段階的に削減する。同社の派遣社員は期初時点で約2000人在籍していたが、今回の追加策で全員が解約されることになる。
 ホンダも四輪車の国内3工場で、今年度内に5万4000台の追加減産を決めた。来年2月までにさらに期間従業員450人の契約を解除する。
 国内自動車メーカー主要各社が今年度中に国内外で行う減産は計220万台以上となった。国内の非正規従業員(期間従業員と派遣社員)の削減は計1万5000人を超えた。


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3、「泣いてる市民見過ごせない」 派遣切りや解雇に救いの手続々
                          2008.12.18 20:30 産経
 急速な景気後退で解雇や契約打ち切りが進むなか、自治体が仕事や住居を失った人を支援する動きが活発になっている。臨時職員としての採用や、県営住宅への入居を通じ、数カ月間をひとまず安心して過ごしてもらう緊急措置だが、契約が打ち切られる派遣社員らの人数と比較すると“救済”は限定的で、多くの人には厳しい年末年始が控えている。
 神奈川県の松沢成文知事は18日、解雇や契約終了で社員寮からの退去を余儀なくされた求職者83人を、県営住宅40戸に期限付きで入居させると発表した。松沢知事は「市町や住宅供給公社に働きかけて同様の手法を広げたい」としている。愛知、山口の両県でも同様に、県営住宅の一部を、契約打ち切りで退寮に追いやられた派遣労働者らに優先的に提供する方針を公表している。
 また、新潟県長岡市と上越市は、解雇対象となった派遣社員や契約社員を短期間の臨時職員として計130人雇用すると発表。福岡県も、内定取り消しなどで就職先が決まらない高卒者を、臨時職員として採用する方向で検討を始めた。
緊急雇用対策として約20人の臨時職員を採用するとともに、ホームヘルパー研修費用の助成を実施することを表明した群馬県太田市の清水聖義市長は「将来的に安定して生活できる場を作りたいと検討を重ねてきた。泣いている市民を見過ごすわけにはいかない」と話す。
 民間でも、進学塾経営の学究社(東京)が、10月以降に倒産、契約打ち切りなどに遭った失業者を対象に、首都圏の塾で軽作業などに従事する臨時職員の募集を始めた。採用するのは最大100人で、雇用期間は今月24日から最長4カ月としている。
 河端真一社長は「対策は限定的で“貧者の一灯”に過ぎないかも知れないが、報道でクリスマス、正月を無業で迎える人を見るのが忍びなく、『助け合い』のつもりで、できる範囲の支援をすることにした。塾の子供たちは社会に出ることに怖い印象を持ち始めており、教育的な面も考慮した」と話している。

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4、解雇された派遣社員ら対象のハローワーク、1カ月前倒し開設
                        2008.12.18 19:46 産経新聞

 東京労働局は18日、解雇された派遣社員、期間従業員らを正社員として就職できるよう支援する「東京キャリアアップハローワーク」を、1カ月余り予定を前倒して東京都新宿区に開設した。雇用情勢の悪化を受けた緊急対策としている。
 当面は8人の職員が求職者の希望に応じ、職業の相談や紹介などきめ細かい就職支援を行う。契約解除で寮を退去させられた派遣社員らに住宅を確保するための相談も受ける。
 解雇され、公園で寝泊まりしたこともあるという20代男性は「手元に現金がないので早く再就職したい」と話した。
 幹部職員は「年末を控え、職を失い困っている人が多い。短期の求人を約1020人用意しているので、とにかく早く面接に来てもらいたい」と話した。
 来年1月下旬から2月上旬に職員を増員し本格的に運用を開始。19日には名古屋市と大阪市でも前倒しして開設する。

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5、派遣会社団体が寮の空き室提供 雇い止めの労働者に、愛知
2008.12.17 18:37 産経

 企業の人員削減で契約を打ち切られた派遣労働者に対し、中部地方の派遣会社でつくる「中部アウトソーシング協同組合」は愛知県豊橋市などの寮空き部屋35室を1月末まで無料提供することを17日、明らかにした。18、19日に電話で受け付け、先着順で入居してもらう。組合加盟の派遣会社は50社。これまで契約打ち切りになった労働者に退寮まで数カ月の猶予を設けるよう努めてきた。しかし予想外に「派遣切り」が広がり、組合加盟社以外の労働者にも空き室を提供する。
 組合によると、対象は愛知県内の事業所で派遣労働者や請負労働者として働き、10〜12月に雇い止めや解雇になった人。光熱費などの実費負担は必要だが、保証人はいらない。入居後、1月以降の住居が決まらない場合は相談に乗るという。組合の高橋丈二副理事長は「人材派遣で利益を得ながら、不況で予測外の事態になった。派遣労働の方の現状を何とかしたい」と話した。

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石田ふたみ