『日々の映像』

2008年11月25日(火)  米銀行大手シティ 不良資産29兆円

壊滅的な数字である。シテイが巨大銀行といっても資産総額は2兆ドル(200兆円)である。内29兆円が不良資産というから驚く。米政府は大きすぎて潰されないため3000億ドル(29兆円)に大半を“肩代わり”することにしたのだ。正に米国流金融システムの崩壊である。米国はシテイ銀行を実質国営にして信用を保持、預金の流失を防ごうとしているようだが、予測不能な負のドラマが待っているような気がする。

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11月24日 米国発 金融危機関連情報(67)

――― 米銀行大手シティ 不良資産29兆円―――

1、米政府、シティに1.9兆円追加注入 不良資産29兆円損失補償 日経
2、シティ救済策の概要                     日経
3、シティの資産保証は最長10年 米政府救済策の詳細明らかに  日経
4、不良資産29兆円の損失保証 米銀シティ救済策で合意    共同通信
5、シティの普通株配当を実質禁止、役員報酬に上限 米政府が条件 日経
6、瀕死のシティ救済で200億ドル追加注入 米政府が深夜の発表 産経
7、米シティグループのCDSスプレッドが縮小、救済策の発表受け    JST
8、シティグループ5万人削減                  読売

 金融危機は野放しの自由が作り上げた金融システムが起こした破滅的な危機でないかと思う。米政府シテイグループに対する公的資金の投入と保障は次の通りである。
1、公的資本注入額の合計  450億ドル(約4兆5000億円)
2、不良資産の損失保証   3060億ドル(約30兆円)
シティが保有する不良資産の3060億ドルについて政府が保証。巨額の損失が出た場合に政府は大半を負担すると言う内容だ。金融の素人の見解であるが、これ程の不良資産が発生する金融システムは可笑しいと思う。

 30兆円といえば小さな国が国家破産する金額である。米国は保険最大手のAIGグループとシテイグループだけで、50兆円を超える公的資金を支出することになる。米国の国債発行額は約1000兆円である。この借金が1050兆円になることを意味する。素人なので巨視的な傾向の予測で恐縮であるが、米国はこの金融危機で借金が200兆円あまり増えて、1200兆円になるのではないか。問題はこの国債を米国民と何処の国が引き受けるのであろう。民間の金融危機が国家の危機に発展する可能性を否定出来ないと思う。
http://ameblo.jp/syougai3/entry-10169253141.html

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大き過ぎてつぶせない 米政府、シティの3000億ドル“肩代わり”
2008/11/25 Bloomberg

 米銀大手シティグループは、保有する3060億ドル(約29兆1893億円)の不良資産について、損失の一部を米政府が補填(ほてん)する保証を得た。政府は同行に対する追加救済措置により、金融安定化を目指す。

 米財務省とFRB(米連邦準備制度理事会)、米連邦預金保険公社(FDIC)が23日深夜(日本時間24日午後)に発表した共同声明文によると、シティは財務省から200億ドルの資本注入も受ける。また、シティは損失補填の保証の見返りとして、財務省とFDICに対し、優先株を発行。これにより政府はシティの優先株270億ドル相当を得る。優先株の配当利回りは8%。同行はすでに、問題債権購入計画(TARP)に基づき250億ドルの資本注入を受けている。

 米当局は2兆ドルの資産を持つシティの株価急落が預金引き揚げにつながり金融システムの安定を脅かすことを恐れた。AMPキャピタル・インベスターズのストラテジスト、ネーダー・ナエイミ氏は「必要な措置だった」として、「シティが倒れれば影響は壊滅的だ」と話した。

 優先株にはシティ株2億5400万株を1株当たり10.61ドルで購入する権利が付いている。シティ株が上昇すればこの投資から利益が出る。シティは四半期配当を1セントと、従来の16セントから大幅に引き下げる。

 資産保証の条件によれば、シティは3060億ドルの不良資産について発生する損失の最初の290億ドルは負担。これを超える損失については政府が90%を補填する。複数の当局者によると、政府はシティの経営陣の交代は求めない。

 株価急落に見舞われている米銀大手シティグループは、1000億ドル超の不良資産から今後見込まれる損失に歯止めをかけるための計画について、監督当局と週末から協議を行っていた。

 米投資会社キャンビア・インベストメントのブライアン・バリッシュ社長は、「『トゥー・ビッグ・トゥー・フェイル』(規模が大き過ぎてつぶせない)とはまさにシティのことだ」と述べた。

 ただ、アルパイン・ウッズ・キャピタルのポートフォリオマネジャー、ピーター・コバルスキ氏は「シティは一息ついたが、長期的には事態がさらに悪化し損失が膨らむ可能性はある。新興市場低迷の影響がシティのアキレス腱(けん)だ」と話した。

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 ■シティ救済共同声明

 米政府は、活力ある経済成長を取り戻すために不可欠な金融市場の安定性確保に全力を尽くしている。この姿勢の下、米政府は23日、シティグループ(以下シティ)に対して政府保証、流動性、資本を一括して供与することを承諾した。

 この合意の一環として、財務省およびFDICは、シティの貸借対照表に計上され続けるであろう住居用・商業用不動産およびその他の資産による3060億ドル規模の負債と証券から、著しく大きな損失が出る可能性に対する保護策を講じる。この見返りとして、シティは財務省とFDICに対して優先株を発行する。加えて、必要となれば、FRBは政府の公的資金を用いて、シティの資産になお残るリスクに対処する用意ができている。

 また財務省は、配当利回り8%の優先株と引き換えに、TARPからシティに対して200億ドルを拠出する予定である。シティは強化された役員報酬の制限を受け入れ、FDICの住宅ローン改良計画を実行することになる。

 以上の取引により、米政府は金融制度を強化するために必要な行動を起こし、米国納税者と米経済を保護する。

 われわれは引き続き、あらゆる資源を使って金融機関の強固さを保持し、その修復および再生を促進し、リスク管理を行う。そのために以下に記した原則に基づいた取り組みを行う。(1)各世帯、各企業にとって健全な信用の流れを回復させるために行動する(2)納税者からの資金を用いる局面では、慎重な監督と報告の責務を実行する(3)金融に関する政府の関与を慎重に制限する(4)各金融機関が民間から資本調達できるように支援をする。(Bradley Keoun、Alison Vekshin)






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石田ふたみ