『日々の映像』

2008年11月19日(水)  厚生労働省の次官経験者を狙った連続テロ

報道
1、元厚生次官夫婦、さいたま市の自宅で殺害
                    2008年11月18日13時48分 読売新聞
2、東京・中野で元厚生次官の妻刺され重傷、連続テロか
                    2008年11月18日22時22分 読売新聞
3、「不安ある」「不可解だ」=犯人像、想像できない−歴代厚生次官ら
                    2008/11/19-00:11 時事通信
4、元次官宅襲撃:「年金テロか」…厚労省は重苦しい雰囲気
                    毎日新聞 2008年11月18日 22時04分
  
 衝撃的な事件が起こった。さまざまな背景からして、類似事件が再発するような気がする。今日の日記はこの1行のみとしたい。。

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1、元厚生次官夫婦、さいたま市の自宅で殺害
2008年11月18日13時48分 読売新聞
 18日午前10時15分頃、さいたま市南区別所2、元厚生事務次官山口剛彦さん(66)方で、山口さんと妻の美知子さん(61)が血を流して死亡しているのを、近所の住民が見つけた。
 埼玉県警捜査1課と浦和署は、2人がいずれも刃物で刺されていることなどから、殺人事件として捜査を始めた。
 複数の捜査幹部によると、山口さん夫妻は玄関で並ぶように倒れ、ドア寄りの美知子さんには、深い刺し傷が複数あった。凶器は見つかっておらず、2人とも殺害された可能性が高いという。2人の出血は胸と腹から大量にあり、血が戸外まで流れており、近所の人から110番があった。
 玄関にカギはかかっていなかった。山口さんはワイシャツにズボン、美知子さんはシャツにスカート姿のいずれも普段着姿だった。
 山口さんは東京都出身で、1965年に厚生省(現・厚生労働省)に入省。官房長や保険局長を歴任し、96年11月に厚生事務次官に就任した。99年8月に退官している。
 山口さん宅は2人暮らし。現場は、JR武蔵浦和駅から北西約500メートルの閑静な住宅地。
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2、東京・中野で元厚生次官の妻刺され重傷、連続テロか
2008年11月18日22時22分 読売新聞
 18日午後6時30分ごろ、東京都中野区上鷺宮2の元厚生事務次官で社会保険庁長官も務めた吉原健二さん(76)方で、吉原さんの妻靖子さん(72)が、宅配便業者を装った男にいきなり腹など数か所を刺された。
 靖子さんは通行人に助けを求め、病院に搬送されたが、重傷。男は逃走した。同日朝には同じく元厚生事務次官の山口剛彦さん(66)のさいたま市内の自宅で2人が刃物で殺害されているのが見つかっており、警察庁は、厚生労働省の次官経験者を狙った連続テロの可能性があるとみて、二つの事件の関連性の捜査するよう警視庁と埼玉県警に指示した。
 警視庁野方署幹部によると、靖子さんを刺した男は身長約1メートル60、年齢30歳くらいの中肉。野球帽をかぶっていた。当時、靖子さんは自宅に1人でいたところ宅配業者を装った男に呼びだされ、玄関先に出た際、腹や胸など数か所を刃物で刺されたため、路上に出て助けを求め、通行人に保護されたという。
 一方、さいたま市南区の山口さん宅で2人の遺体が見つかった事件では室内は物色された跡がなく、2人の衣服に乱れがないことが捜査幹部の話でわかった。山口さんとともに殺害された女性は、妻の美知子さん(61)であることも判明。埼玉県警捜査1課は浦和署に捜査本部を設置した。
 捜査幹部によると、山口さん夫妻は玄関内で並ぶように倒れ、深いさし傷が複数あった。玄関にカギはかかっておらず、凶器は見つかっていない。玄関や他の部屋は荒らされておらず、血のついた足跡も採取されなかった。2人とも普段着姿で靴は履いておらず、服装にも目立った乱れはなかった。
 2人の遺体が発見された18日午前10時15分頃には血だまりの一部が固まり、死後硬直も始まっており、死後少なくとも数時間が経過していたとみられる。捜査本部は17日夕から18日早朝にかけて殺害されたとみている。
 山口さんは1996年〜99年まで厚生事務次官を務めた。吉原さんは88年〜90年まで同次官だった。
(2008年11月18日22時22分 読売新聞)
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3、「不安ある」「不可解だ」=犯人像、想像できない−歴代厚生次官ら
2008/11/19-00:11 時事通信
 元厚生事務次官の山口剛彦さん(66)夫妻と吉原健二さん(76)の妻(72)が相次いで刺された事件を受け、歴代の事務次官経験者らは、事件への不安や、犯人への怒りの心境を口にした。
 元厚生労働次官の沢田陽太郎さん(64)は事件について、「不安がないと言えばうそになる」とする一方、「心配しても始まらない。身辺に特に変わったことはなく、普段通りに生活したい」と語った。
 殺害された山口さんとは次官就任後に知り合った。今年3月に独立行政法人を辞職した際には、「しばらくゆっくりしたい」と話していたという。「極めて温厚な紳士。個人的な恨みを買うような人ではない」と強調した。
 吉原さんの後任次官だった坂本龍彦さん(74)は「まったく不可解な事件」と表情を曇らせた。歴代次官を狙ったテロの可能性に、「いい気持ちはしない」と述べた。
 山口さんの後任の羽毛田信吾宮内庁長官(66)は、「山口さんとは同期入省で、吉原さんは尊敬する先輩。とにかくショックで、悲しいの一言に尽きる」と感想を述べた。「何が狙いなのか見当が付かないが、犯人は早く捕まってほしい」と語気を強めた。
 辻哲夫前事務次官(61)は、事件を受けた心境についてはコメントを避けたが、犯人像について「まったく想像もできない」と不安をのぞかせた。
 社会保険庁長官を務めた後、今年9月まで最高裁判事だった横尾和子さん(67)は「わたしも胸を痛めていて、とても何かを申し上げる気持ちにならない」と言葉少な。厚労省から連絡を受けて事件を知ったといい、「自分の身に不安を感じることはないが、何事も平穏なのが望ましいのですが」と沈んだ声で話した。(2008/11/19-00:11)
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4、元次官宅襲撃:「年金テロか」…厚労省は重苦しい雰囲気
毎日新聞 2008年11月18日 22時04分

 旧厚生省の2人の元官僚トップ宅で18日、相次いで惨劇が起きた。さいたま市で元事務次官、山口剛彦さん(66)夫妻の命が奪われ、その発見から約8時間後、約14キロ離れた東京都中野区の元次官、吉原健二さん(76)宅で、妻靖子さん(72)が刺され重傷を負った。2人の元エリートは現役時代、ともに年金制度を担っていた。「これは年金テロなのか」。卑劣な凶行に厚生労働省は、重苦しい雰囲気に包まれた。
 厚生労働省は18日夜、人事課が中心となり、事務次官と社会保険庁長官の経験者へ安否確認と「宅配便を装った侵入者に注意を」と呼び掛ける電話を入れ始めた。深夜まで審議官以上の職員と、年金業務に関係する歴代幹部にも連絡を入れる。また、現役と歴代幹部の名簿を警察庁に提出し、警備を要請した。19日以降は入館者の身分照会を強化し、大臣室や事務次官室がある階の警備員を増やすとしている。
 国会対策の仕事をしていたキャリア官僚は、一報を聞くと「エーッ」と叫び絶句。その後、情報を確認する電話がひっきりなしにかかってきたが、「まだ何も聞いていない」と動揺した様子で対応していた。「これは年金テロでないのか、恐ろしい」と語るのが精いっぱいだった。
 以前に年金に関連する部署で働いていた一般職員は「年金制度に対する不満があるのかも知れない。けれど、物理的な暴力での抗議は絶対に許せない。仕事を切り上げて早く家に帰らないと心配だ」と不安げに話した。
 残業していた職員は、立ち上がってテレビのニュースを見ながら「いくら批判が出ているからといって、年金問題でテロなどあり得るのか」とつぶやいた。厚労省1階のロビーでは家族に戸締まりに注意するよう電話をかける職員の姿が見られた。
 ◇警察庁から一報、官邸に衝撃走る
 事件の一報が首相官邸にもたらされたのは午後8時ごろ。警察庁から漆間巌官房副長官に連絡が入り、漆間氏はただちに公邸で政府・与党連絡会議のメンバーと会食中だった麻生太郎首相に情報を上げた。
 8時半ごろには厚労省からも「山口さん夫妻が殺された事件は、それだけにとどまらないかもしれない。厚労省関係者で別の人がやられた。これは政治テロの可能性がある」との報告があり、伊藤哲朗内閣危機管理監らが官邸に駆けつけて情報収集にあたった。
 政府首脳は「大変な事態になった。民主主義の社会で許せない事件だ。拡大を防がないといけない」と指摘。自民党厚生族幹部は「2人とも年金の専門家。厚労省内には恐怖感が広がっている。政治テロだとすると大変な問題だ」と語った。
 ◇社保庁長官OB「自宅警備頼む」
 元社会保険庁長官で埼玉県内に住む高木俊明さん(67)は18日午後9時過ぎ、毎日新聞の電話取材に「山口さんの事件があって、何でやられたのかと思っていた。続いて別の元事務次官の妻が刺され、おっかなくて仕方がない。何が何だかよくわからないが、近くの警察署に自分の警備を頼もうと思う」と話した。
毎日新聞 2008年11月18日 22時04分(最終更新 11月19日 0時15分)

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石田ふたみ