『日々の映像』

2008年09月19日(金)  厚生年金6万9000件改ざん

この問題を記述するのは3回である。
厚生年金の標準報酬月額を故意に改ざんした。・・・なんと酷いことをするのだろう。しかも、組織的に行なっていたのだ。舛添厚生労働相は9月18日、参院厚生労働委員会で、厚生年金の記録改ざん問題に関連し、社会保険庁のオンラインシステムで管理されている中に、改ざんされた疑いのある記録が6万9000件あることを明らかにした。実際はもっと多いような気がする。

 さらに、改ざんへの社保庁の関与について、「組織的な関与はあったと私は推量する。極めてクロに近い」と述べた。民主党の蓮舫氏の質問に答えた。舛添厚労相が実際の改ざん件数が多数にのぼるという見方を示したことで、本格的な調査と被害者救済を行なわなければならない。

9月11日に書いたが、改ざんの中身がひどいのである。月給30万円の人が知らぬ間に8万円に減額された例がある。糾弾する意味で再度掲載したい。
正規の厚生年金保険料 300000円×15.35%=46050円  会社負担23025円
改ざん・・・・・・・  80000円×15.35%=12280円  会社負担 6140円
http://www.enpitu.ne.jp/usr2/bin/day?id=22831&pg=20080911


年金6万9000件改ざん 厚労相「社保庁、組織的関与あった」
                       2008年9月18日 読売新聞
厚生年金記録改ざん、組織的関与認める 厚労相
                       2008年9月18日 ソーシャルブックマーク
厚労相、「組織的関与」調査へ
                       毎日新聞 2008年9月18日 東京夕刊

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年金6万9000件改ざん
厚労相「社保庁、組織的関与あった」
2008年9月18日 読売新聞
 舛添厚生労働相は18日、参院厚生労働委員会の閉会中審査で、厚生年金の記録改ざん問題に関連し、社会保険庁のオンラインシステムで管理されている中に、改ざんされた疑いのある記録が6万9000件あることを明らかにした。
 さらに、改ざんへの社保庁の関与について、「組織的な関与はあったと私は推量する。極めてクロに近い」と述べた。民主党の蓮舫氏の質問に答えた。
 総務省の年金記録確認第三者委員会はこれまでに57件の改ざん事例を認定したが、専門家の間では、改ざんに気づかず本来より少ない年金額を受給している人のほうが多いはずだと指摘されていた。今回、舛添厚労相が実際の改ざん件数が多数にのぼるという見方を示したことで、政府に本格的な調査と被害者救済を求める声が強まると予想される。
 舛添氏は改ざんの疑いがある件数について、オンラインで管理されている1億5000万件を対象に、〈1〉加入者の月収の記録である「標準報酬月額」を引き下げる処理と、加入者を年金制度から脱退させる処理が同時期に行われている〈2〉標準報酬月額が5等級以上引き下げられている〈3〉6か月以上さかのぼって後から記録が訂正されている――という3条件に当てはまる記録を調べた結果だと述べた。
 社保庁は9日にまとめた調査結果で、職員1人が改ざんに関与したことを認めた。ただ、職員が自分の判断で行ったとし、組織ぐるみの関与の有無については確認できないとしていた。
(2008年9月18日 読売新聞)
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厚生年金記録改ざん、組織的関与認める 厚労相
2008年9月18日 ソーシャルブックマーク
 厚生年金の支給額の算定基礎となる標準報酬月額の改ざん問題で、舛添厚生労働相は18日午前の参院厚生労働委員会で、「(改ざんへの)組織的関与はあったであろうと思う。限りなく黒に近いだろう」と述べた。また、標準報酬がさかのぼって大幅に引き下げられるなど改ざんの可能性が高い記録が6万9千件あることも明らかにした。
 民主党の蓮舫議員の質問に対する答弁。厚労省側は、これまで社会保険事務所の職員の判断で改ざんを指導したことは認めたが、今回初めて組織的関与を事実上認めた。
 舛添厚労相によると、年金記録の訂正申し立てを審査する「年金記録確認第三者委員会」が改ざんを認めたケースなど88件を分析。標準報酬の大幅引き下げや、半年以上さかのぼって引き下げる処理など3条件に9割が該当したという。改ざんの可能性が高いこれらの不自然な処理について厚労相は「組織的関与があったと推量する」と述べた。
 さらに、厚生年金のコンピューター上の記録約1億5千万件を対象に、3条件に該当するケースを抽出した結果、6万9千件見つかった。いずれも改ざんの可能性が高いと見られる。年金の受給年齢である65歳以上の記録が約2万人分あり、本人への確認作業を、来年早々に開始する方針も明らかにした。
 これまでの社保庁の調査では、「第三者委員会」などで標準報酬月額の改ざんが認められた17件のうち、社保事務所職員の関与が確認できたのは1件だけ。社保庁は「組織的な関与は確認できなかった」と説明していた。
 保険料は標準報酬に応じて決まる。明らかになった改ざん事例では、保険料を滞納していた事業所の従業員の標準報酬を過去にさかのぼって引き下げ、支払うべき保険料を少なくして滞納分を解消。社保事務所も収納率を上げるメリットがあった。従業員は知らないうちに将来受け取る年金額が減ることになる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――― 厚労相、「組織的関与」調査へ
毎日新聞 2008年9月18日 東京夕刊
 舛添要一厚生労働相は18日、厚生年金保険料の算定基準となる標準報酬月額(給与水準)の記録の改ざんが疑われる事例が6万9000件に上ることを参院厚労委員会で明らかにした。また、舛添厚労相は「私自身は組織的関与があるだろう、非常に疑わしいと思っている」と述べ、来年にも社会保険庁職員の組織的関与を本格調査する方針を示した。
 蓮舫議員(民主)らの質問に答えた。
 改ざんの疑いが強いケースとして、▽標準報酬月額がさかのぼって下げられたのと同じ日か翌日に会社の年金からの脱退処理がされている▽月額が5等級以上も極端に下げられている▽6カ月以上もさかのぼって月額が改められている−−の3点が共通していたという。
 舛添厚労相は「クロに近い」と指摘し、社会保険庁のコンピューター内の全年金記録から同様のケースを拾い出したところ、判明したという。
 また、舛添厚労相は、総務省年金記録確認第三者委員会が「社会保険事務所の処理が不適正」と指摘するなどした計88件を分析した結果、「9割以上が疑わしかった」と述べた。
 標準報酬月額の改ざんをめぐっては、同庁は1件だけ職員の関与を認め、組織の関与は確認できないとしていた。【野倉恵】

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年金改ざん―6万9千件の確認を早く
                      2008年9月19日 朝日新聞社説
 もういい加減にしてくれ。これが、国民の率直な気持ちに違いない。
 サラリーマンの加入する厚生年金で6万9千件もの記録が改ざんされている可能性があると、舛添厚生労働相が参院厚労委員会で明らかにした。
 改ざんをした疑いがかかっているのは、ほかならぬ社会保険事務所の職員である。厚労相が自ら「組織的関与はあったと思う」と認めた。
 労使折半で納める厚生年金の保険料は、給料に相当する標準報酬月額をもとに決められる。ところが、経営難の会社が保険料を滞納した時、過去にさかのぼって標準報酬月額を引き下げるなどして滞納分の穴埋めをした事例があることがかねて指摘されていた。
 今回、疑わしい「不自然な記録」を探したら6万9千件もあったという。標準報酬月額が、6カ月以上さかのぼって大幅に引き下げられていたなどの条件に当てはまるケースだ。
 うち2万件は、すでに年金が支給されていた。
 これまでに総務省の第三者委員会が57件について改ざんと認めていたが、やはり氷山の一角だった、ということだろう。
 なにより、いま最優先で手をつけるべきは記録の回復だ。標準報酬月額を勝手に引き下げられていれば、年金額は本来支給されるべき額より少なくなる。第三者委員会が改ざんと判断した例では、平均で年間5万5千円、最大で25万円も年金が減っていた。
 社保庁は、すでに受給している人には来年早々通知を出し、本人に確かめてもらうとしている。
 また来年度中には、受給者や加入者の全員に過去の標準報酬月額を載せた年金記録を送って不審な点がないかを確認してもらう方針だ。
 だが、来年と言わず、もっと早くやるべきではないか。
 6万9千件は、条件を絞り込んで浮かび上がらせた事例だ。疑わしいものを、もっといろいろな方法で調べるべきだろう。
 このような改ざんは、事業主側が思いついたとは考えにくい。民主党の会合に出た社会保険事務所の元職員は、保険料の徴収率を上げるために全国の社会保険事務所でこうした改ざんが横行していたことを証言している。
 しかし、これまでに社保庁が職員の関与を認めたのは、事業主側が当時の書類をとっていたために「動かぬ証拠」があった1件だけだ。
 改ざんは意図的であり、コンピューターへの入力ミスなどとは違う。悪質さは比べものにならない。改ざんにはどういう職員がかかわったのか。少なくとも当時の社保事務所幹部は監督責任を免れないのではないか。
 社保庁は、まず外部の人の手を借りてきちんと実態を解明すべきだ。

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石田ふたみ