『日々の映像』

2008年08月24日(日)  日本の輸出国首位は中国


 中国をどのような視点で捉えるかは実に難しいテーマだと思う。日本の短期的な景気という面で捉えれば、日本の景気は明らかに中国への輸出に依存している。7月度の輸出のトップは、貿易統計の通り中国なのである。

7月の貿易統計(速報値)から国別輸出実績を記録したい。
中国向け          1兆2864億円    16.8%増
米国向け          1兆2763億円    11.5%減
中国を含めたアジア向け輸出 3兆8567億円    12.7%増 50%
7月の輸出総額       7兆6321億円   

チベット自治区の視点から見ると、中国は強権政治の見本のようだ。
「18 日にチベット自治区東部のカム地区で抗議行動を繰り広げていたチベット系住民に中国軍が発砲した」と言明、「死者数は確認する必要がある」と前置きしながらも、死者数が140人に達した可能性があるとの認識を示した。」という。一連の暴動が始まった今年3月以降、死亡した住民が400人に達し、遺体が家族の元へ返されていない上、「1万人の(チベット系)住民が当局に逮捕され、どこに投獄されているのかわからない」という。

 中国は強大な経済大国の側面があり、中国の動向が日本及び世界経済に少なからずの影響を与える段階になっている。その一例として鉄鋼の生産量を取り上げたい。米国・日本、ロシア、ドイツなどの主要国の鉄鋼生産量は1億トン前後〔日本1億2000万トン〕である。それに対して中国の粗鋼生産は5億トン前後に急拡大している。この影響に関心のある方はエンピツを開いて下さい。鉄の生産量という側面では、先進国5カ国分の生産をしている強大な国家という見方もあると思う。

貿易統計:新興国頼み今後も…中国向け輸出首位
毎日新聞 2008年8月21日
チベットで中国軍発砲、140人死亡か」ダライ・ラマ発言
                    2008年8月22日01時 読売新聞
止まらぬ中国の鋼材輸出、鉄鋼業界は日本への流入増など懸念
http://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-27511920070822

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貿易統計:新興国頼み今後も…中国向け輸出首位
毎日新聞 2008年8月21日
 21日発表の7月の貿易統計(速報値)は、中国向け輸出が戦後初めて米国向け輸出を上回るなど、日本経済の成長が新興国に支えられていることを浮き彫りにした。景気減速が続く先進国向け輸出の落ち込みを新興国向け輸出が補っている構図だが、核となる中国経済について「北京五輪後は減速が避けられない」(米投資会社)との見方もあり、日本経済の先行きは楽観できない。
 国別輸出実績では、米国向けが前年同月比11.5%減の1兆2763億円に落ち込み、住宅バブル崩壊が表面化した昨年9月以降、11カ月連続で減少。対照的に、中国向けは同16.8%増の1兆2864億円に拡大し、3年2カ月連続で増加した。また、ASEAN(東南アジア諸国連合)向けも同18.1%増と堅調で、中国を含めた7月のアジア向け輸出は同12.7%増の3兆8567億円となり、日本の輸出総額(7兆6321億円)の半分を占めた。
 ただ、原油価格が高止まりし、欧米など先進国経済の減速が世界経済全体に波及し始めた中、頼みの中国・アジア経済の好調がいつまで続くかは不透明。市場では「7月の対中輸出の大幅な伸びは北京五輪や四川大地震復興による特需効果が大きい」との見方もある。米経済の復調が見込めない中、日本経済は今後も中国など新興国向け輸出に頼らざるを得ない不安定な状況が続きそうだ。
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チベットで中国軍発砲、140人死亡か」ダライ・ラマ発言
                  2008年8月22日01時 読売新聞
 【パリ=林路郎】チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は、21日発行の仏紙ル・モンドが掲載したインタビュー記事で、「(今月)18日にチベット自治区東部のカム地区で抗議行動を繰り広げていたチベット系住民に中国軍が発砲した」と言明、「死者数は確認する必要がある」と前置きしながらも、死者数が140人に達した可能性があるとの認識を示した。
 ダライ・ラマ事務所は21日、声明を発表、「ル・モンド紙とのインタビューでダライ・ラマは犠牲者数は口にしていない」と釈明しているが、事件の存在、犠牲者の大まかな規模が事実なら、北京五輪の開催期間中に中国政府が弾圧行為に及んでいたことになり、国際的な反発は必至だ。
 ダライ・ラマは、一連の暴動が始まった今年3月以降、ラサ地区だけで、当局の発砲を受けて死亡した住民が400人に達し、遺体が家族の元へ返されていない上、「1万人の(チベット系)住民が当局に逮捕され、どこに投獄されているのかわからない」と語った。また、中国軍の駐屯地がチベット自治区内で次々建設されていることを明らかにし、「長期にわたって弾圧が続くことになる」との見通しを示した。
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止まらぬ中国の鋼材輸出、鉄鋼業界は日本への流入増など懸念
http://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-27511920070822

 [東京 22日 ロイター] 中国から世界に向けた鋼材輸出が高止まりし、鉄鋼業界の好調な事業環境を脅かす要因として注目を集め始めた。2007年の中国の輸出量は過去最高だった2006年の4301万トンを大きく上回り、7000万トンを超える見通し。今のところ、日本向け輸出は微増で推移しているものの、中国からの輸入が急増している欧米との間で通商摩擦が火を噴けば、日本を含むアジア地域に対し中国が安価な輸出攻勢を振り向ける可能性もあり、今後、需給が崩れて市況混乱につながる懸念が国内鉄鋼業界で出ている。
 <7月の輸出も高水準、抑制策は効果みせず>
 中国の鋼材輸出は、今年4月に716万トンと月間ベースでの過去最高水準を付けた後、5月が617万トン、6月が636万トン、7月が594万トンとなった。7月は前月比でやや水準が下がったものの、前年同月比では65%増と「依然としてレベルは高い」(鉄鋼連盟国際経済本部)。
 この間、中国政府も輸出抑制の手立てを矢継ぎ早に打っている。4月に厚板など一部鋼材について実質減税措置だった輸出増値税還付を撤廃したのに続き、5月に輸出許可制度を導入。6月に5―10%の輸出関税付加、7月にパイプなどでも輸出増値税還付を撤廃した。鉄鋼業界関係者によると、一連の措置で中国の鉄鋼輸出のコスト増は15―20%程度に上る。7月から輸出抑制効果が出ることが期待されていたものの「効果はほとんど出ていない」と業界関係者は話す。
 「このまま続くと、中国の世界向け輸出量は年間7000万トンを超える」と馬田一鉄連会長は指摘。2007年度には過去最高を更新する勢いで増加している日本の粗鋼生産量が1億2000万トン程度であり、その規模の大きさがうかがえる。
 コストアップにもかかわらず輸出の勢いが止まらないのは、中国の粗鋼生産が落ちていないからというのが、業界関係者の一致した見方だ。粗鋼生産は、06年の4億2000万トンから07年は5億トンが視野に入る勢いで増加しており、「旧設備が廃棄されても、新しい設備が立ち上がっている。生産抑制に対しては、有効な手立てが打たれているとは言えない状況だ」(経済産業省関係者)という。
 <欧米との通商摩擦が現実味>
 中国の鋼材輸出先で、月間100万トンを超えているのは韓国、ASEAN、EU向け。特に韓国は50%以上、EU向け2倍以上と今年に入って急増している。
 米国はすでに、中国製鋼管についてアンチダンピング提訴をしており、現在調査中。今年上半期で前年比2.4倍の中国製鋼材が輸入されている欧州でも、アンチダンピング提訴に向けた動きがあるという。ある業界関係者は「欧米と中国の間で通商摩擦が強く懸念される状況になれば、欧米向けの輸出は減少し、中近東や東南アジアに向かうことになる」と予想する。
 今のところ、日本への輸出増加は見られない。ユーザーの品質要求が高く、欧米に比べて価格メリットが乏しい日本向け輸出が急増すると見る向きは少ない。
 しかし、「為替が円高に振れてきており、状況が変わるかもしれない」(別の経済産業省関係者)との警戒感も出ている。「(中国から)日本への輸出が増加するようならば、何らかの手を打つ必要が出てくる」(馬田一鉄連会長)と、中国からの安価な鋼材輸入が急増すれば、日本もアンチダンピングなどの措置を辞さない構えだ。
 また、「中国発の市況混乱はいつ起きてもおかしくない」(業界筋)との懸念も強まっている。中国の輸出鋼材は建設向けなどの汎用品が中心。大手鉄鋼メーカー関係者は、日本国内の市況にも影響が出てくれば、減産に踏み切る必要性も出てくる、と述べる。さらに「汎用鋼の市場が軟化すれば、高級鋼の市況も間接的に影響を受けることになる」(JFEホールディングス(5411.T: 株価, ニュース, レポート)の林田英治専務執行役員)とし、日本の高炉メーカーが得意とする高級鋼の需要や市況にも影響が生じる可能性を懸念する声もある。
 2008年3月期の鉄鋼各社の業績は、需要増に支えられた粗鋼生産増と価格の上昇で上方修正基調にある。需給を見通す上での唯一の懸念材料とも言える中国の輸出動向については、各社が目を凝らす状況が続いている。




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石田ふたみ