『日々の映像』

2008年08月13日(水)  新型インフルエンザ家庭でできるパンデミック対策

厚労省は新型インフルがもし大流行したら、社員の4割欠勤・病院業務中断もありうるとしている。このようにならないために、各家庭でパンデミック対策を立てる必要がある。その意味でケンコーコム薬剤師中山美紀氏のアドバイスをエンピツに収録しました。


<新型インフルQ&A>早期発見への取り組みは?
2008年8月12日(火)13:00 毎日新聞
新型インフルエンザ―家庭でできるパンデミック対策
                     ケンコーコム薬剤師 中山美紀
http://blog.kenko.com/kenkotopics/2008/02/post-5a12.html
新型インフル、もし大流行したら…厚労省想定
社員の4割欠勤・病院業務中断も
2008年7月30日 読売新聞

鳥インフルエンザニュースの収録〔1〕
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=33958614&comm_id=3544178

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<新型インフルQ&A>早期発見への取り組みは?
2008年8月12日(火)13:00 毎日新聞

 ◇国への報告体制整備、地域超えて拡大防ぐ
 新型インフルエンザ対策では、患者の早期発見が重要になる。感染拡大とその被害を最小限に食い止められるからだ。
 早期発見を目指した新たなシステムが、北海道洞爺湖サミットの周辺自治体で試験運用された。管轄する西胆振(にしいぶり)消防組合消防本部が、新型インフルエンザの症状とされる発熱や呼吸困難などを伴った患者を搬送した場合、国立感染症研究所に設けられた専用サイトを通して連絡する。また、薬局も抗インフルエンザ薬などを処方した際にサイトに書き込む。その内容を研究所が毎朝チェックし、当日の対応を検討する。
 研究所の大日(おおくさ)康史主任研究官は「流行初期は各医療機関に患者が1人いるかいないかで、異変に気づきにくい。地域の枠を超えて情報が入ることで全体が見える。市民も周囲で異変に気づいたら、消防などに連絡してほしい」と話す。
 新型インフルエンザは国内で起きるとは限らない。むしろ海外で発生し、感染者が日本に入ってくる可能性が高いとみられる。
 新型インフルエンザは鳥インフルエンザが変異して発生すると予測されている。世界保健機関(WHO)は各国に、強毒性鳥インフルエンザの人感染例を2週間以内に報告するよう求めている。だが、WHO西太平洋地域事務局の押谷仁顧問(東北大教授)の分析では、04〜05年に発生した約70例では、報告までに平均17日かかった。約6割は2週間の目標が未達成だった。
 押谷さんは「患者を診察した病院が国に通知するのに時間がかかっている。新システムは、消防や薬局から直接、国に情報が流れるので早期発見に有効だろう」と話す。【関東晋慈】
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新型インフルエンザ―家庭でできるパンデミック対策
                     ケンコーコム薬剤師 中山美紀
http://blog.kenko.com/kenkotopics/2008/02/post-5a12.html
にわかに緊張感を増してきた新型インフルエンザの発生。それは、「起こるかもしれない」ではなく、「いつ起きるか」です。
新型インフルエンザが発生した場合、その世界的大流行(パンデミック)は避けられません。
         

★新型インフルエンザは何故怖いのか
何故、これほどまでに新型インフルエンザが世界的に警戒されているのか。その理由は「感染率が高く、致死率が高い」からです。
新型インフルエンザウイルスは鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が変化したものです。
H5N1型鳥インフルエンザウイルスは、鳥から鳥への感染から、現在では鳥からヒトへ感染している例が報告され、多数の死者を出しています。
【参考】最新の発生状況(国立感染症研究所 感染症情報センター )
そして、これがヒトからヒトへ感染するウイルスに突然変異したものが新型インフルエンザウイルスです。
このウイルスに対して、ヒトはもともと免疫を持っていないため、ウイルスに暴露すれば100%感染します。
また、このウイルスは飛沫・空気・接触による感染で広がっていく特長を持っているため、一度発生すれば、たちまちパンデミックの発生になると考えられています。
また、H5N1型鳥インフルエンザウイルスは非常に強毒性で、ウイルスが血流に乗って全身にまわり、全身感染を引き起こします。致死率は60%以上と極めて高く、肺炎が主な死因となっています。
さらに、抵抗力の高い若い世代では、免疫系が過剰に反応する「サイトカインストーム」を起こしてしまう可能性があると考えられ、最終的に重症肺炎や多臓器不全を起こして、死に至ることも多いと推測されています。
実際に、このH5N1型鳥インフルエンザウイルスに感染した事例でも若い世代での犠牲者の割合が多いことが報告されています。
★新型インフルエンザに特効薬はありません
そして、もうひとつの問題は新型インフルエンザに特効薬がないことです。
現時点では抗インフルエンザ薬のタミフルが、新型インフルエンザの重症化を防ぐだろうということで、WHOで推奨されていますが、実際に新型インフルエンザに対するデータはない状況です。
また、ワクチンも実際に新型インフルエンザが発生してから半年から1年たたないと国民に接種できません。
ですから、とにかく、ウイルスに感染しないようにすることが大切なのです。

★新型インフルエンザ発生前に家庭ですべきこと
I うつさない配慮を
感染をひろげないためには、まず、感染した本人が他の人にうつさないように配慮することが大切です。
新型インフルエンザに対する対策は通常のインフルエンザ対策の延長線上にあります。熱、咳、くしゃみ等の症状のある人には必ずマスクを着けてもらうこと、このような人と接する時にはマスクを着けることが大変重要です。咳やくしゃみをおさえた手、鼻をかんだ手は直ちに洗うことも必要です。(「咳エチケット」を参照)外出後の手洗いを日常的に行い、流行地への渡航、人混みや繁華街への外出を控えることも重要です。
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咳エチケット
*咳・くしゃみの際はティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけ1m以上離れる。
*呼吸器系分泌物(鼻汁・痰など)を含んだティッシュをすぐに蓋付きの廃棄物箱に捨てられる環境を整える。
*咳をしている人にマスクの着用を促す。
マスクはより透過性の低いもの、例えば、医療現場にて使用される「サージカルマスク」が望ましいですが、通常の市販マスクでも咳をしている人のウイルスの拡散をある程度は防ぐ効果があると考えられています。
一方、健常人がマスクを着用しているからといって、ウイルスの吸入を完全に予防できるわけではないことに注意が必要です。
*マスクの装着は説明書をよく読んで、正しく着用する。
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II 家庭での備蓄 食料と日用品
パンデミックは世界的なものですので、輸入が減少したり停止することによって、種々の生活必需品も不足して、手に入らなくなることがあります。
パンデミックになると、生活に欠かせない活動にも影響が出ることも想定されますし、感染を防ぐためには不要不急の外出をしないことが原則です。
そのため、ご家庭では災害時と同様に外出しなくても良いだけの最低限(2週間程度)の食糧・日用品等は準備しておくのがよいでしょう。
また、パンデミックになると病院も患者さんがあふれかえっています。軽度の新型インフルエンザや、その他の軽い病気や怪我は、家庭での介護となります。
そのための薬や持病の薬の備蓄も必要です。

○食糧(長期保存可能なもの)の例
・主食類

乾麺類(そば、ソーメン、うどん等)
切り餅
コーンフレーク・シリアル類
乾パン
各種調味料
・その他
レトルト・フリーズドライ食品
冷凍食品(家庭での保存温度ならびに停電に注意)
インスタントラーメン
缶詰
菓子類
ミネラルウォーター
ペットボトルや缶入りの飲料
○日用品・医療品の例
・常備品
常備薬(胃薬、痛み止め、その他持病の処方薬)
絆創膏(大・小)
ガーゼ・コットン(滅菌のものとそうでないもの)
解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど) 薬の成分によっては、インフルエンザ脳症を助長する可能性があります。購入時に医師・薬剤師に確認してください。
・対インフルエンザ対策の物品
マスク
ゴム手袋(破れにくいもの)
水枕・氷枕(頭や腋下の冷却用)
漂白剤(次亜塩素酸:消毒効果がある)
消毒用アルコール
・ 通常の災害時のための物品(あると便利なもの)
懐中電灯
乾電池
携帯電話充電キット
ラジオ・携帯テレビ
カセットコンロ・ガスボンベ
トイレットペーパー
ティッシュペーパー
キッチン用ラップ
アルミホイル
洗剤(衣類・食器等)・石けん
シャンプー・リンス
保湿ティッシュ(アルコールのあるものとないもの)
生理用品(女性用)
ビニール袋(汚染されたごみの密封に利用)

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新型インフル、もし大流行したら…厚労省想定
社員の4割欠勤・病院業務中断も
2008年7月30日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080730-OYT8T00324.htm?from=nwla

 厚生労働省は29日、新型インフルエンザが国内で大流行した場合に想定される社会への影響をまとめ、初公表した。
 経済活動を支える企業の従業員の欠勤率が40%に達すると、医薬品・病床数の不足や停電、銀行の現金自動預け払い機(ATM)が一時停止するなど様々な分野に支障がでる可能性を示した。
 今回の想定案の提示は、社会機能の維持を担う企業などが、新型インフル対策を策定する際に参考にしてもらうのが狙い。想定と合わせて国の企業向け行動指針の改定案も示した。
 想定は、社会、経済の影響に加え、それを受け事業者に期待される対応も記述。従業員の欠勤率などは英米の対策にならい、人的な被害は、昨年10月に改定した国の新型インフルエンザ対策行動計画に記載された発症率(25%)や致死率(最大2%)などをもとにした。
 想定によると、海外からウイルスが日本に侵入するまで2〜4週間程度かかると設定。従業員が、自身の感染、あるいは家族の看病で欠勤する割合は、大流行時に最大40%に及び、欠勤日数は10日間程度と試算。その場合、企業活動への影響が最も大きく、電気、ガソリンなど一時供給停止、輸入の停止や原材料・物資の供給中断、資金調達や決済業務で混乱が生じるとした。
 想定は、〈1〉国外発生時〈2〉国内発生時〈3〉大規模な集団発生〈4〉大流行〈5〉流行後の小康状態――の5段階で、社会への影響を公共交通、医療サービスなど11分野に分けて例示した。
 厚労省は、一般企業に対し、感染拡大の抑制の観点から不要不急の事業の自粛を求めると同時に、電気や水道などの社会機能の維持を担う企業には業務継続を要請している。
 しかし、具体的な対策を取る企業は1割程度と少ない。厚労省は、早期の行動計画作成を求めている。







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石田ふたみ