2008年08月09日(土) |
国立感染症研究所研究員 岡田晴恵氏のインタビュー |
国立感染症研究所研究員 岡田晴恵氏のインタビュー [H5N1型という“敵”に日本がとるべき策]
国立感染症研究所研究員 岡田晴恵氏のインタビューが掲載されていましたので紹介します。問題を知ることによって、冷静な対応が生まれると思います。この視点でご紹介するものです。要点の一部を以下の通り引用します。 なお、インタビューの分量はA−4約16ページです。この縮刷版をコミュニティ「新型鳥インフルエンザ情報」に掲載しました。8月20日サバイバル研究会昼の部の参加者に縮刷版のコピーをお渡しします。
1、パンデミック時の通勤電車の運行が通常通りだった場合、パンデミック発生から2週間後には東京圏に居住する人口の66.4%が、新型インフルエンザに感染するという結果が出ています。 2、感染ルートについて 十分に加熱していない感染鶏の鶏肉、鶏卵、を食べた場合にも感染が起きた例が存在します。アヒルのいる池で遊んだ子供が感染したという例もあります。ウイルスを含む鳥の糞が水に溶けていたらしいということになっています。 3、強毒型のインフルエンザ・ウイルスに感染するということの意味を示す写真をお見せしましょう。H5N1にやられた鶏舎の中の写真です。お分かりでしょうか。中央に写っている鶏の下に鶏の死骸が写っています。死骸が溶けているのです。強毒型ウイルスは全身感染を起こします。全身の細胞を破壊しますから、鶏の体は元の形を維持することができずに溶けたようになって死ぬのです。 4、ヒトに感染した場合は、「感染したけれども症状がでない」という不顕性感染はまずありません。100%発症します。高熱、せきといった通常のインフルエンザの症状に加えて、全身感染も起こすので、多臓器不全を発症します。特に肺炎が起きるので、患者は呼吸困難に苦しむことになります。腸管にも感染するので、発症者の約70%は下痢を起こしますし、腸管の細胞が破壊されることによる血便も出ます。そして、防疫の面で非常に重要なことですが、患者の便にも血液にも大量のウイルスが含まれます。これは例えば、患者と風呂を共有してはいけないということです。 5、つまり感染者のうち何%が死亡するかという割合は、50%以上、世界各国では主に医療水準の格差によって37%から88%までばらつきがありますが、おおむね半数以上が死亡します。これはもう、従来のインフルエンザとはっきり区別すべき、別の恐ろしい感染症です。
編集 NPO法人 生涯青春の会 石田双三 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 国立感染症研究所研究員 岡田晴恵氏に直接、インタビュー
SAFETY JAPAN ではこれまで、新型インフルエンザに関する本を何冊か紹介してきたが、今回、その多くの本を著してきた岡田晴恵氏に直接、インタビューを試みた。 国立感染症研究所研究員である岡田氏は、新型インフルエンザに関する最新の、詳細な専門情報に触れてきたことで、H5N1型という“敵”の恐ろしさを実感するとともに、人間が採るべき対策を模索し続けている。今、日本で、まず採るべき対策は、一刻も早く、計画的なプレパンデミックワクチンの備蓄に着手することだ、というのが同氏の主張だ。
聞き手・文/松浦 晋也
1、岡田氏はインタビューの席でわたしの斜め前の席に座った。 http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/91/ 2、従来のインフルエンザ、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザ http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/91/index1.html 3、鳥インフルエンザのさまざまな感染ルート http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/91/index2.html 4、強毒型ウイルスは体を“溶かして”死に至らしめる http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/91/index3.html (この部分は是非URLを開いてお読み下さい) 5、鳥インフルエンザウイルスから作るプレパンデミックワクチン http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/91/index4.html 6、日本はすぐに製造できる体制を持っていない http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/91/index5.html 7、プレパンデミックワクチンの実態 http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/91/index6.html 8、プレパンデミックワクチンは強毒型の被害を弱毒型まで軽減する http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/91/index7.html 9、プレパンデミックワクチンのコストは1人600円 http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/91/index8.html 10、プレパンデミックワクチンの計画的な生産を! http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/91/index9.html 11、フェーズ3とフェーズ4の境目が対策発動のタイミング http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/91/index10.html 12、一歩ずつ備蓄を進めよう http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/91/index11.html 13、1997年に稼いだ時間は使い果たされつつある http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/91/index12.html
|