『日々の映像』

2008年07月12日(土)  大分教育汚職 これで「教育」ができるのか (2)

 7月4日大分県由布市の教育長、二宮政人容疑者(61)が逮捕された。それから11日までの1週間でgoogleに408本の報道が収録された。この中の7本の報道をエンピツに収録することにした。教員の採用枠に私物化という最低・最悪の事件である。本来の合格者が減点されて不合格になり、不合格者が加点されて合格になる・・・その結果低い教育者集団が形成されていく・・・これほどの深刻な問題が他にあるだろうか。加点されて合格、現在先生をしている人は何百人もいる気配だ。深刻な社会問題に発展するだろう。他県でも同じことが行われているという告発が出てくると思う。それも、うやむやにしてしまうだろうか。大切な日本の未来を託す子供達の教育現場に明るさを見出すことが実に困難といわねばならない。

1、教員採用を巡る「議員枠」の存在も浮上し、疑惑は底なしの様相を見せている。これは大分だけの問題なのか。それとも他県に不正はないのだろうか。

2、小学校から高校までの教員採用すべてに不正が行われている実態が浮かんだ。

3、昨年7月と9月に行われた小学校教員の今年度分の採用試験では41人が合格したが、その大半が、問題の「採用枠」で占められている疑いも出てきた。

4、県教委参事の江藤勝由容疑者(52)は両年度で30人以上を合格させるよう口利きを受けていた。江藤容疑者はこのうち15人を合格させる一方、本来合格だった10人を不合格としたことも分かったが、評定票などが破棄されたため、不正に不合格とされた受験者の救済は困難になっている。

5、逮捕、起訴された複数の被告が「採用には『議員枠』があった」と関係者に話していることがわかった。県内の国会議員関係者も「有力県議や国会議員も教員採用枠を持っていた」と読売新聞の取材に対し証言した。

6、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で逮捕=が総括を務めていた義務教育課人事班に、複数の人物からの「口利き」が集中していた疑いが強いことが分かった。


1、教員汚職 疑惑底なし
                    2008年7月11日 読売新聞
2、大分県教委の教員採用汚職:高校教員採用でも 小学校からすべてで不正           
                   毎日新聞 2008年7月11日
3、「県議や教委、教組が採用枠持つ」大分汚職で関係者証言
                    2008年7月11日 朝日新聞
4、教員採用汚職:大分県教委、試験翌年に評定破棄 規定無視
                    毎日新聞 2008年7月10日 
5、2年で30人超が不正操作で合格か、最大で百数十点加点 
                    2008年7月9日 読売新聞
6、大分教員汚職「有力県議らが採用枠」…複数の関係者証言
                    2008年7月10日 読売新聞
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1、教員汚職 疑惑底なし
                2008年7月11日 読売新聞
 今月4日、ナンバー2の「教育審議監」まで収賄容疑で逮捕された大分県教委の汚職事件では、教員採用を巡る「議員枠」の存在も浮上し、疑惑は底なしの様相を見せている。これは大分だけの問題なのか。ほかに不正はないのだろうか。事件の背景を探り、教員採用システムの問題点を検証する。(社会部 村井正美、渡辺光彦、杉野謙太郎)
 昨年2月、大分市のNPO法人「おおいた市民オンブズマン」には、同県の教員採用試験を巡って匿名の電子メールが寄せられた。
 「選考試験はほとんどが世襲」「県議・国会議員のコネも加わる」
 理事長の永井敬三さん(60)はメールの指摘が真実かどうか県教委に調査を求めたが、同3月に県教委から返ってきた回答書には「不正と認められる事実はなかった」とあるだけだった。
 この調査を担当したのは県教委義務教育課の人事班。事件の中心人物の一人、江藤勝由被告(52)(収賄罪で起訴)は当時、同課主幹として人事班を担当する立場にいた。
 江藤被告の関係者の話などでは、同被告はこの直後、パソコンに記録していた教員採用試験の受験生の成績データを消去していた。その後の捜査で、同被告は合格圏外にいた受験生を採用枠に入れるためパソコン内の成績データを改ざんしていたことが明らかになっており、証拠隠滅を図った可能性がある。
 しかし同県警の発表によると、江藤被告は同じ年の8月、佐伯市立小校長の浅利幾美被告(52)(贈賄罪で起訴)から、長男と長女の採用に便宜を図る見返りとして100万円分の商品券を受け取っていた。オンブズマンの指摘後も、自浄作用が働くことはなかった。
■不正の広がり

 「ほかの人もやっていることだからいいと思った」
 浅利被告の関係者によると、同被告は県警の調べにそう供述しているという。
 江藤被告が関係者に明らかにした話では、中学の教員採用試験でも、一部の受験生を不正に採用するため得点の改ざんを行っていた。さらに同被告は、今年3月の人事異動で昇任した佐伯市内の校長や教頭3人から計約110万円分の商品券も受け取っていた。
 9日に開かれた同県議会の文教警察委員会。質問に立った県議の一人が閉会後、「私も毎年のように県教委に口利きしていた。今も働いている職員や教員が10人ほどいる」と語った。
 「議員枠」疑惑も次第に濃厚になりつつある。
■人脈
 江藤被告が在籍していた義務教育課は小中学校の教員の採用と昇任人事を一手に担うセクション。実務の責任者だった江藤被告を支えていたのが、教育審議監をしていた由布市教育長の二宮政人容疑者(61)との人脈だった。
 江藤被告が義務教育課の前身・教職員第1課に配属された03年当時、二宮容疑者が課長を務めていた。
 そして江藤被告と二宮容疑者にそれぞれ商品券100万円分を渡し、長女の採用を依頼した義務教育課参事の矢野哲郎被告(52)(贈賄罪で起訴)も、江藤被告と1998〜99年度、佐伯教育事務所で同僚だった。県教委内の人間関係によって、採用や昇任が左右される実態が浮かび上がっている。
「狭き門」各地で不祥事 不正防止策ばらつき
 地方の教員採用試験の競争率が大都市圏に比べ異常に高いという現実も、事件の要因とみられている。
 大分県の場合、2007年度小学校教員採用試験の競争率は全国平均(4・6倍)の倍以上の11・9倍。秋田(27・7倍)や福井(26・8倍)など20倍を超える自治体もある。
 こうした「狭き門」を巡る不祥事は各地で発覚している。1990年10月に同様の贈収賄事件が起きた山口県教委は、不正に合格した受験生が特定できないとして合格無効などの措置を取らなかったが、採用の際、1人の職員に権限が集中していた反省から選考過程を4段階に分け、それぞれ異なる職員が担当する不正防止策を打ち出している。
 都道府県教委の幹部は、校長や教頭経験者が大半を占め、知事部局との人事交流が少ないことも情実や不正の温床とされる。このため大分県教委も来年度の教員採用試験では、知事部局にも担当させるなどの対策を公表した。
 ただ、都道府県教委の不正防止策に、ばらつきがあるのも事実。文科省は10日、都道府県教委に教員採用の適正化を求める通知を出したが、同省は今回の事件が起きるまで、各教委が不正防止にどのように取り組んでいるのか把握していなかった。「採用方法を改善しても、担当者に不正をしないという意識が欠如していれば意味がない」と同省幹部はあきらめ気味に話している。
■文科省も指導を
 竹内洋・関西大教授(教育社会学)の話「教員の世界は狭く、同様の不正はほかでもあり得る。選考に外部の人間を入れ、選考基準を透明化するなどの改革は教育委員会が行うべきだが、文部科学省も実態を調査し、不適切な点があれば指導する必要がある」

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2、大分県教委の教員採用汚職:高校教員採用でも 小学校からすべてで不正                 毎日新聞 2008年7月11日 東京朝刊

 大分県の小学校教員採用を巡る汚職事件で、同県の高校教員採用でも不正が行われていたことが分かった。収賄容疑で再逮捕された県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)は中学教員採用でも不正な口利きをしていたことが判明しているが、高校教員採用は同課とは別の課が所管しており、小学校から高校までの教員採用すべてで不正が行われている実態が浮かんだ。
 県警も同様の情報を入手しており、裏付けを進めている模様だ。
 高校教員の採用試験は、小・中学校教員と同様に7月から9月にかけて実施される。1次は筆記や面接など、2次は模擬授業や面接などがある。08年度採用試験は588人中26人(競争率22・6倍)、07年度は764人中27人(同28・3倍)がそれぞれ採用された。この競争倍率は07、08年度の小学校教員採用試験の11倍余より2倍以上高くなっている。
 ある高校教員の男性は「高校教員は小、中より採用が少なく競争率が高い。(採用試験に際して)コネやカネ、商品券を贈るのは当たり前。同僚教員が約20人集まった会で、不正採用で入ったことを明かした教員がうち半数もいたほどだ」と話した。
 ◇「10年保存」無視、評定票廃棄
 舞台となった07、08両年度の小学校教員試験の答案用紙や面接結果を記した評定票を、所管する県教委義務教育課が「10年保存」の文書管理規定を無視して廃棄していたことが分かった。
 県教委によると、管理規定では、保存期間を文書の重要度に応じて「1年未満」「1年」「5年」「10年」「30年」に分け、各課が年度ごとに決めている。答案用紙や健康診断書などは「教員採用選考試験」との項目で、保存期間を「10年間」としていた。
 ところが、実際には07、08年度の試験(06、07年夏〜秋に実施)を含めた少なくとも過去数年間は、庁舎内の一室に保管していた文書を、試験翌年の3月末に廃棄していた。保管した期間は半年程度だった。【梅山崇】
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3、「県議や教委、教組が採用枠持つ」大分汚職で関係者証言
2008年7月11日 朝日新聞

 大分県の教員採用を巡る汚職事件で、県教委義務教育課参事、矢野哲郎容疑者(52)=贈賄容疑で再逮捕=の関係者らが朝日新聞の取材に対し、「小中学校の教員の採用には県議や県教委幹部、教育委員、県教職員組合(県教組)に枠が振り分けられていると、県教委関係者から聞かされた」と証言した。
 同県内の元労組幹部も10年ほど前、県教組の当時の役員から「県教組には定員の1割の枠が与えられていると打ち明けられた」と話している。
 昨年7月と9月に行われた小学校教員の今年度分の採用試験では41人が合格したが、同課参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=は、このうち約20人について、県教委上層部から合格させるよう指示されたと話しているという。その大半が、問題の「採用枠」で占められている疑いも出てきた。
 矢野参事の関係者の話では、県教委の関係者から数年前に「小中学校の教員採用試験では事前に採用枠が決められており、縁故のある受験者が優先的に採用されている」と聞かされたという。県教委関係者は「採用枠があるのは県議や県教委幹部、教育委員、県教組で、それぞれ一定数が割り振られている」とも話したという。
 大分県教組の組織率は公表されていないが、60%以上と言われ、九州では最も高い。大分県は、北海道や広島県、兵庫県などとともに、県教委に対する組合の影響力が強いことで知られている。
 これに対し、大分県教組の宗安勝敏書記長は「今回の事件は絶対に許せないと考えている。県教組が採用枠を持っていたという話は聞いたこともない」と話している。
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4、教員採用汚職:大分県教委、試験翌年に評定破棄 規定無視
                     毎日新聞 2008年7月10日 

 大分県の教員採用試験を巡る汚職事件で、舞台となった07、08両年度の小学校教員試験の答案用紙や面接結果を記した評定票を、所管する県教委義務教育課が「10年保存」の文書管理規定を無視して破棄していたことが分かった。県警は、上層部による指示の有無を含め、廃棄した経緯について解明を進めている。
 県教委によると、管理規定では、保存期間を文書の重要度に応じて「1年未満」「1年」「5年」「10年」「30年」に分け、各課が年度ごとに決めている。答案用紙や健康診断書などは「教員採用選考試験」との項目で、保存期間を「10年間」としていた。
 ところが、実際には07、08年度の試験(06、07年夏〜秋に実施)を含めた少なくとも過去数年間は、庁舎内の一室に保管していた文書を、試験翌年の3月末に廃棄していた。保管した期間は半年程度だった。
 三浦徹夫・義務教育課長は、試験に関する文書を半年程度で破棄していたことについて「保管スペースが足りなかった。規定違反と分かっていたが、用済みと判断し捨てた。上司の指示ではない」と釈明している。
 事件では07、08年度の小学校教員採用試験を巡って計5人が逮捕され、このうち県教委参事の江藤勝由容疑者(52)は両年度で30人以上を合格させるよう口利きを受けていた。江藤容疑者はこのうち15人を合格させる一方、本来合格だった10人を不合格としたことも分かったが、評定票などが破棄されたため、不正に不合格とされた受験者の救済は困難になっている。
 事件を受け、県教委は県人事委員会の文書管理規定を準用し、評定票の保存期間を5年とするなどと改めて定めた。【梅山崇】
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5、2年で30人超が不正操作で合格か、最大で百数十点加点 
                      2008年7月9日 読売新聞

 大分県の教員採用を巡る汚職事件で、県教委義務教育課参事・江藤勝由被告(52)(収賄罪で起訴)が小学校だけでなく中学校教員の採用試験でも、「一部の受験者の点数をかさ上げした」と関係者に話していることが8日、分かった。
 県教委ナンバー2の教育審議監だった同県由布市教育長・二宮政人容疑者(61)(収賄容疑で逮捕)ら上司の指示で行っていたとみられる。県警は大分県教育界を巡る不正の全容解明を急いでいる。
 関係者によると、新たに江藤被告による点数の改ざんが判明したのは2007、08年度の中学校の教員採用試験。07年度は513人、08年度は537人が受験し、いずれも31人が合格。競争倍率は16・5倍と17・3倍だった。試験は06、07年の7月下旬に教養と作文などの1次、9月中旬に面接などの2次試験が行われた。江藤被告は「金銭の授受は一切なかった」と話しているという。
 また、江藤被告が県警の調べに対し、08年度の小学校教員採用試験について、約15人の点数をかさ上げしたと供述していることも判明。1次と2次を合わせ1000点満点の試験で、最大で百数十点加点した受験者もいた。
 江藤被告は上司から約20人を合格させるよう指示されたが、5人ほどは合格圏内だったため、残る約15人に加点した。さらに合格ラインに達していたほかの約10人は点数を減らし不合格にしたという。指示を受けた中には、400点台後半の受験者が2人いたが、上司から「絶対に通してくれ」と言われたため、1次と2次を合わせて百数十点を上乗せして合格させた。
 江藤被告は07年度の小学校教員については15人以上の点数をかさ上げしたとみられ、2年間で30人を超える受験者が不正な操作によって合格したという。
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6、大分教員汚職「有力県議らが採用枠」…複数の関係者証言
                       2008年7月10日 読売新聞

 大分県の教員採用を巡る汚職事件で、逮捕、起訴された複数の被告が「採用には『議員枠』があった」と関係者に話していることがわかった。県内の国会議員関係者も「有力県議や国会議員も教員採用枠を持っていた」と読売新聞の取材に対し証言した。
 複数の被告の関係者によると、県教委義務教育課参事・江藤勝由被告(52)(収賄罪で起訴)が「議員枠」の存在を明かしたほか、別の被告も「小学校教員の合格者の最下位から5〜6人が『議員枠』と聞いている」と関係者に説明しているという。
 また、県内の国会議員事務所職員だった男性は「『有力文教族』といわれる複数の県議が、1〜2人の枠を持っていた。仕えた国会議員も1人分の枠を持っていた」と証言した。
 男性は、支持者の関係者を採用するよう働きかけていたことも明らかにした。「10年以上前から口利きはあった。私が受け持った数件はすべて合格した。実際の合格発表より1週間ほど早く、『依頼された方は合格でした』と連絡が入るのが通例だった」と話した。
 一方、文教族の中堅県議は、収賄容疑で逮捕された同県由布市教育長・二宮政人容疑者(61)が県教委ナンバー2の教育審議監だった2005年から06年にかけ、複数回にわたって審議監室に赴き、二宮容疑者に採用試験の受験者リストを持ち込んだことを認めた。リストは有力な支持者が作成したものだったという。
 県議は「リストに載っている人たちについて、合格するために不足している点を聞いたり、どんな人物かを説明したりした。金銭の授受はなく、口利きした受験者が合格しないことも多かった」と説明した。
 また、別の県議は08年度採用の1次試験後、知人の県教委幹部に電話で数人の受験者の氏名を伝え、「2次試験が終わったらすぐ結果を教えてほしい」と頼んだ。県議は「露骨な頼み方はしない。『結果を教えろ』とだけ言えば意味は分かるはず。議員なら支援者に頼まれれば断れない」と打ち明けた。
(2008年7月10日 読売新聞)
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石田ふたみ