『日々の映像』

2008年06月23日(月)  原油価額の高騰・・富の強奪の様相

 2006年度の統計で世界の大企業の上位11社の内10社は石油・ガスを扱う会社なのである。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5410.html

 その利益も凄まじい。エクソンモービルの利益570億ドル(6兆3000億円)11位のペレロチャイナ〔ブラジル〕でも190億ドル(2兆円)なのである。石油・2006年度のガスを扱う会社10社の利益は2960億ドル(30兆6200億円)となっている。
石油価額は1986年〜2002年までの18年間1バレル20ドル前後に推移してきた。その後上昇を続け2006年度は1バレル50〜60ドルであった。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4714.html
 
 このときの石油メジャー上位10社の利益が30兆円であったのだ。その後価格が2倍以上になっている。
 
 2007年度後半に80〜90ドルとなって、2008年3月に100ドルを超えてから止まることを知らない上昇を続けている。原油価格はすでに135ドルを超えどこまで高騰するのだろう。産油国とこれを扱う石油メッジャーに膨大な利益が集まる構造である。これはもはや富の強奪に等しいと思う。国を挙げて風力・太陽光発電など脱石油の社会の構築を急がなければならないと思う。

 「原油高騰の余波拡大 各業界、生き残り必死」と題する毎日新聞記事を引用した。トラック業界では1370社が廃業に追い込まれるなど、ガソリン・軽油の高騰に対応出来ない企業・個人が続出することは避けられない情勢となってきた。

経産相、原油増産投資要請へ 22日に産油・消費国会合
                      2008年6月22日 日経
原油高騰の余波拡大 各業界、生き残り必死  
毎日新聞 2008年6月22日 東京朝刊

-ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
経産相、原油増産投資要請へ 22日に産油・消費国会合
                      2008年6月22日 日経
 【ジッダ(サウジアラビア)=地曳航也】世界的な原油価格の高騰を受け、主要な産油国と消費国が22日、サウジアラビアのジッダで緊急閣僚会合を開く。日本から出席する甘利明経済産業相は将来の供給不安を解消するため、産油国が生産能力増強に向けた中長期の投資計画をつくるべきだと呼び掛ける。市場への投機マネーの流入抑制策として、情報開示の促進など市場の透明性向上を訴える。
 経産相は産油国に対し「原油高は短期的には所得移転になるが、中長期的には収入減」とけん制する。油価格が上がりすぎると消費国による代替エネルギーの開発など「脱・原油」を促し、かえって需要が減少し価格が急落・低迷する可能性がある。こうしたリスクにあえて触れることで、産油国に投資拡大に協力するよう促す。(07:00)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
原油高騰の余波拡大 各業界、生き残り必死  
毎日新聞 2008年6月22日 東京朝刊
 今年に入って3割強も上昇した原油価格の高騰が止まらない。22日にはサウジアラビアで産油国と消費国の緊急エネルギー会合が開かれるが、その効果への期待感は薄い。原油高騰の余波は日本でも拡大する一方で、小型イカ釣り漁船約3000隻が18、19日に一斉休業するという異例の事態を招いたほか、トラック業界では昨年度1370社が廃業、商品の値上げではなく減量で活路を見いだそうとする企業など、各業界は懸命に生き残り策を模索している。
 ◇減量で価格維持/燃料転換/機材小型化

 ■あの手この手
 旅行業界は夏休みを前に、マイカー利用の個人客をつなぎ留めようと躍起だ。近畿日本ツーリストは、塩原温泉(栃木県)への宿泊旅行に、温泉周辺のスタンドで利用できる1500円分のガソリンチケット付きプランを販売、日本旅行は伊豆地方の旅館を対象に、車のナンバーの下2ケタを足して百分率換算した分を宿泊料から割り引くプランを販売した。ガソリン高騰による首都圏からの観光客減少を危惧(きぐ)した地元観光団体との提携で実現したものだ。

 石油を原料に使う産業も苦しんでいる。
 高分子吸収体など材料の多くが石油製品の紙おむつは、材料高騰などで値上げが相次ぐ。ユニ・チャームは主力商品の「マミーポコ」シリーズを17日から減量。テープで留めるタイプのMサイズ54枚入りを50枚に減らした。予想小売価格は1000円前後で変わらないが、実質的に子ども1人当たり月300円前後の負担増になる。
 
製造コストに占める重油代の割合が1割という日本製紙グループ本社は、発電用ボイラーの燃料を木くずなどから作るリサイクル燃料に変える取り組みを強化した。新ボイラーは07年末は3工場だったが、今年に入って7工場に導入、さらに1工場に増設する。
 
だが、原材料の古紙や木材チップの価格も上昇し、6月1日出荷分から印刷用紙などを15%以上値上げした。ティッシュペーパーなどの卸売価格も6月下旬から2割強値上げする意向を示している。

 ■価格転嫁も〓
 航空各社は国際線で、燃料価格上昇分を通常運賃に上乗せする特別付加運賃(サーチャージ)を導入している。欧州・北米路線では現在、サーチャージが往復4万円だが、7月にはさらに1万6000円上がる。旅行会社のパンフレットには、サーチャージ抜きの価格が表示されている場合が多い。利用客の反発を背景に、国土交通省はサーチャージを含む総額を表示するよう近く旅行会社に通達を出す方針だ。
 
日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)は、機材の小型化などで燃料費削減を図る。国際線の主役だったボーイング747を、同機より約2割燃費が良いボーイング777に置き換えた。「成田−ニューヨーク線で、1便当たりドラム缶200本分が節約できる」(JAL)という。
 
◇「トラック」深刻、1370社廃業
 中小零細企業が多い陸運業界の事情は、もっと深刻だ。今年5月の軽油の全国平均価格は、1リットル140円と4年前より約6割も上がった。過当競争が続く業界だけに、価格引き上げは難しい。07年度には前年度に比べ3割増の1370社が廃業するなど、全日本トラック協会は「業界全体が深刻な危機に陥る」と訴える。ガソリン価格高騰の影響も広がる。
 
760店舗中、郊外店の割合が7割を占める外食大手「サイゼリア」では昨年10月以降、売り上げが前年同期比で0・6〜3・6%減った。郊外店で前年同期比2〜3%の客数減少が続いているためだ。
 外食産業の業界団体「日本フードサービス協会」は「昨秋以降、郊外のファミリーレストランの客数減が目立つ」と話す。

◇物価、年内2%上昇も−−白川浩道、クレディ・スイス証券チーフエコノミストの話
 原油価格は夏場に150ドルくらいまで上昇するのではないか。燃料費高騰で輸送費がかさみ、日用品や雑貨、衣料品など購入頻度が高い品目を中心に満遍なく価格が上昇する。価格が下落基調にあったパソコンなども上昇に転じる可能性がある。これにより、消費者物価上昇率(生鮮食品を除く)は、現在の1%前後から、年内に一時2%に達する可能性が高い。今年度は1・5%を超す水準が続くだろう。

◇きょう緊急エネルギー会合 増産期待薄く
 原油価格は今年1月にニューヨーク市場で1バレル=100ドルの大台を突破し、現在は130ドル台での取引が続く。22日にサウジアラビア・ジッダで開く閣僚級の緊急エネルギー会合は、北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)もにらみ、産油国と消費国が一体となった原油価格の抑制策を討議する。
 
世界最大の産油国サウジのヌアイミ石油鉱物資源相は15日、国連の潘基文(バンギムン)事務総長との会談で、7月から原油生産を日量20万バレル増やす計画を明らかにした。サウジはすでに5月に30万バレル追加増産しており、閣僚会合にあわせて現在950万バレル程度の生産を過去最高水準の1000万バレルに引き上げるとの観測も台頭している。
 
しかし消費国の増産要請に対して、明確に増産の意思を示しているのはサウジだけ。会合に出席する石油輸出国機構(OPEC)諸国の多くは利潤確保の思惑も絡み、「高騰の主な原因は投機マネー」との立場から、増産には否定的で、中期的な生産力増強を表明するにとどまるとの見方が強い。
 需給逼迫(ひっぱく)に加え、世界的なインフレとドル安への懸念も根強い中、決定打は見当たらない。「多少増産しても、投機資金の原油先物市場への流入は止まらず、効果は限定的」(欧州系銀行)との見方が強い。【ロンドン藤好陽太郎】

 < 過去  INDEX  未来 >


石田ふたみ