『日々の映像』

2008年05月29日(木)  対外純資産 過去最高250兆円

先ずは読売・毎日新聞の報道のポイントをそのまま箇条書きで示そう。

日本人の対外資産  610兆円   前年末比9.4%増(53兆円増)
外国人の日本資産  360兆円   前年末比5.0%増(18兆円増)
差し引き対外純資産 250兆円

外国人の日本資産を「外国の政府、企業、個人が日本に持つ資産(対外負債)」
対外債務と表現している。日本のゼロ金利で外国の政府、企業、個人は日本の債権に投資する割合は少なく、360兆円の主力は日本企業の株式である。新聞報道では「統計を公表している国の中では、日本は17年連続で世界一の債権国になったとみられる」という視点で報道しているが、この記者は日本の問題点の本質を知らないようだ。

 東証一部の時価総額は449兆円でしかない。360兆円の内何%が株式になっているかは分からないが、優良企業の多くは40%前後が外国人投資家の保有になっている。日本企業が外国資本の支配下になってしまうというリスクを抱えているのである。

 ニュースは見る視点によっては一つの恐怖に変わるのである。日本人の対外資産は、1年で53兆円も増加したという報道に接して、ある種の恐怖を覚えた。イロハの説明で恐縮であるが、610兆円とは、日本の企業・金融機関・民間人が保有している財産のうち海外に置いている財産(対外資産)なのである。これが1年で53兆円も増加していることは異常である。表現を慎まなければならないが、円資産からドル・ユーロなどへの逃避の部分がかなりあるといわねばならない。
これ以上の認識はコミ「日本国破産サバイバル研究会」に送りたい。





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対外純資産 過去最高250兆円
                      2008年5月23日 読売新聞
財務省は23日、2007年末の日本の対外資産と負債の状況をまとめた「対外貸借報告書」を発表した。日本の政府、企業、個人が海外に持つ資産(対外資産)の金額から、外国の政府、企業、個人が日本に持つ資産(対外負債)の金額を差し引いた「対外純資産」の残高は、前年末比16・3%増の250兆2210億円と過去最高となった。
 2年連続の増加で、世界2位のドイツ(07年末時点の円換算で107兆5715億円)を引き離し、統計を公表している国の中では1991年以来、17年連続で世界最大の債権国となったとみられる。原油高で中東諸国も対外資産を増やしているとみられるが、統計は公表していない。
 日本の対外資産は、前年末比9・4%増の610兆4920億円、対外負債は5・0%増の360兆2710億円と、いずれも過去最高だが、対外資産の伸びが対外負債を上回った。
 日本の低金利を背景に、金利の高い外国の債券や株式などへの投資が拡大した。

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対外純資産:2年連続で過去最高更新
                     2008年5月24日 毎日
 額賀福志郎財務相は23日の閣議に、07年末の対外資産負債残高を報告した。日本の政府や企業、個人が海外に保有する資産から、外国人投資家の対日投資など負債を差し引いた対外純資産残高は、前年末比16.3%増の250兆2210億円となり、2年連続で過去最高を更新した。
 対外資産、対外負債残高はともに過去最高を更新。対外資産残高は国内の低金利を反映して外国株式、債券への投資、預金などが増加し、同9.4%増の610兆4920億円となった。
 一方、外国人投資家らの日本向け投資残高を示す対外負債残高も同5.0%増の360兆2710億円と増加した。米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題を背景に投資家のリスク回避志向が高まったことから、対日投資の対象も株式から債券にシフトした。
 原油高騰を背景に中東諸国も対外資産を急増させているとみられるが、統計は公表されていない。統計を公表している国の中では、日本は17年連続で世界一の債権国になったとみられる。【清水憲司】

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石田ふたみ