『日々の映像』

2008年05月16日(金)  火力発電用石炭も2倍

 食料・エネルギーと物価上昇は、ハイパーインフレに直結していると認識する必要がある。企業は価格転嫁のバランスを保つだろうが、所得の伸びない家計、年金生活者にとって物価上昇は生きることを否定されるほどの打撃となる。

 国際通貨基金(IMF)は「近年4%以下に収まっていた世界の消費者物価上昇率が、ここへきて5.5%近くまで高まったと指摘し、インフレ再燃のリスクを警告した」(日経から)とあるが、インフレを画策する闇の動きがあることを我々は見抜く必要があると思う。

 今日は発電用石炭の輸入価額の上昇を整理したい。以下の上昇額はそのまま電気料のアップとなって庶民の暮らしを圧迫する。
2007年 9000万トン×55ドル〔5775円/トン〕=5190億円
2008年 9000万トン×125ドル〔13120/トン〕=1兆1800億円

 ともかく、海外から安いエネルギーを調達できる時代は終わった。日本は国内で自給できるエネルギーの開発に必死にならなければならない。特定財源で「道路」を作っている時ではないのである。国内で自給できるエネルギーは太陽光と風力である。日本は風力発電に最大限の努力をすべきである。

火力発電用の燃料炭も、08年度は1トン=125ドル程度と、前年度の2倍以上
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080508-OYT1T00842.htm
日本は年間9000万トンを超える発電用石炭輸入量がある
http://eco.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=20070515n1014n1
社説1 世界経済の新たな脅威となる物価上昇
2008年5月11日 日経
参考
原発10基分も増加した世界の風力発電
http://www.yorozubp.com/0603/060303.htm

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社説1 世界経済の新たな脅威となる物価上昇
2008年5月11日 日経
 資源、食糧の高騰に伴う物価上昇が世界経済の脅威になってきた。金融不安に伴う米国の利下げとドル安で多額の資金が商品相場に流入し、価格を押し上げている。景気減速の一方で高まる世界的なインフレの圧力に、十分警戒する必要がある。

 米連邦準備理事会(FRB)は4月末の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げ幅を0.25%にとどめた。しばらくは景気と物価の両にらみの政策運営とするもようだ。

 欧州中央銀行(ECB)は8日の理事会で政策金利を据え置いた。トリシェ総裁は理事会後の記者会見でインフレ警戒発言を繰り返した。消費者物価上昇率が3%を超え、政策目標である2%を上回っているため、インフレ抑制を最優先した。

 政策当局の雰囲気を端的に示すのは、国際通貨基金(IMF)のリプスキー筆頭副専務理事の8日の講演だ。近年4%以下に収まっていた世界の消費者物価上昇率が、ここへきて5.5%近くまで高まったと指摘し、インフレ再燃のリスクを警告したのである。「商品価格とグローバル・インフレ」という演題が物語るように、IMFは資源、食糧価格の高騰を注視している。

 新興国の台頭による需要増や供給面の制約など、構造的な価格上昇要因は多い。さらにここ数カ月は、米利下げやドル安など金融要因が価格上昇に拍車をかけるようになった。

 ドルが2002年当時の価値を保っていれば、原油相場は今より1バレル当たり25ドル安かったはずだ――。ドル建てで取引される原油の価格がドル安でかなり押し上げられたと、IMFは試算している。

 金融危機対策としての大幅利下げの副作用が目立ちだしているのだ。米国としては金融不安の震源である住宅部門に的を絞り、財政資金を投入する必要がある。加えて、主要国と足並みをそろえ、ドル相場の安定に努めるときがきている。

 日本でも暫定税率の復活したガソリンが全国平均で1リットル160円に迫っているのをはじめ、電気料金から食パンまで日常生活に必須の品目やサービスの値上げが相次いでいる。デフレ心理が過去のものになり、原材料値上がり分の最終製品への価格転嫁が進み始めているようだ。

 政策金利から物価上昇率を差し引いた実質金利がマイナスになったことと併せ、価格転嫁の進展で企業経営は一息つけるかもしれないが、所得の伸びない家計にとっては新たな重しとなる。世界経済の潮目の変化も見据えた総合的な物価監視が、これまで以上に重要になっている。


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石田ふたみ