『日々の映像』

2008年05月13日(火)  石炭価額空前の上昇(前年の3倍)

 このことは以前にも記述したが、海外炭の影響のスケールを整理したい。

1、海外炭の輸入量は、年間1億8000万トンである。
2、国内炭の生産量は、年間140万トン(自給率0.8%)である。
    (1961年度の5540万トンの生産実績がある)
3、2008年度に輸入する製鉄用の原料炭は、1トンあたり300ドルと、昨年度のほぼ3倍に跳ね上がることになった

 1億8000万トンの中には発電用も含まれているが、概略的にどれだけの負担増になるかを計算してみた。
 2007年 1億8000トン×10500円/トン当たり=1兆8900億円
 2008年 1億8000トン×31500円/トン当たり=5兆6700億円
                  この差額      3兆3800億円
 本来ハイパーインフレは国の政策によって起こるものだが、資源戦争すなわち外圧が発火点になってハイパーインフレが起こる雲行きである。それにしても石炭価額が一気に3倍になるなどは、通常の商取引ではあり得ない。日本を叩けという政治的な動きがあるように思えてならない。日本は風力発電などの自然エネルギーの確保に全力を尽くすべきである。

石炭価格急騰 再び脚光を浴びるか国内炭
(2008年5月9日 読売社説)
原料炭3倍値上げで合意 鉄鋼大手とBHP
                      04/09 12:17更新 イザ
神戸製鋼、鋼材3割弱値上げ 顧客企業の反発も
02/28 02:28更新イザ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/defc3d441b3630e6e1978b11a4906c2e
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石炭価格急騰 再び脚光を浴びるか国内炭
(2008年5月9日 読売社説)
 
世界的なエネルギー価格高騰の波が石炭にも及んできた。石炭は安価でいつでも手に入る原料ではなくなりつつある。
 一方で、わずかに残る国内の石炭産業にとっては追い風となろう。貴重な国産エネルギーとして、位置づけを見直す動きに期待が高まっている。
 新日本製鉄など国内の鉄鋼大手と、海外資源大手の間で合意されたオーストラリア産石炭の輸入価格が、産業界に衝撃を与えた。
 2008年度に輸入する製鉄用の原料炭は、1トンあたり300ドルと、昨年度のほぼ3倍に跳ね上がることになったからだ。
 日本が輸入する原料炭の約6割がオーストラリア産だ。他国からの分についても値上げは必至で、鉄鋼業界は大幅なコストアップに直面している。
 火力発電用の燃料炭も、08年度は1トン=125ドル程度と、前年度の2倍以上になる見通しだ。
 原料炭と燃料炭の大幅な値上げで、鉄鋼製品や電気料金などは値上がりが避けられない情勢だ。石油や食料品価格の上昇が続く中、さらなる値上げが国民生活を直撃することになりそうだ。
 こうした中、にわかに脚光を浴びつつあるのが国内炭である。
 国内炭の生産量は、ここ数年、年間140万トン前後で推移している。戦後のピークだった1961年度の5540万トンを境に減少を続け、炭鉱の数も北海道に8か所を残すだけになった。安い海外炭との競争に敗れたからだ。
 現在の海外炭の輸入量は、年間1億8000万トンに達している。それに比べ、国内炭の生産量は微々たるものだ。
 だが、価格差は急速に縮まってきた。国内炭は1トン当たり約1万円で推移しており、08年度は海外の燃料炭を下回ることになる。
 このため三菱マテリアルは、国内のセメント工場で18年ぶりに国内炭の使用を始めた。北海道電力も06年度に70万トンだった国内炭購入量を07年度は110万トンに増やし、08年度も同量を維持する。
 エネルギー関係者は、海外炭の価格は今後、一段と値上がりすると見ている。中国やインドの石炭需要は拡大する一方で、市場で品薄状態が続いているためだ。
 こうした流れを受け、北海道の炭鉱では増産が始まり、新しい炭鉱の開発も検討されている。
 海外炭を補うだけの量を確保することはできない。だが、自前のエネルギーを少しでも確保しながら、産炭地の経済復興にもつながる動きとして注目したい。

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原料炭3倍値上げで合意 鉄鋼大手とBHP
                         04/09 12:17更新 イザ
記事本文 新日本製鉄やJFEスチールなど鉄鋼大手各社は9日までに、英オーストラリア系資源大手のBHPビリトンと、平成20年度に調達する鉄鋼原料の石炭(原料炭)の価格を19年度比3倍に引き上げることで合意した。

 鉄鉱石も65%の値上げが決まっており、鉄スクラップなども含めた国内鉄鋼業界の原材料費の負担増は3兆円を超える見通し。各社は、大口取引先の自動車や家電メーカーに2割程度の鋼材価格引き上げを要請している。原料炭価格の大幅アップを受けて鋼材の値上げ幅を積み増す可能性もあり、車や家電製品などの値上げ圧力が高まりそうだ。

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鉄鉱石65%値上げ、過去最大幅 価格転嫁必至
                        02/18 20:41更新 イザ
 新日本製鉄やJFEスチールなど鉄鋼大手各社は18日までに、鉄鋼原料として仕入れる2008年度の鉄鉱石について、供給元の資源最大手ヴァーレ(旧リオドセ、ブラジル)と前年度比65%の値上げで合意した。1トン当たりの価格は80ドル弱となり、07年度と比べ約30ドル上昇する。鉄鉱石の値上げは6年連続。

 今回の値上げ率65%は05年度に同じく国内鉄鋼各社とヴァーレで合意した71・5%に次ぐ過去2位。値上げ対象となる鉄鉱石は、ブラジル産粉状鉄鉱石(粉鉱石)。ただ今回の値上げ合意によって、日本の輸入鉄鉱石の6割を占める豪州産などにも波及することが予想される。

 鉄鋼各社が値上げを受け入れた背景には、高騰する足元の鉄鉱石市況がある。インドから中国向けなどの単発取引(スポット)価格は今年に入り、日本の鉄鋼メーカーが結ぶ長期契約価格に比べて3倍(約140ドル)に高騰。JFEスチールの馬田一社長は今月6日、日本外国特派員協会で講演し、「スポット価格と長期契約価格の開きが大きく、資源各社との交渉は厳しい状況」と説明した。

 一方、今回の妥結額を「想定(70〜80%)より低い」(商社幹部)と見る向きもある。世界3大資源メジャーの一角であるヴァーレ。寡占化を狙う英豪BHPビリトンが同リオ・ティントに対して買収を仕掛けるのを横目に、市場予想を下回る値上げで妥結したのは、資源メジャーとして主導権を握りたいとの思惑が透けて見える。

 08年度の鉄鉱石値上げによる国内鉄鋼メーカーの年間コスト負担増は年間約5000億円。さらに、国内鉄鋼メーカーが7割弱を頼る豪州の原料炭は、水害による供給減で、大幅な値上げに向け交渉中だ。

 鋼材平均価格は現在、1トン当たり約8万円と、5年前の底値から約3万円回復した。だが、続く原料価格高騰に「一企業の努力だけ吸収できるものでない」(三村明夫・新日鉄社長)と、さらなる値上げも示唆する。

 鉄鋼各社による自動車や家電メーカーなどへの大幅な価格転嫁要請の機運が高まりそうだ。
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神戸製鋼、鋼材3割弱値上げ 顧客企業の反発も
02/28 02:28更新イザ
神戸製鋼所は27日までに、自動車メーカーなど大口取引先を含めた全顧客に対し、特殊鋼を含む線材・棒鋼製品価格を4月出荷分から、1トンあたり2万〜2万5000円値上げするとの通告を始めた。値上げ幅は最高大3割弱で過去最大。世界シェア首位のエンジンの弁バネ用鉄線など特殊鋼に競争力をもつ神鋼の値上げには、顧客企業の強い反発が予想される。
 原材料や海上運賃の高騰が値上げの理由。主原料の鉄鉱石は、供給元の資源最大手ヴァーレ(旧リオドセ、ブラジル)と前年度比65%の値上げで合意。一方、コークス原料の石炭の新年度価格交渉も、大幅値上げを見据えた交渉中。新年度の鋼材価格改定時期にあわせ、石炭価格は前年度比倍増を想定して決めた。
 製品値上げの浸透を左右する石炭価格動向は、中国が国内電力需要増で石炭輸出を減らすなど供給不足を強め、海外石炭市況は長期契約価格の3倍に高騰。神鋼は「コスト削減努力だけで吸収できないことは大口取引先も理解している」(幹部)と、製品値上げの浸透に理解を求めている。

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石田ふたみ