『日々の映像』

2008年03月31日(月)  ガソリン価額はいったん25円が下がる

 新日本石油は28日、ガソリンの暫定税率が切れた場合の4月の卸価格について、配送拠点である油槽所からの出荷分は暫定税率分の約25円を含む価格とすると発表した。ガソリン税は製油所から出荷した時点で課税される「蔵出し税」で、市中の在庫がなくなる7―10日間は今まで通りの価額になる。しかし、これが自由経済であるので、4月1日から25円値下げして販売するスタンドが出るかもしれない。

 首相の発言は期限が切れた後、野党側との調整がつかない場合には、税率維持を盛った租税特別措置法改正案を衆院で再可決する構えだ 暫定税率は参院が同改正案の審議を拒んで期限が切れても、衆院の可決から4月末に全議席の3分の2を握る衆院で再可決すれば、いったん下がった税金を引き上げられる。町村信孝官房長官は同日、都内の講演で「恐縮だがまた上げさせていただきたい」と語っているので、この主張通りに政治が動けば可決され、また25円の値上げが行なわれる。

 果たして政治はどう動くのか・・・さまざまな混乱が予想される。まずはポリタンクがなくなるだろう。庶民がガソリンを安い内に買いだめする可能性がある。・・・仮需が発生してところによってはスタンドのガソリンが切れるところが出るのでないか。いったん下がったガソリンをまた値上げできるのか、福田内閣の一寸先が分からない。

暫定税率期限切れの際の地方税収減600億、国が補てん検討
2008年3月30日読売新聞
道路財源一般化 予算改革の絶好機を逃すな
                    2008年3月30日 毎日新聞社説 
ガソリン税 最後まで混乱回避に努めよ
2008年3月29日 読売新聞社説
ガソリン製油所出荷、卸値25円下げ・新日石
                      2008年3月29日 日経
ガソリン、値下げ競争が早くも激化・青森や静岡
                    2008年3月30日 日経
首相、ガソリン暫定税率「現行水準を維持」・再議決の方針
                         2008年3月29日日経
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暫定税率期限切れの際の地方税収減600億、国が補てん検討
2008年3月30日読売新聞
 政府・与党は29日、ガソリン税などの暫定税率が4月1日以降、期限切れになった場合、地方自治体に生じる4月分の税収減約600億円について、国の財源で全額補てんする方向で検討に入った。

 与野党の対立で暫定税率を維持できない事情を踏まえ、自治体に配慮する必要があると判断した。特例交付金の創設や、地方交付税の増額、臨時の地方債発行を認め、国が償還財源を負担する案などが浮上している。
 暫定税率が失効した場合、政府・与党は、暫定税率維持のための租税特別措置法改正案など税制関連法案を4月下旬に衆院で再可決する考えだ。自治体が実際に減収になるのは、軽油引取税などの4月分だけとなる公算が大きい。
 財源補てん策のうち、税収減を完全にカバーできるのは、特例交付金を創設して自治体に一括交付する案だ。地方交付税増額だと、東京都や愛知県などの「不交付団体」には交付できず、不公平感が生じる。臨時の地方債について、自治体側には「国が地方債の償還財源を確実に負担するかどうか分からない」といった懸念の声も出ている。
 政府・与党は、補てんに充てる国の財源について、赤字国債は避けたい考えだ。自民党内には「特別会計の積立金から『埋蔵金』を見つけて充てるべきだ」との意見も出ている。
 一方、国の歳入は、4月末の衆院での再可決を前提とすると、千数百億円減少する。政府は、28日に成立した2008年度予算に基づき、道路整備の計画をまとめるが、事業を絞り込む方針だ。仮に、再可決が遅れた場合には、河川などの整備に充てている建設国債を増発し、道路財源に回す必要に迫られる恐れもある。
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道路財源一般化 予算改革の絶好機を逃すな
                                   2008年3月30日 毎日新聞社説 
 
08年度政府予算が28日成立した。その一方で、道路特定財源問題は、福田康夫首相の一般財源化提案で新段階に入った。道路整備計画も期間を10年から5年に短縮し、最新のデータをもとに厳格かつ客観的な評価で本当に必要とされる道路に限ることを表明した。
 このことの意味は大きい。政府提出のままの成立では、道路特定財源は暫定税率が10年間継続し、ほぼ全額が道路整備に使われる。それでは、小泉純一郎政権以来の公共事業改革に逆行する。それに対して、道路財源の一般財源化は財政再建にも好ましい影響をもたらす。このことは野党もしっかりと認識する必要がある。
 財政赤字が問題化した80年代以降、財政再建は概算要求基準(シーリング)で、各費目の伸び率をゼロやマイナスにする歳出削減が柱になってきた。ほぼすべての費目を横並びで減らすというやり方だ。ただ、道路などの公共事業は景気対策として補正予算で増額されるなどしてきた。
 その一方で、国民生活にとって緊急性の高い医療や介護、教育などでは予算不足が深刻化している。メリハリの利いた歳出改革になっていないためだ。言い換えれば、道路整備などの利権化している費目の予算はほぼ手付かずで生き残ってきたということだ。
 これでは、予算が国民に必要な公共サービスをまかなうという役割を果たすことができない。そこで、抜本的な歳出改革や予算改革が欠かせない。
 道路特定財源というもっぱら道路整備に使われる税金を一般財源にすることは、歳出構造の変革を意味している。もちろん、そこでは、道路整備計画を厳選することが条件になる。福田首相は公約した以上、道路関係議員や国土交通省の抵抗を押し切らなければならない。道路財源が解き放たれれば、財政再建の姿は大きく変わる。
 大胆な歳出費目の見直しを行うと同時に、財政健全化にも寄与する仕組みを作るためには、暫定税率を維持した水準での一般財源化が適当だ。温暖化対策が急がれている時に、化石エネルギーへの課税軽減は時代錯誤である。
 暫定税率という異常な状態を解消しつつ、複雑な石油関連、自動車関連の税制を簡素化することにはだれも異論がないだろう。その内容をめぐっては、侃々諤々(かんかんがくがく)の論議を行えばいい。
 こうした改革は、長年の懸案であるメリハリの利いた予算編成を可能にする。道路整備予算にメスが入れば、いや応なくほかの公共事業の見直しも進む。
 民主党は暫定税率の08年度からの廃止にこだわっているが、福田提案は「土建国家」からの脱却のみならず、予算改革にもつながる。与野党が論を戦わせ、具体案で競うことこそが国民利益につながる。

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ガソリン税 最後まで混乱回避に努めよ
2008年3月29日 読売新聞社説
 国民生活の混乱回避に向けて、与野党は最後まで最大限の努力を続けてもらいたい。
 与野党は、31日で切れるガソリン税以外の租税特別措置の期限を、5月末まで延長することで合意した。不動産の登録免許税の減免や石油製品のナフサの免税などが対象だ。
 そのための「つなぎ法案」を今月中に成立させることで、ガソリン税以外の混乱は避けられる。
 だが、国民の関心が最も高いガソリン税の暫定税率では依然、与野党の主張の隔たりが大きい。民主党は、「2009年度から道路特定財源を一般財源化する」などとした福田首相の提案を拒否する姿勢を変えていない。
 道路特定財源は08年度から完全一般財源化させる。暫定税率は即時廃止し、年2兆6000億円の減税を実施する。官僚の天下りは完全廃止する――。
 民主党が、こうした「小沢3原則」を掲げた狙いは明白だ。
 政府・与党が同意できないような高いハードルを設定して、暫定税率を期限切れに追い込み、福田内閣を揺さぶることである。
 自らの主張が100%通らない限り、与党とは合意しない。民主党は、そんな政局一辺倒の姿勢で良いのか。党内でも、「09年度からの一般財源化」という福田提案を評価する声が出ていることを無視すべきではないだろう。
 08年度予算は成立しても、参院では、予算執行に必要な税制関連法案の審議が始まっていない。
 法案の衆院通過から既に1か月が経過している。民主党が、「予算審議が優先だ」などと、理屈にならない理屈で審議入りを先送りしているためだ。
  だが、審議を尽くそうとしていないのは、明らかに民主党の方だ。この点については、共産党からも民主党批判が出ている。
 「つなぎ法案」の合意は、河野衆院議長と江田参院議長が仲介した。この合意をテコに、両院議長は、ガソリン税についても、与野党の調整に動いてもらいたい。それが、議長斡旋をまとめた当事者の責任である。
 ガソリン税の暫定税率の期限切れまで、あと3日しかない。
 政争で国民生活や地方財政を混乱させるようでは、政治の無為無策が際立つばかりだ。
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ガソリン製油所出荷、卸値25円下げ・新日石
                      2008年3月29日 日経
 新日本石油は28日、ガソリンの暫定税率が切れた場合の4月の卸価格について、配送拠点である油槽所からの出荷分は暫定税率分の約25円を含む価格とすると発表した。これに対し製油所から直接、出荷する分は従来より25円安い価格とする。元売りからガソリンを仕入れる給油所では、地域によって店頭価格がばらつくことになりそうだ。
 ガソリン税は製油所から出荷した時点で課税される「蔵出し税」。このため製油所からガソリンが届く油槽所では4月に入ってもしばらく高価格の在庫が残る。新日石は在庫がなくなるまでの7―10日間ほどは卸価格に暫定税率分を含める。
 製油所と油槽所の出荷量はほぼ半々で、地域ごとに価格差が生じることになる。例えば関東では、製油所が近い神奈川県の給油所は安い価格で仕入れられるが、油槽所経由で配送される栃木県や群馬県の給油所は高価格の場合が多くなる。

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ガソリン、値下げ競争が早くも激化・青森や静岡
                    2008年3月30日 日経
 ガソリンにかかる暫定税率が今月末に期限切れになることを見越し、給油所の値下げ競争が早くも広がっている。据え置いている給油所も多いものの、青森や静岡では一足早く値下げに踏み切る給油所が登場。4月1日からの大幅値下げを宣言する例も増えている。
 暫定税率が切れるとガソリンの税負担は1リットルあたり約25円軽くなる。給油所は3月に仕入れた課税済みの在庫があるうちは値下げしにくいが、競争激化でいち早く価格を下げる例が出てきた。(07:00)
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首相、ガソリン暫定税率「現行水準を維持」・再議決の方針
                         2008年3月29日日経
 福田康夫首相は29日、首相官邸で日本経済新聞などと会見し、ガソリンにかかる揮発油税などの暫定税率について「少なくとも(1リットルあたり約25円の)今の水準は維持しなければならない」と表明した。
 暫定税率は3月末の期限切れが不可避の情勢になっている。首相の発言は期限が切れた後、野党側との調整がつかない場合には、税率維持を盛った租税特別措置法改正案を衆院で再可決するとともに、2009年に向けた見直しでも民主党が求める撤廃には応じない考えを示したものだ。
 首相は暫定税率の維持について「まだまだ話し合いの余地はある」と語り、民主党との話し合い決着になお期待を示した。ただ、暫定税率は参院が同改正案の審議を拒んで期限が切れても、衆院の可決から60日がたつ4月末に全議席の3分の2を握る衆院で再可決すれば、いったん下がった税金を引き上げられる。町村信孝官房長官は同日、都内の講演で「恐縮だがまた上げさせていただきたい」と語り、再可決への理解を求めた。 (29日 20:37)

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石田ふたみ