『日々の映像』

2008年02月18日(月)  中国製餃子の解決遠のく(解決は絶望か)

 2月11日時点の情報で、土日祝日で問題のギョーザの製造日に出勤していた従業員を中心に捜査していると追う報道があったので「ギョーザ事件の犯人逮捕近い」と題して書いた。この希望的見通しが完全に裏切られた。むしろ国内世論と中国世論とに深刻な衝突に発展する気配である。このように感ずる2~3に事例を挙げよう。

1、中国メディアによる中国製冷凍ギョーザ中毒事件の報道が増えている。新聞各紙も「中国側に問題はなかった」とする記事を連日掲載している。発生当初は沈黙していたが、安全性を強調したい中国当局の意向を受けているとみられる。結論は「“問題ギョーザ”は中国と無関係」としている。

2、中国製冷凍ギョーザ中毒事件で製造元の天洋食品は15日、河北省輸出入検査検疫局、農業庁と合同で記者会見した。さらに工場内を内外のメディアに公開し、何ら問題がないことをアピールしている。 ポイントは河北省輸出入検査検疫局、農業庁すなわち官僚と一緒に記者会見しているのである。そして「問題ギョーザ”は中国と無関係」と押し切る方針を固めたようだ。

3、天洋食品の底夢路社長は、生産過程に有機リン系農薬成分のメタミドホスが混入した可能性がないとの見解を強調。「我々は今回の事件で最大の被害者だ」と述べ、今後賠償請求も検討することを明らかにしている。 誰に損害賠償をするというのだ。日本の輸入業者なのか。このような思考であれば、輸入業者の中国のギョーザは輸入できないであろう。
 上記1〜3を中国指導部が了解しているとすれば、周恩来時代以降4世代目の指導部は小粒になったといわざるを得ない。
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中国メディア、ギョーザ「安全」報道過熱 当局の意向か
2008年02月17日08時00分
 中国メディアによる中国製冷凍ギョーザ中毒事件の報道が増えている。16日の国営中央テレビは15日に製造元の天洋食品工場内を内外メディアに公開したことを放送し、新聞各紙も「中国側に問題はなかった」とする記事を連日掲載している。発生当初は沈黙していたが、安全性を強調したい中国当局の意向を受けているとみられる。
 「これほど面倒な消毒や所持品検査をやっているのだから、何者かが異物を持ち込むことはできるはずがない」。純白の作業服とマスクを着けた中央テレビの記者は16日のニュースで、公開された作業場の管理の厳しさを伝えた。
 16日付の新聞各紙も、徳島県知事がギョーザの袋から検出された有機リン系農薬成分「ジクロルボス」が店内で使われた殺虫剤だった、と14日に発表したことを一斉に報道。北京青年報や晨報などは1面に「“問題ギョーザ”は中国と無関係」という見出しで掲載した。
 14日付の各紙は、日本生活協同組合連合会が中国の調査団に提供したギョーザ10袋から農薬成分が検出されなかったという国家品質監督検査検疫総局の調査結果を紹介した。同総局が13日の会見で、中国側での農薬成分の混入の可能性を強く否定してから報道量が急増しており、各記事には「ギョーザ事件は食品の安全問題でなく、個別の事件」とする同総局の見解が紹介されている。
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<中国製ギョーザ>メタミドホスに不純物 農薬と科警研断定
                      2008年2月16日毎日新聞
中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、千葉、兵庫両県で被害の出たギョーザから検出された有機リン系殺虫剤「メタミドホス」について警察庁科学警察研究所が詳しい成分分析を行ったところ、不純物が含まれていることなどの特徴から、混入していたのは農薬として使用されるメタミドホスと断定した。中国でも使用は禁止されているが、現在も農薬として広範に流通していることから、中国国内で混入された疑いがさらに強まった。

 メタミドホスは日本では試薬として研究機関などに保管されているが、純度は99%以上と極めて高い。一方、農薬として使われるメタミドホスは通常不純物が含まれているため、検出されたメタミドホスは農薬として使われるものであることが分かった。

 科警研は、両県で検出されたメタミドホスが同一かどうかについても分析を続けている。しかしメタミドホスは成分の劣化が激しい特徴があることなどから、同一かどうかの鑑定は難航している。

 一方、中国国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠副総局長は13日、「生産から輸出までに異常はなく、人為的な破壊の可能性は存在しない」と述べている。【遠山和彦】

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天洋食品が工場の内部公開 社長「我々は最大の被害者」
2008年02月15日19時39分朝日新聞
 中国製冷凍ギョーザ中毒事件で製造元の天洋食品は15日、地元の河北省石家荘市内で、河北省輸出入検査検疫局、農業庁と合同で記者会見した。さらに工場内を内外のメディアに公開し、何ら問題がないことをアピールした。
 天洋食品の底夢路社長は、生産過程に有機リン系農薬成分のメタミドホスが混入した可能性がないとの見解を強調。「我々は今回の事件で最大の被害者だ」と述べ、今後賠償請求も検討することを明らかにした。
 底社長は「今回の事件で経済上、巨大な損失を被っただけでなく、天洋食品の名声も甚大な損害を受けた。真相の早期解明と正常な生産と経営の早期回復を切望する」と語った。事件の背景として取りざたされている労働争議については「給与の未払いは起きたことがない」として否定した。
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中国当局、中国での混入を否定 ギョーザ事件
2008年02月13日朝日新聞
 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件について、中国国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠副総局長は13日記者会見を開き、「ギョーザの生産から輸出までの過程で人為的な破壊行為があった可能性はほぼない」と述べた。製造元の天洋食品(河北省石家荘市)の全従業員から公安当局が事情聴取をするなどした結果、有機リン系農薬成分を人為的に混入させた形跡が見つかっていないことも明らかにし、中国側での混入の可能性を強く否定した。

 魏副総局長によると、同総局の李長江総局長らが12日、天洋食品を視察。生産記録や管理状況を調べ、衛生面に異状はなく、農薬成分を人為的に混入させた可能性がほとんどないことを確認した。工場側からは「対日輸出で成長した会社なので日本に好感を持っており、従業員の給与も低くない」と説明があった。
 さらに魏副総局長は、中国の調査団が訪日した際、日本生活協同組合連合会から、中毒が起きた商品と同じ昨年10月20日製のほか、同19日、6月3日、11月1日製の計10袋の提供を受けたと明らかにした。調べた結果、メタミドホスなどは検出されなかったという。
 魏副総局長は事件を解明するため、日本の厚生労働省などと共同調査チームをつくる考えを示し、近く日本側に打診することを表明。捜査面での協力でも「中国公安当局も今回の事件を極めて重視しており、日本の警察当局との協力に前向きだ」と述べた。
 ただ、日本で未開封の袋の内側から農薬成分が検出されたことについては「一般人でも開封したものを再び密封できる。少数の事例で断定すべきではない」と述べ、「中国で混入した証拠」とみる日本側に反論した。
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「工場で付着、考えにくい」 JT説明 ギョーザ事件
2008年02月12日朝日新聞
 中国製冷凍ギョーザの中毒事件にからみ、日本たばこ産業(JT)は12日、製造元の中国・天洋食品の工場内で製品が包装される工程を説明した。密封された製品の包装の内側と外側から有機リン系農薬成分「メタミドホス」が検出されたため、包装に成分が付着していた可能性が出ているが、JT側は「密封前の袋を直接触る従業員は10人ほどしかおらず、工場での付着は考えにくい」との見方を示した。
 兵庫県警の鑑定によると、昨年10月1日製造の「中華deごちそう ひとくち餃子(ギョーザ)」の包装の内側と外側からメタミドホスが検出された。
 JTによると、日本企業の現地子会社「東洋製袋」が製造した袋は段ボール箱に詰められ、テープで箱の上下を密閉された状態で天洋食品へ搬入される。箱は工場1階の包装準備室に運ばれて開封され、4人の従業員が袋を取り出して破れや汚れがないか1枚ずつ検品したり、賞味期限などを印字したりする。
 印字後の袋は隣の包装室に運ばれ、ギョーザが詰められて密封されるまでに通常は袋づめ3人と重量点検、袋の密封の各2人の計7人が袋に触れる。包装室では、ほかに少なくとも20人余りが作業しているほか、責任者1人と品質管理担当者3人が作業をチェックし、監視カメラも備えられている。
 袋が段ボール箱から取り出され、包装室で密封されるまでに移動するのは10メートル弱。工場を何度も視察したJTの社員は「袋に異臭や異常な感触があれば誰かが気づくはず。短い工程で周囲に分からないよう故意に付着させることも難しい」と話した。
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メタミドホス、根強い人気 禁止後も闇取引 中国農村部
2008年02月15日朝日新聞
 中国製冷凍ギョーザの中毒事件で、商品に混入されていたメタミドホス。中国では販売も使用も禁じられているが、ギョーザ製造元の「天洋食品」がある中国・石家荘市の郊外では、農民が今もメタミドホスを使っている。安い上に殺虫効果が高いため根強い人気があり、ヤミ取引されているのだという。
 工場から車で10分ほど走った同市郊外には、小麦やトウモロコシ畑が広がる。農家の40代の男性にメタミドホスがあるか尋ねると、中身が入ったメタミドホスのビン2本を見せてくれた。男性は「禁止されたのは知っているが、実は今も店で買える。1本7〜8元(1元は約15円)。殺虫効果が強く、多くの農家が使っている」と明かした。
 近くの別の農家も使っていた。水で薄め、噴霧器で葉の表面に吹き付ける。この農家の女性は「数時間後には、葉に付いた虫の大部分がばたばた死ぬ。一度使えば効果は数十日持つから、ほかの農薬より便利」。
 ただ、使うのは出荷する作物だけ。「家族が食べる野菜には絶対に使わない。中毒が怖いから」
 中国農業省は07年1月から、メタミドホスを含む5種類の毒性が高い有機リン系農薬の使用と販売を禁止した。「実験などに使われる以外に流通はない」(国家品質監督検査検疫総局幹部)
 だが、禁止されるまでの約30年、広く使われた。中国農薬工業協会によると、03〜05年の有機リン系農薬の生産量は約27万トン。うちメタミドホスは約18万トンで最大。在庫を抱えた業者がヤミで販売する事例も目立つ。
 石家荘市内の農業用品店の店員は「メタミドホスを求める農家は後を絶たない。都市部の店では置かないが、当局の目が届きにくい農村では話は別」と話す。
 未登録の携帯電話を使って格安で売る個人業者もある。高濃度のメタミドホスを1リットル二十数元で販売する江蘇省の業者に電話すると、「自社工場でひそかに製造している。今も注文は多い。商品が届くまでに摘発された際の罰金は客に負担してもらう」と話した。
 1月の農業省の発表によると、販売禁止以降、全国でメタミドホスを含む5種類の有機リン系農薬を875トン押収している。北京の大手農薬販売会社関係者は「値段が安く殺虫効果が高いメタミドホスを使ったことがある農民は、違法とわかっていても使わざるをえない。回収は進まないだろう」と指摘する。

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黄砂予報精度かすむ、国家機密と中国がデータ提供拒否
2月16日14時34分配信 読売新聞

 春になると、中国大陸から飛来する黄砂を日本、中国、韓国、モンゴルの4か国で観測し、環境省のホームページ(HP)で飛来状況を公表したり、予測したりする計画が、当初協力を約束していた中国が「離脱」したため、精度を確保できない見通しになっている。

 中国側が「気象情報は国家機密」として、データの提供を拒否したためで、HPは、肝心の発生源の情報がないまま今月下旬の本格運用を迎える。

 黄砂が飛来することで、中国や韓国では、住民の呼吸器系の健康被害が相次ぎ、日本では、九州を中心に洗濯物が汚れたり、精密機器の工場で不良品の発生率が上がったりするなどの実害が出ている。福岡県保健環境研究所(太宰府市)によると、昨年4月初めに観測した黄砂では、同県内で大気が薄い褐色に変わり、粉じん濃度も一斉に基準値を超えた。

 気象庁では現在、黄砂の飛来状況について、全国85地点で観測した情報を発表しているが、目視確認のため国内に飛来した時点の情報しかなく、正確な飛来量も予測できない。

 このため環境省では昨年春、HP上で「黄砂飛来情報ページ」の試験運用を始め、今年2月下旬から、中国と韓国の各1か所、モンゴルの3か所、それに日本の10か所の観測地点のデータをもとに、地上から上空6キロまでの実際の飛来量や、黄砂の予想分布図を公表する予定だった。

 中でも、中国の観測地点は、日本への飛来ルート上の首都・北京にあるため、日本への飛来量について精度の高い予測を出すには不可欠だったが、試験運用を始める直前の昨年4月、中国側から突然、データ提供をストップすることを通告された。

 気象観測データは国の安全と利益にかかわる機密情報として、あらゆる気象観測データを国外に持ち出すことを禁じた法律「気象局13号令」を施行したことが理由だった。この状況は現在も続いており、今月下旬から始める本格運用でも、中国でどれぐらいの量の黄砂が発生しているのか、発生源のデータがないまま、飛来量を予測することを余儀なくされる。

最終更新:2月16日14時34分

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石田ふたみ