『日々の映像』

2007年11月16日(金) 初の「自殺白書」 9年連続3万人超 


日々の映像の記述が11年目には行っているが、自殺問題は毎年数回かいてきた。11年前の自殺者数は22000人前後であったが、平成10年に前年より約8500人急増して以来9年連続して3万人を超えている。その7割が男性で、とくに急増した大半の部分を45〜64歳までの中高年男性が占めているという深刻さである。

 この10年間で約30万人が自殺している。この社会の出来事は恐ろしいデータでないかと思う。以前書いたことがあるが、1人の自殺で親・兄弟・友人など最低で10人が強いショックを受けるという。この10年で、300万人の人たちが、身近な人の自殺に遭遇しているのである。

 この30万人は自殺の成功した人である。自殺未遂者の数は自殺成功者
の10倍という指摘がある。5倍としてのこの10年で150万人が自殺を試みたことになる。詳しくは省略するしかないが、対処療法としてはソーシャルワーカーの強化が求められると思う。日本の社会の根本的な問題が自殺者3万人に表れていると認識すべきでないかと思う

高齢者福祉情報
ソーシャルワーカーに託す 「生きる力」支援  2007年10月08日
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=23763033&comm_id=698599

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初の「自殺白書」 9年連続3万人超 「自殺は防げる」  
2007.11.9 09:54 朝日新聞
 政府は9日の閣議で、自殺の現状や政府の自殺対策の実施状況をまとめた平成19年版「自殺白書」を決定した。昨年10月施行の「自殺対策基本法」に基づき、国会に提出する初の年次報告となる。自殺者数は、平成10年に前年より約8500人急増して以来9年連続して3万人超。その7割が男性で、とくに急増した大半の部分を45〜64歳までの中高年男性が占めている。
 白書では、中高年男性の自殺者の急増について、人口増や高齢化に加え、バブル崩壊といった経済的変更が働き盛りの男性に強く影響していると分析。とくに社会の大きな変化を小・中学生のころに経験した昭和一桁(けた)から15年生まれまでの世代は、社会的変化の節目で高い自殺死亡率を占めるという世代的特徴があるとしている。
 また、今年6月に閣議決定した「自殺総合対策大綱」に沿って、自殺を「追い込まれた末の死」「防げることができる」「自殺を考えている人はサインを発している」という3つの基本認識の下、政府が進めている9項目、46の重点的な自殺対策についてまとめている。平成28年までに、17年の自殺死亡率の20%以上を減少させ、急増前の2万4000人台の水準まで下げることを目標に掲げている。
 平成18年の自殺の状況は、約半数を「健康問題」が占め、次いで「経済・生活問題」、「家庭問題」などとなっている。高度成長期やバブル期に自殺者が減少する一方、円高不況下の昭和60年前後やバブル崩壊後に増加しており、失業率と自殺死亡率との間に相関関係があることも指摘している。
 さらに多重債務者や鬱(うつ)病(びよう)患者などに対する自治体や民間団体、大学における34の自殺予防の取り組みや遺族の声も紹介。すべての都道府県に自殺対策の検討の場として「自殺対策連絡協議会」の設置を要請しているが、今年9月現在、42都道府県に設置済みで、19年度中にすべての都道府県と政令指定都市に設置が予定されている。

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自殺サイト/闇の世界を増殖させるな
2007/10/12 神戸新聞
 自殺を予告したり自殺者を募ったりするインターネットの「自殺サイト」を悪用して、殺害や自殺の手助けなどを金銭と引き換えに請け負う。そんなネット社会の闇の一面がまた明らかになった。
 神奈川県に住む女性派遣社員の求めに応じ、この女性を殺害したとして、千葉県の男が嘱託殺人容疑で警察に逮捕された。調べに対し「最期をみとってくれと頼まれた」と話し、容疑を認めているという。
 この男は、携帯電話の自殺サイトに書き込みをした女性に大量の睡眠導入剤を飲ませ、ポリ袋を頭からかぶせて窒息死させたとされる。女性のアパートからは本人の携帯電話や部屋の鍵がなくなっていた。警察は、犯行への関与を隠すために男が持ち去ったとみており、周到に計画した殺害だったことがうかがえる。
 気持ちをより重くさせるのは、二十万円の見返りで殺害を請け負ったとみられることだ。
 自殺サイトで知り合った相手を殺害する事件は過去にもあった。二年前には、神戸の男子中学生ら男女三人を殺害した男が逮捕され、死刑判決が確定しているが、この事件は、人の死への異常な関心が引き起こした殺人だった。自殺願望者と金銭取引をした例はほとんどない。
 「死にたい」と思うまで追い詰められた心理に付けこんで利益を得ようとする。冷酷な打算には、背筋が凍る思いだ。
 男は自殺の方法を教えるサイトを自ら開設し、ほかのサイトにも「復讐(ふくしゅう)、薬、自殺幇助(ほうじょ)、何でも致します」などと書き込んで違法行為の勧誘を繰り返していた。当初から自殺願望者を金もうけの対象と考えたことは間違いないだろう。
 問題は、こうした利益目的の犯罪がネット上で拡大、増殖しているように思えることだ。この八月には「闇の職安」で知り合った三人の男が金銭目的で女性を拉致、殺害する事件があった。
 誰もが情報の発信者や受信者になれるネット社会は、表現の自由があってこそ成り立つ。その自由を悪用した犯罪が許されないことは言うまでもない。
 ただでさえ、自殺の多発は日本の抱える病理とされる。そうした病理に乗じた「闇のビジネス」を封じ込めるには、警察や関係業界による監視、摘発だけでなく、社会全体で目を光らせることが大切だろう。
 異様な書き込みを見かけたら、サイトの管理者に削除を求める。違法行為に気づいたら警察に通報する。そうした手だてを尽くし、健全な社会を守らねばならない。

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ネット殺人 異様な世界が膨らんで
10月12日(金) 毎日新聞
 またネットを利用した殺人事件が起きた。自殺サイトに投稿した長野県出身で、神奈川県に住んでいた若い女性から頼まれ、殺害したとして千葉県の男が嘱託殺人の疑いで逮捕された。
 ネット殺人が次々と起きることに衝撃を覚えるとともに、ネット社会の暗部をあらためて思い知らされた。ネットが舞台の犯罪は深刻化しているようにもみえる。もどかしさが募るばかりだ。

 警察の調べだと、容疑者の男は昨年6月に自殺の方法を教える携帯電話の掲示板サイトを開設。殺された女性はことしの4月5日、このサイトに「死にたい」という趣旨の書き込みをした。
 男はその1週間後に女性のアパートに行き、多量の睡眠導入剤をのませ、頭にポリ袋をかぶせて窒息死させた疑いが持たれている。
 驚くのはこの男が匿名で、商売のように自殺志願者を募っていたことだ。複数の掲示板に「合法、違法を問わずどんな仕事でも請け負います。復讐(ふくしゅう)、薬、自殺幇助(ほうじょ)…何でも致します。詳細、料金はHPまたはメールにて」と書き込んでいた。
 実際、女性からは報酬とみられる20万円が容疑者の口座に振り込まれていた。金目当ての犯行だった疑いが強まっているが、なぜネット犯罪を思い立ち、どのような思いで利用したのか、動機や経緯など徹底的に調べてもらいたい。
 被害者の女性はインターネットに熱中していたという。会員制サイトに自己紹介を掲載したり、殺害される直前にも仕事や友人について日記を公開したりしていた。
 ネットに依存する若者は急速に増えているようだ。関西学院大教授で、精神科医の野田正彰さんは以前、本紙夕刊の「今日の視角」で、狭いディスプレーのメッセージに集中することで判断力が排除され、相手から「指示されたイメージのみが現実性を帯びる」と、メールなどネット上のやりとりの中にひそむ危険性を訴えていた。

 利用者はあふれる情報に無防備のままで、業界も安全対策に関心が高いとは言えない状態が続いている。これでは、今回のような悪質なネット犯罪をなくすのは難しい。
 ネットなどの情報技術は現代社会の「黒船」と言える。準備が整わないうちに押し寄せてきた。ネットを利用するルールづくり、教育の充実、業界の意識改革、司法の犯罪対策…。やるべきことは多い。
 ネット社会にひそむ闇をしっかり認識し、利用者がその中で生きる技術を身につけなくてはならない時期を迎えている。

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石田ふたみ