『日々の映像』

2007年10月29日(月) 中越沖地震:断層面、柏崎刈羽原発の直下に

新潟県中越沖地震の震源域の南側半分は、「断層面が海側から陸側に向かって下がる傾きで、東京電力柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)の直下へ延びていることが分かった」(10月24日・毎日)という。

産業技術総合研究所など他の4チームの分析でも、同様の結果が出た。このうち、国土地理院は以前、陸側に向かって断層面が上がっているという逆の見解を発表していたが、見解を改めたのだ。
震度6強の地震はマグニチュード〈M〉8クラスの地震から比べれば中規模なのである。中越沖地震(マグニチュード〈M〉6.8)を起こした海底の断層は、東京電力柏崎刈羽原発のある陸地直下にまで及んでいることがはっきりした以上、この原発に再開は難しいと思う。マグニチュード〈M〉8クラスの地震が起こったら、原子炉そのものが破壊されるだろう。

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中越沖地震:断層面、柏崎刈羽原発の直下に
毎日新聞 2007年10月24日 
 
新潟県中越沖地震の震源域の南側半分は、断層面が海側から陸側に向かって下がる傾きで、東京電力柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)の直下へ延びていることが分かった。24日から仙台市で始まった日本地震学会で、各研究機関の見解が一致した。原発付近では深さ10キロ前後に断層面があるとみられるという。一方、北側半分については意見が分かれ、最終的な結論は出なかった。
 東京大地震研究所の纐纈(こうけつ)一起教授(強震動地震学)らのグループは、同原発や佐渡島などに設置された計15基の地震計のデータから、震源や断層面を推定。同原発に近い震源域の南側半分では、断層面が南東に向かって傾斜していると断定した。産業技術総合研究所など他の4チームの分析でも、同様の結果が出た。このうち、国土地理院は以前、陸側に向かって断層面が上がっているという逆の見解を発表していたが、見解を改めた。
 一方、震源域の北側半分については、断層面がどちらに傾いているかの見解が分かれた。震源域が何枚の断層面からなるかについても、1〜3枚と意見が分かれた。【関東晋慈】

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中越沖地震:被災の柏崎刈羽原発、原子力学会が緊急報告会
 ◇国民が納得する究明必要
 ◇「設計基準地震動の数十倍の余裕」
 日本原子力学会は9月末、新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発に関する緊急報告会を開いた。国の原子力安全・保安院の調査・対策委員会の委員長を務める班目春樹・東京大教授(原子力社会工学)は「結果として大丈夫だった、では国民は納得しない。今後の研究で、実際にどの程度の余裕があったのかを明らかにする必要がある」と指摘した。
 北九州市であった秋の大会期間中の28日夜、一般市民にも公開で開かれ、約400人が参加した。東電、保安院の担当者が地震当日の模様やその後の対応を報告し、班目教授と原子力安全委員会の早田邦久委員が見解を述べた。
 班目教授は重要個所に大きな損傷がなかった理由として「原発は耐震より(放射性物質の漏出を防ぐ)遮へいの要求から、大きな余裕を持って設計されている。(設計に用いた)基準地震動の策定が間違っていたのは明白だが、実際に破壊されるまでには、基準地震動の数十倍の余裕があるのではないか。だから、基準地震動の3倍の揺れにも耐えられた」と語った。
 早田委員は「教訓と知見を今後の耐震性向上に生かすことが重要」と話し、今後の調査結果も踏まえて新しい耐震審査指針の有効性を見定める考えを明らかにした。
 会場の参加者からは「未曽有の揺れの中、原子炉を安全に停止させた運転員をもっと評価すべきだ」「漏れた放射能は微量で被害はないのに、風評被害が起きた。情報提供で反省点はないか」などの意見が出た。「そもそもあのような場所に原発があっていいのか」という質問も出たが、保安院の山田知穂・原子力安全技術基盤課長は「その点も含め、どう評価すべきかは調査・対策委員会で検討中」とかわした。【西川拓】
毎日新聞 2007年10月7日 東京朝刊

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石田ふたみ