『日々の映像』

2007年09月18日(火) DV=配偶者らからの暴力

1997年1月から日々の映像と題する短文エッセイ毎日書き続けている。
ミクシイに日記に記載するようになってからは出来るだけ短文に纏めるようにしている。ただし、詳しく掌握したい方のために資料の添付は必ずしている。
ドメスティック・バイオレンス(DV)については、児童虐待同じぐらい日々の映像で取り上げてきた。察によるDVの検挙件数も2000件を超えているというのに、配偶者らからの暴力が増加しているのである。この現象をどう認識すればよいのか。

 なぜこんなことに成るのか。短絡的であるが夫・妻ともコミュニケーション能力が貧弱といわざるを得ない。今年7月にドメスティック・バイオレンス(DV=配偶者らからの暴力)を防止する法律が改正された。改正の要点を引用するので、暴力を振るう夫は逮捕されないように法律の骨子ぐらいは理解して欲しい。

1、身体への暴力だけでなく、脅迫を受けた場合も保護命令の申し立てができるようになった。
2、さらに禁止される「接近」行為に、身辺を付け回すだけでなく、電話、メール、ファクスなどで脅迫する行為なども新たに加わる。
「接近」相手には被害者の親族や支援者も含まれることになった。
3、被害者が裁判所に申し立てれば、加害者に対して保護命令が発令される。

被害者への接近を6カ月間禁じるものと、自宅から2カ月間退去するよう命じられることもあるのだ。


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DV増加の裏に見えるものは(2007/8/10)
ドメスティック・バイオレンス(DV=DV増加の裏に見えるものは(2007/8/10)

ドメスティック・バイオレンス(DV=配偶者らからの暴力)を防止する法律が7月に改正された。加害者に発する保護命令の中身が広がり、電話やメールで被害者らを脅迫する行為なども新たに禁じられる。ただ2001年の法施行後もDV相談は増え続けており、暴力の根は深そうだ。法律の強化と合わせ、いまだに「耐える女」を美化し、「威張る男」に甘くなりがちな日本人の意識を変えないと、DVは減らないだろう。


女性の4人に1人がDV経験者?

 一般の人々のDVに対する認識は、せいぜい「犬も食わない夫婦げんか」の延長線程度ではないだろうか。深刻な犯罪行為と受け止めたとしても、堅気の人間とは縁の無い話と思う人は多そうだ。


 だが現実には、女性の4人に1人強が、配偶者から身体に対する暴行を受けている。06年度に全国の配偶者暴力相談支援センターが受け付けたDV相談は5万8000件余り。被害者の大半が女性だ。警察によるDVの検挙件数も2000件(05年)近くに上る。


 ある相談受付機関によると加害者の夫は、教育程度も社会的地位も高い場合が少なくないそうだ。いまやDVは特殊な世界の異常な出来事とは片付けられなくなった。


 配偶者から身体への暴力を振るわれた場合、被害者が裁判所に申し立てれば、加害者に対して保護命令が発令される。被害者への接近を6カ月間禁じるものと、自宅から2カ月間退去するよう命じるものの2種類だ。


 今回の法改正では、身体への暴力だけでなく、脅迫を受けた場合も保護命令の申し立てができるようになった。さらに禁止される「接近」行為に、身辺を付け回すだけでなく、電話、メール、ファクスなどで脅迫する行為なども新たに加わる。「接近」相手には被害者の親族や支援者も含まれることになった。


 たとえば電話で執拗に「殺してやる」などと脅す。あるいは逃げた被害者の居所を問い詰めようと親族に危害を加える。こうしたケースにも、ようやく救済の道が開けるようになったわけだ。


 ただ、法律によって暴力被害の拡大を抑えることはできても、配偶者間の暴力それ自体をなくすことは難しい。なぜ加害者は、曲がりなりにも愛情と信頼を寄せてしかるべき相手に暴虐の限りを尽くすのか。DV根絶には、暴力を振るい、振るわれる動機や男女の関係などにもメスを入れる必要がある。


「内弁慶」生む土壌が今も

 DV研究者や、被害者の支援グループなどによれば、一般的に加害男性は家庭の外でも誰彼かまわず暴力を振るう荒くれ男ではないそうだ。自分が思い通りにできる相手、なめてかかれる相手に対してだけ暴君となる、いわばどこにでもいそうな内弁慶が多いらしい。妻を服従させることで己の支配欲を満たそうとするわけで、その裏には、しばしば男性優位の発想が潜んでいる。


 一方、被害女性の特徴は、自己評価が極度に低いことだ。「実は悪いのは自分かもしれない」「自分さえ耐えれば済むこと」と限界まで辛抱する女性が少なくないという。繰り返される暴力で自尊心がずたずたになった結果でもあろうが、歯がゆいまでの過小評価だ。男が威張り、女が忍従するこんな男女関係・夫婦関係は、とっくに過去のものとなっていたのではないのか。


 振り返れば、たしかにDVに甘い社会的な土壌が、あるにはあった。3、40年前の話だが、時の首相が新婚時代に妻をよく殴ったというエピソードが外国のメディアで報じられたことがある。ただ、国内では、あまり目くじら立てて非難する空気はなく、当の首相は不名誉を恥じるどころか、話題を呼んだことで悦に入ったそうだ。その少し後にヒットした歌謡曲には、女が男に「悪い時はどうぞぶって」と甘えて懇願するようなせりふもあった。


 最近のDVの増加は、数十年前の男女観・夫婦観が、少なからぬ人々の意識の底にいまだ巣食っていることの証なのかもしれない。


)を防止する法律が7月に改正された。加害者に発する保護命令の中身が広がり、電話やメールで被害者らを脅迫する行為なども新たに禁じられる。ただ2001年の法施行後もDV相談は増え続けており、暴力の根は深そうだ。法律の強化と合わせ、いまだに「耐える女」を美化し、「威張る男」に甘くなりがちな日本人の意識を変えないと、DVは減らないだろう。


女性の4人に1人がDV経験者?

 一般の人々のDVに対する認識は、せいぜい「犬も食わない夫婦げんか」の延長線程度ではないだろうか。深刻な犯罪行為と受け止めたとしても、堅気の人間とは縁の無い話と思う人は多そうだ。


 だが現実には、女性の4人に1人強が、配偶者から身体に対する暴行を受けている。06年度に全国の配偶者暴力相談支援センターが受け付けたDV相談は5万8000件余り。被害者の大半が女性だ。警察によるDVの検挙件数も2000件(05年)近くに上る。


 ある相談受付機関によると加害者の夫は、教育程度も社会的地位も高い場合が少なくないそうだ。いまやDVは特殊な世界の異常な出来事とは片付けられなくなった。


 配偶者から身体への暴力を振るわれた場合、被害者が裁判所に申し立てれば、加害者に対して保護命令が発令される。被害者への接近を6カ月間禁じるものと、自宅から2カ月間退去するよう命じるものの2種類だ。


 今回の法改正では、身体への暴力だけでなく、脅迫を受けた場合も保護命令の申し立てができるようになった。さらに禁止される「接近」行為に、身辺を付け回すだけでなく、電話、メール、ファクスなどで脅迫する行為なども新たに加わる。「接近」相手には被害者の親族や支援者も含まれることになった。


 たとえば電話で執拗に「殺してやる」などと脅す。あるいは逃げた被害者の居所を問い詰めようと親族に危害を加える。こうしたケースにも、ようやく救済の道が開けるようになったわけだ。


 ただ、法律によって暴力被害の拡大を抑えることはできても、配偶者間の暴力それ自体をなくすことは難しい。なぜ加害者は、曲がりなりにも愛情と信頼を寄せてしかるべき相手に暴虐の限りを尽くすのか。DV根絶には、暴力を振るい、振るわれる動機や男女の関係などにもメスを入れる必要がある。


「内弁慶」生む土壌が今も

 DV研究者や、被害者の支援グループなどによれば、一般的に加害男性は家庭の外でも誰彼かまわず暴力を振るう荒くれ男ではないそうだ。自分が思い通りにできる相手、なめてかかれる相手に対してだけ暴君となる、いわばどこにでもいそうな内弁慶が多いらしい。妻を服従させることで己の支配欲を満たそうとするわけで、その裏には、しばしば男性優位の発想が潜んでいる。


 一方、被害女性の特徴は、自己評価が極度に低いことだ。「実は悪いのは自分かもしれない」「自分さえ耐えれば済むこと」と限界まで辛抱する女性が少なくないという。繰り返される暴力で自尊心がずたずたになった結果でもあろうが、歯がゆいまでの過小評価だ。男が威張り、女が忍従するこんな男女関係・夫婦関係は、とっくに過去のものとなっていたのではないのか。


 振り返れば、たしかにDVに甘い社会的な土壌が、あるにはあった。3、40年前の話だが、時の首相が新婚時代に妻をよく殴ったというエピソードが外国のメディアで報じられたことがある。ただ、国内では、あまり目くじら立てて非難する空気はなく、当の首相は不名誉を恥じるどころか、話題を呼んだことで悦に入ったそうだ。その少し後にヒットした歌謡曲には、女が男に「悪い時はどうぞぶって」と甘えて懇願するようなせりふもあった。


 最近のDVの増加は、数十年前の男女観・夫婦観が、少なからぬ人々の意識の底にいまだ巣食っていることの証なのかもしれない。


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石田ふたみ