『日々の映像』

2007年08月27日(月) 中越沖地震の記録 (45)

1、東海地震の緊急参集チーム、原子力保安院院長が参加へ  朝日新聞
2、中越沖地震:入居2週間「仮設だってご近所さん」  毎日新聞
3、柏崎刈羽原発:揺れは想定の2.7倍 耐震策見直しも  毎日新聞
4、自衛隊、柏崎市から27日撤収  新潟日報
5、中越沖地震:柏崎市などで都市ガス復旧
6、政府の地震研究推進本部、「ひずみ集中帯」を重点調査へ
7、東電が原発周辺の海底を調査



1、東海地震の緊急参集チーム、原子力保安院院長が参加へ  朝日新聞
2007年08月25日10時05分
 新潟県中越沖地震で、柏崎刈羽原発で火災や漏水などのトラブルが相次いだことを受け、政府は、想定される東海地震の緊急参集チームに経済産業省の原子力安全・保安院院長を参加させることを決めた。9月1日に行われる国の総合防災訓練にも、初めて参加する。
 緊急参集チームは、国内で震度6弱以上の地震が発生した場合や東海地震の危険が高まった場合に、各省庁の局長以上が集まり、被害の把握や今後の対応を協議する。
 東海地震の防災対策強化地域内には、浜岡原発がある。中越沖地震で原発にトラブルが続いたことから、東海地震が予知されたか、予知できずに発生した場合には、緊急参集チームに保安院院長を参加させ、原発の被害を抑えるために何をするべきか意見を求める。
 保安院院長が必ず参加するのは東海地震に限るが、このほかの大規模地震でも、近くに原発があれば、原発の揺れの大きさなどによって招集するかどうか決めるという。



2、中越沖地震:入居2週間「仮設だってご近所さん」  毎日新聞
入居から2週間を迎えた仮設住宅では夏祭りも開かれ、コミュニティ形成に気を配っている=新潟県刈羽村西谷の仮設住宅で25日午後3時34分、五十嵐和大撮影 新潟県中越沖地震は、仮設住宅入居が始まって26日で2週間。高齢の被災者からは早くも「孤独感が募る」という声が出ており、コミュニティー作りの取り組みが進んでいる。

 13日に入居が始まった柏崎市。仮設住宅は市内38カ所に点在し、規模も5世帯から100世帯までさまざまだが、市は「町内会などに準ずる組織」とみなし、9月上旬までに代表者を選んで文書配布やごみ出し管理などをしてもらう考え。さらに、被災者が孤立しないよう、地震前に所属していた町内会などに入居場所を知らせてつながりを保つよう協力要請した。

 自宅が半壊して同市東港町の仮設住宅で1人暮らしの無職女性(79)は「寂しい気持ちになることが一番怖い。顔も知らない人もいて不安もあるが、多くの人と話して交流したい」と自分を励ますように話した。

 一方、15日に入居が始まった刈羽村では、入居前に住居地を考慮して十数世帯ごとに班を編成して班長16人を選んでおり、「班長を中心に、独居高齢者の見守りなどを担ってほしい」(村総務課)と期待。班長の一人は「近所の人たちと一緒なら一定の安心感はある」と話す。だが、自宅が全壊した同村の男性(78)は「避難所生活には戻りたくはないが、人のつながりは感じられた。ここは表札もなく、大勢で一緒に暮らしている実感がない」と話していた。

 仮設住宅は今月末までに計1182世帯分を建設予定。3年前の中越地震でも仮設住宅でさまざまな対策が講じられたが、少なくとも2件の孤独死が起きている。【五十嵐和大、光田宗義】
毎日新聞 2007年8月26日 6時50分



3、柏崎刈羽原発:揺れは想定の2.7倍 耐震策見直しも  毎日新聞
 新潟県中越沖地震の際に、東京電力柏崎刈羽原発直下の岩盤で記録された揺れ(993ガル=ガルは加速度の単位)は、「事前に予測できない断層による地震への備え」として、全国の原発が共通に想定している揺れの約2.7倍だったことが東電の観測で分かった。専門家からは「中越沖地震の揺れを共通の想定にすべきだ」との指摘が出ている。各原発が大幅な耐震想定の見直しを迫られる可能性が出てきた。
 原発では「解放基盤」という一定の固さの岩盤で想定される揺れを基に耐震設計をする。柏崎刈羽原発では1号機の地下255メートルに、解放基盤の揺れを測る地震計があった。揺れの強さの指標となる地震波の加速度は東西方向993ガル、南北方向753ガルだった。
 国の旧原発耐震指針は「事前に予測できない断層による原発直下地震」への備えを全原発に求めた。電力各社はこの地震の揺れとして、解放基盤で370ガル前後を想定してきた。全国17原発中8原発で、これが耐震設計上の最大想定だった。
 旧指針は、周辺の断層調査でより強い揺れが予測されればそれに耐える設計を求めたが、最大の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)でも想定は600ガル、柏崎刈羽原発は450ガルだった。
 指針は昨秋改定され、「事前に予測できない断層による地震」の想定も引き上げられたが、それでも事実上450ガル程度にとどまっている。
 今月開かれた原子力安全委員会の耐震安全性調査プロジェクトチームでは、中越沖地震を「予測できない断層による地震」と位置づけるべきだとの指摘が出た。指摘に従えば、中越沖地震の993ガルが新たな共通想定となり、各原発は耐震策の見直しを求められる。
 指摘した同チーム委員の山崎晴雄・首都大学東京教授(地震地質学)は「地震の前に調査して分かるのは地下5キロ程度までの断層だ。中越沖地震の断層は余震分布からみて主に地下10キロ以上の深さで、見つけにくい」と説明。「全国の原発で中越沖地震程度の揺れを想定すべきだ」と主張する。
 経済産業省原子力安全・保安院は「東電の観測データの評価や、他原発の耐震補強に反映すべきかは、専門家に議論してもらう」と話している。【高木昭午】
毎日新聞 2007年8月26日 8時30分



4、自衛隊、柏崎市から27日撤収  新潟日報
 中越沖地震で災害派遣されていた自衛隊の支援活動が刈羽村の仮設風呂1カ所を除いて終了し、柏崎市からは27日、撤収する。これまで延べ9万人以上が派遣され、給食、給水、入浴などの支援が実施されたほか、地震発生直後、倒壊家屋から女性1人を救助した。しかし自衛隊と各市町村との連絡手段は電話しかなく、直接駆け付けるまで情報が伝達されにくい現状も垣間見えた。一刻を争う人命救助の現場へいかに早くたどり着けるか、関係機関との連絡体制が問われている。

 「声が聞こえる」。地震発生から4時間が過ぎた7月16日午後2時半ごろ、同市東本町2の倒壊住宅で屋根から家の中に潜り込んだ陸上自衛隊第2普通科連隊(上越市)の隊員が叫んだ。救助活動に当たった隊員20人や消防、県警、見守っていた住民は耳を澄ました。「助けに来たぞ」。隊員のその声に、再び答える人の声がかすかにがれきの下から伝わった。

 救助方法を指示していた和栗保男二曹は驚いた。3階建てだった住宅は崩れ、1時間前に到着したときは「生存者はいないのでは」と思った。「急がないといけない」。和栗二曹は屋根の進入口を広げるように指示。現場にはチェーンソーの音が響き、柱や壁、家財が次々と運び出された。

 30分後、住宅2階のベッドに寝ていた坂井ケンさん(84)を隊員が発見。「頑張って」と手を握り、酸素ボンベを坂井さんの口元に当てた。ベッドの真上に倒れていた太いはりをジャッキで持ち上げ、坂井さんをほぼ無傷のまま救助完了。それは午後3時37分に起きたマグニチュード5・8の余震直前だった。

 「初動が早かった成果」。同連隊の穴久保聡宏連隊長は振り返る。地震発生時、本県など4県の各連隊を統括する陸上自衛隊第12旅団(司令部・群馬県)の行事が新発田市の第30普通科連隊で開催されていたため、長谷部洋一旅団長ら幹部が顔をそろえていた。それぞれが一斉に各連隊へ内線電話で非常招集と情報収集を指示。派遣地域や役割分担も決めた。県からの災害派遣要請もその場で長谷部旅団長から各連隊長に伝達。要請は中越地震では発生から3時間後だったが、今回はわずか36分後の午前10時49分だった。

 その前後、ヘリコプターや無線中継班、地上偵察班などが各地から出動。坂井さんを助けた部隊は12時50分に柏崎市役所に到着後、市から救助要請を受けた。

 「人命救助は少しでも早く対応すべきだが、どこに助けるべき人がいるか、各市町村に行ってみないと分からない」。穴久保連隊長は懸念を打ち明ける。各市町村とは電話がつながらなければ連携できないため、災害時は小隊長クラスの連絡幹部が無線を抱え、市役所や町村役場に出向いて情報や要請の窓口となる。「もっと被害が広域になった場合、情報を早く収集するためにはどうするかが課題だ」と言う。

 自衛隊の支援活動はその後、給食約87万食、給水約3万トンに及び、仮設風呂や輸送艦で行った入浴支援は延べ16万人以上に利用された。

 坂井さんは現在、三条市の長男宅で暮らし、「地震のときはもう終わりだと思った。自衛隊の人の声が聞こえたとき、本当にありがたかった。おかげで元気でいられる」と話している。
新潟日報2007年8月26日



5、中越沖地震:柏崎市などで都市ガス復旧
 新潟県柏崎市などは27日、中越沖地震で供給が途絶えていた都市ガスの復旧作業が終了したと発表した。復旧対象は柏崎市と刈羽村の計3万978戸。居住者不在などの61戸があるが、今後は個別に供給開始していく。
 これを受けて、日本ガス協会と柏崎市ガス水道局で作る対策本部は同日、解散した。
 柏崎市と刈羽村では、地下に埋設された旧式のガス管の接合部に地震で亀裂や破断が生じ、配管に地下水などが流入し、復旧作業の妨げになっていた。【西嶋正法】
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毎日新聞 2007年8月27日 11時18分



6、政府の地震研究推進本部、「ひずみ集中帯」を重点調査へ
 新潟県中越沖地震など、近年大きな地震が頻発している新潟から神戸にかけての「ひずみ集中帯」について、政府の地震調査研究推進本部は、来年度からこの地域の重点調査と研究を行うことを決めた。
 文部科学省は来年度予算の概算要求に13億円を計上、大地震のメカニズム解明を目指す。
 計画では、<1>陸域で5キロ、海域で約20キロの間隔で地震計を設置、観測の精度を高める<2>人工地震や音波を使った地下構造の調査<3>全地球測位システム(GPS)による地殻変動の連続観測――などを実施する。
 ひずみ集中帯は、陸と海のプレートが押し合うことで、新潟〜神戸間の幅約50〜200キロの帯状に、断層や変形した深部の地層などの地殻のひずみが集中している。
 推進本部では、これまでM7以上の地震を起こす恐れのある全国98の主要活断層などを対象に評価を進めてきたが、ひずみ集中帯は大規模調査の網がかかっていない空白域だった。
(2007年8月26日19時47分 読売新聞



7、東電が原発周辺の海底を調査
 東京電力は27日、中越沖地震で被害が相次いだ柏崎刈羽原発の周辺海域に、同原発に影響を与える活断層があるかどうかを調べる海底地質調査を始めた。調査範囲は本震や余震の発生域を中心に、上越市名立区沖から新潟市西区沖までの沿岸約140キロ、沖合約50キロ。10月末まで調査して年内をめどにデータを取りまとめ、耐震安全性評価に反映させる。

 同日午前6時ごろ、東電から委託を受けた民間地質調査会社の船が新潟市中央区の新潟西港を出港した。調査船から海中に音波を出し、地層からの反射波をとらえて分析、海底下の地下構造を調べる。初日の調査範囲は出雲崎町沖から柏崎市米山沖まで。

 東電は同原発の設置許可申請に当たり、1979、80年にも周辺海域を調査した。この際には、同原発北西約20キロ沖で断層を確認したが、活断層ではないと評価した。今回は調査範囲を当時より大幅に拡大、この断層についても分析する。

 また、海底調査と平行して9月からは陸地の地質調査を実施。同原発敷地内をはじめ、半径30キロについて地下に振動を与えるなどの方法で、地下構造を確認する。
新潟日報2007年8月27日

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石田ふたみ