『日々の映像』

2003年12月14日(日) 武富士の盗聴事件 

 消費者金融最大手「武富士」をめぐる盗聴事件の内容が毎日のように報道されている。最終的に何が飛び出してくるか分からない。当初武井保雄会長は容疑を否認していたが「一連の盗聴は全て私が指示してもので、全て私に責任がある。深くお詫びしたい」とのコメントを出した。盗聴された人は少なくとも12人が明らかにされており、今後も増加するかも知れない。
 
 ここで事件の背景の一端を記述したい。 武井保雄容疑者(73)部下に対して「右翼、暴力団、警察の三つをうまく使って収めろ」(12月6日・毎日)とトラブル処理を命じていた。警視庁捜査2課は、「武井会長が盗聴だけでなく、同社と暴力団などとのトラブル処理についても直接、指示していたとみて、実態解明を進める」という。
 
 武井会長は中川容疑者らに「よく覚えておけ。右翼は暴力団に弱い。暴力団は警察に弱い。警察は右翼に弱い。この三つをうまく使って物事を収めるのがお前たちの仕事だ」(同)口ぐせのように言っていたという。
 
 2〜4年前まで消費者金融のことを社会正義に反しているとの視点で何回も書いた。その一端を記述すれば、武富士の2003年3月期の売り上げは(金利収入)4190億円、融資算高は1兆6750億円である。単純に掛け算すると平均金利は25%になりこれが堂々とまかり通っているのは異常なことだと思う。
         1兆6750億円×25%=4190億円
     


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癒しの森115                          2003年12月14日
       死を考えておくことは自由を考えることである
 
 大文豪と言われる人は皆哲学者でもある。12月11日にモンテーニュのことを書いたがその余韻が残っている。この人の言葉に次の語録がある。人生の総てを知り抜いた人の言葉には、胸にぐさり突き刺さるような迫力がある。
 
 「明けてゆく毎日をお前の最後の日と思え。あらかじめ死を考えておくことは自由を考えることである」と。
 
 今日が最後の1日というつもりで生きよ!・・という指南のように思う。あらかじめ死を考えておくことは・・・の言葉で1998年3月7日の日々の映像で、女優の藤村志保さんを書いたことを思い出した。ここでこの日書いた短文エッセイをそのまま転載したい。
 
 ・・・ヘルシートークの3月号に藤村志保さんのインタビューが出ていた。このインタビューをした記者は「着物姿の背中から首にかけての凛とした、それでいて柔らかく優雅な美しさは息を呑むばかり。伝統の舞踊で作り上げた背筋には、藤村さんの生き方の姿勢が映し出されているようでした」と称えていた。
 藤村さんは、39年生まれというから、今度誕生日が来ると59歳(補足・1998年時点)になられるのに「美しさは息を呑むばかり」との印象を与えるのだから素晴らしい。
 藤村さんは、日本舞踊に続いて18年前より「舞い」を習っている。藤村さんの「古典芸の素晴らしさとでもいいましょうか、奥が深いのです。私などはまだ18年ひよっ子です」との言葉でこの人の深さを感じた。
 すでに、地唄舞のリサイタルを開くようになった今日でも、自分のことを「ひょっ子」と表現するあたりに芸を究めようとする熱い情熱が伝わって来るようであった。そして次の言葉が強く印象に残る。「私は死を考えることによって、生きている間に成すべきことをしてしまおう、という思いが強くなり、自分の人生に前向きになれたと感じています」と。・・・・
  
  ・人生の 終点見つめて ひたむきに 一芸極める 道なお深し
     


        
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石田ふたみ