| 2003年12月11日(木) |
イラク派遣決定の矛盾とリスク |
国民が国会議員を選出する。国会議員が小泉首相を選出した。その首相・内閣が決断した自衛隊のイラク派遣そのものに賛否の議論をしても始まらない。ここでは、派遣に伴なう矛盾とリスクを3点記述したい。
1、首相は記者会見で「人道・復興支援のための活動であり、武力行使はしない」と言っているがゲリラやテロ勢力に狙われる可能性は十分にある。その場合は戦闘になる。襲撃された自衛隊が反撃に出れば、自衛の範囲を超え、日本の憲法が禁じる外国での武力行使に発展する。それを承知のうえで今回の計画が決められている。それゆえ戦後史に残る憲法上の矛盾と新たなリスクの展開なのだ。
2、首相は「イラク復興支援で日本がどう取り組むか、・・・米国は日本の唯一の同盟国であり、日本も米国にとって信頼に足る同盟国でなければならない」と国民に説明している。「日本も米国にとって信頼に・・」といっているが、先進国の中でイラクに軍隊を派遣しているのは英国のみである。中東と歴史的にも関係の深いフランス・ドイツ・ロシアは復興支援に軍を送っていない。
3、首相は「テロに屈しない」と言っているが、テロを殲滅させるために10万人を越える米英軍が配置されている。すなわち、テロとの戦いが戦争なのである。首相は「日本は戦争に行くのではない」と否定しているが、自衛隊員に多くの死傷者が出た場合、どう政治的責任をとるのだろう。小泉首相にとってもリスクの大きな決断である ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 癒しの森113 2003年12月11日 楽譜31ページ2億1900万円で落札
12月7日モンテーニュの本の競売に関連して、文化を大切にするヨーロッパ、特にフランスのことを書いた。こんどはベートーベンの弦楽四重奏曲の手書きの楽譜が5日、ロンドンで競売にかけられた。電話入札した匿名の個人収集家が約118万ポンド(約2億1900万円)で落札したというから驚きだ。 楽譜は作品127番で、計31ページ。至る所に修正や追加が書き入れられている。これまで所蔵していたストックホルムの美術館が、運営資金調達のため競売に出したという。(12月6日・共同通信)31ページの楽譜に2億円以上に価値を認める・・・さすがはヨーロッパの文化である。 12月になると日本各地で1824年に完成した第九交響曲(シラー<歓喜に寄す>による終末合唱を持つ交響曲)が演奏される。驚嘆すべきことは、この第九を完成したころは、耳が完全に聞こえなくなっていたのだ。ロマン・ロラン著の「ベートーベンの生涯」を読んだ感動的な記憶が残っている。機会を見てここで少々書きたいと思っている・
・極限の 苦悩の闇を 突き破る 歓喜の曲の 歌声世界に
ヨーロッパの1800年代は偉大な音楽家・大文豪を輩出している。3人に限定して名前を挙げると次の3人になると思う。 ・ ベートーベン 1770〜1827 (ドイツ) ・ゲーテ 1749〜1832 (ドイツ) ・ユゴー 1802〜1885 (フランス) ・トルストイ 1828〜1910 (ロシア)
3人の大文豪の内で最高峰に位置しているのは、トルストイであると思っている。この癒しの森は、ナンバー25に書いたように700回を目標にしている。最終回に近づいたらこの3人の大文豪の文化の一端を書きたいと思っている。
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