私の手元に田中守氏のペンによる「チェチェン戦争が育んだプーチンの権力」(00年1月21日付け)という長文のリポートがある。ここで、その内容を引用するだけの紙幅がない。ただ、結論だけといえば、ロシア国内のチェチェン地方(チェチェン人との間)で内戦が続いているのだ。 このチェチェン人(独立派武装勢力)によるモスクワの劇場占拠事件は世界に大きな衝撃を与えた。ロシア軍は実に10万人近くの軍隊で大規模な掃討作戦を開始していた。しかし、昨年の暮れにまた衝撃的な事件が起こった。チェチェン共和国の行政府の庁舎が爆破され、中にいた2000人余りの政府職員の大半が死傷してしまった。「ロシア非常事態省は28日、死者55人、負傷者123人に達した。爆発でほぼ全壊した共和国成長ビルの瓦礫の中には、生き埋めの人々がまだ残されており、死傷者は更に増える可能性がある」(12月28日 毎日)ロシア政府の権力の出先が機能不全に陥ってしまった。ただ、その後は、強力な報道規制か、この事件の続報が全くないのが不気味だ。チェチェン人のロシアに対する非服従の戦いは200年に及んでいる。よって、これからも、チェチェン独立派武装勢力の大規模なテロがどこで起こるか分からない。テロ攻撃に最も神経を使っているのはロシアといえる。
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