以前、配当課税のバカバカしさを記述した。個人が配当を受けると所得税の20%の源泉徴収をされた後「更に確定申告をしなさい」という制度になっている。この申告がいやなら別に35%の分離課税を払いなさい・・・というものだ。批判の焦点は、こんな配当課税で、個人の資金が株式市場に向かう訳がないとするものであった。
こと税金に関しては多くの疑問がある。たとえば、税のシステムでは、かなりこの道で精通した人でないと分からない。ひがんで言えば、国税の専門家しか分からないように組み立ててある。たとえば、配当の課税でも10万円以下、50万円以上では確定申告の仕方が異なる。法人が配当を受け取ると、出資の比率によって、課税が異なってくるという具合だ。今株式市場の低迷が、銀行・生保を破綻に追い込もうとしている。大衆の資金を株式市場に引き付けるには、もっと単純で分かりやすい税制が必要だ。 10数年前まで個人の株式売買益に対する課税はなかった。株価の低迷で、個人株主がどれだけの損失を受けたか分からない。膨大な損失を受けた時は、何もせずに今度利益が出たら20%の税金を取りますというのが、1月1日よりスタートした新証券税制だ。スタートしてまだ1ヵ月も経っていないのに自民税制調査会は、この20%を5ヵ年に限って10%軽減しようとの動きだ。これでは小手先ばかりの議論で「日本の税制に思想がない」(キャノン御手洗社長)との批判が良く理解出来る。 企業に利益が上がると税金を取り、残りを配当するとまた20%プラスアルファーの税金を取る体制になっている。企業は株主のものだとの考え方に立てば二重課税なのである。 ブッシュ大統領が 10年間で6700億ドル(80兆4000億円)の二重課税撤廃を中心とする新経済対策を打ち出した。「二重課税は米経済にとって悪であり、誤りだ」と株式配当の二重課税の撤廃するとの演説を行なった。この法案が通ると「10年間に640億ドル(約43兆7000億円)の税収が減る」という。しかし、株主は、1年で4兆3000億円もの配当課税がゼロになる。この妙味によって、更に、世界の資金が米国の株式市場に集まることが予想される。日本政府は、このブッシュ演説に何のコメントもしていないが、かなりのショックだと思う。米国が一定の税制に対する思想を持って、どんどん前に進んでいき、日本ははたして税制の面で米国に追い着くことが出来るだろうか。
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