『日々の映像』

2002年10月22日(火) 物と心の豊かさ         

 激しいデフレが続いている。何に人生の価値を置くのか。社会全体にとっても、個人にとっても重要な課題だと思う。

 GDPの指標を重要視することは、すなわち経済の成長こそ人々を豊かにするとの思想に基づいている。定常型社会(ゼロ成長社会)という言葉が提唱されているように社会全体としては環境などに大きな価値観を置く時代にならざるを得ないと思う。

 10月14日の毎日の社説は内閣府の世論調査結果を引用して「70年代には『物の豊かさ』に重点を置く人と『心の豊かさ』に重きを置く人がほぼ同率だったが、最近では、心重視は物重視の2倍近くになっている」と豊かさの再定義が必要との論を展開していた。

 一番難しいテーマは心の豊かさとは何かである。この日々の映像を書き始めた1997年にこのテーマを何回となく書いた。私の認識は一流の良書を読まなければ心の豊かさは育まれないと思っている。一流の良書とは100年以上読みつづけられているか、または、世界の10カ国以上の言語に翻訳されている書籍だ。一流の書籍が家に1冊もないとすれば、古代ローマの格言「書物なき部屋は、魂なき肉体の如し」となる。

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石田ふたみ