『日々の映像』

2002年10月13日(日) ノーベル平和賞

 アメリカの上下両院で、イラク武力行使容認決議が約75%の賛成で可決している。ブッシュ大統領は、いつでもイラク攻撃の断を下すことが出来る。このイラク攻撃にどれだけのリスクが潜んでいるのだろう。

 イラク攻撃に対する独・仏の反発は生半可のものではない。イギリスのブレア首相だけは、アメリカの単独攻撃に異を唱えていないようであるが、世論となると、簡単に是認するものではない。

 アメリカはたしかに巨大な国家である。しかし、その中味は、国内消費物資の30%以上を輸入して膨大な貿易赤字を出している。これを補ってあまりあるのが、日本、EUなどからの資金の流入である。

 アメリカ企業は、業績が下降して株価も下落している。ここにイラク攻撃があれば、世界の経済を揺さぶる可能性は十分にあると思う。ブッシュ大統領は、はたして単独の武力行使の決断をするのだろうか。

 ノルウェーのノーベル賞委員会は、ノーベル平和賞をカーター元大統領に授与すると発表した。同氏は、創立20周年を迎えるカーター・センター(NGO)の会長として「いくつかの大陸の広域的かつ粘り強い紛争解決に取り組んだ。氏は人権に対し、際立った取り組みを示し、世界中の数え切れないほど多くの選挙で選挙監視員を務めた・・・」(10月11日毎日から)などが受賞の理由になっている。

 カーター前大統領は次のように述べている。「ノーベル賞委員会が私を選んだ事をとても感謝している。・・・これまで最も偉大な国の元大統領としての影響力を利用して活動してきた」と語っている。すなわち、カーター元大統領がアメリカ社会の世論に与える影響がまだまだ大きいのである。

 カーター氏は、前記した武力行使には反対を言明している。国連の重要性を強調して「米国の単独行動ではなく、すべては国連を通じて行なわれなければならない」」(10月12日 毎日から)との姿勢だ。

 よって、武力行使を単独でも行なおうとしているブッシュ大統領にとって、カーター氏のノーベル平和賞の受賞は、頭痛の種になるようだ。すでに「カーター氏のノーベル平和賞受賞で、ブッシュ大統領が受ける心理的圧力は更に強まる」などの報道がある。最後は、アメリカの世論がどのように形成されていくかで決まると思う。

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石田ふたみ