| 2002年09月20日(金) |
拉致・疑いのある行方不明者70人 |
国際的に認められない北朝鮮の犯罪の決着は容易なことではない。全面解決は、北朝鮮の体制が崩壊されない限り不可能であると思う。
日本は敗戦して軍の上層部は東京裁判によって裁かれた。アジアに進出していた日本軍の指揮官で、捕虜の扱いなどで国際法に照らして違法な行為をしたとして、900人余りが絞首刑になっている。大きな視点で捉えれば、違法行為に対する1つの決着である。
北朝鮮による拉致は、いったい何人になるのだろう。新たに佐渡で24年前に行方不明になった曽我ひとみ(当時19歳)さんの拉致と生存の可能性が出てきた。これらのことから政府も14人以外にも拉致被害者がいると判断して、北朝鮮に対して調査を求めていく方針を固めている。
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)が収集した事例や情報からすると「拉致被害者は70人と推定」(9月21日 毎日)との見解だ。北朝鮮の特殊機関の犯行と認めた以上は、その家族に対する補償を北朝鮮は応じる必要が出てくるのだ。はたして、北朝鮮当局はどう答えるのだろう。
いくら北朝鮮当局が隠そうとしても、これだけの亡命者が出ているのである。ウソは次から次へと崩壊していく。今年4月まで金総書記は「拉致はない」と明言していたのだ。今回の一連の問題に対して、北朝鮮からの亡命者の証言は生々しい。
北朝鮮から韓国に亡命し、朝鮮日報に勤める記者(カンチョルファン)は「任務が終了したと言う意味では、間違いなく殺されていると思う」(9月17日 毎日)と証言している。
同じく亡命した男性は「通常、工作員の教育係になった日本人は、工作員の顔を知っているので殺される。秘密保持上、5人を拉致すれば3人は殺される」(同)と証言している。それでも拉致されて教育ががりになった人は、数年生きていたので多少の痕跡を残している。
報道されているように、拉致の目的は、特殊機関の日本語教育と工作員が日本に潜入する際に詐称する身分を獲得するためだ。この身分詐称のために拉致された人は、短時間で殺害されたのだろう。
「工作員が日本人になりすまして活動する場合、発覚しないようにするため、対象となる日本人には身寄りのない人を選ぶことが多い」(9月21日 毎日)と言うから捜索願も出されないケースも考えられ、この拉致の人数は70人より多いのかも知れない。
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