『日々の映像』

2002年06月24日(月) カドミウム汚染農地

 3年程前にカドミウム汚染米と腎臓(尿を排泄する内臓)の関係を記述した。その後上流(水源)に鉱山のない農地の米を買うようにしてきた。日本の農地は、汚染の強弱があるもののかなり広範囲でカドミウムに汚染されている。

 カドミウムが米を通して人体に入り込んで、神通川に代表されるイタイイタイ病が引き起こされたと分かったのは、この公害病が発生してから50年も経った1960年なのだ。これ以前は、病気の原因が分からず、イタイイタイと苦しみながら死んでいく。
 
 細菌説・栄養不良説・リュウマチ説が登場して鉱毒説(カドミウム)は否定されてきた。亜鉛メッキと言う言葉があるように、亜鉛は現在でも大量に使用されている。

 問題は亜鉛とカドミウムは、同一鉱石の中に含まれていることだ。重量比では亜鉛の20%がカドミウムである。戦前は、経済的価値のなかったカドミウムが精錬過程の残り滓として大量に放棄堆積された。これが流れ出て広範囲の農地が汚染されたのである。

 カドミウム中毒のパターンはこうだ。腎臓障害(カルシウムの吸収を妨げる)・・骨の軟化・・・骨折となる。しかし、症状が軽い場合は、リュウマチと似ていたりして、この判定が難しい。我々は日本の米を食べて来た以上、骨の中に一定のカドミウムが蓄積している。

 食品の中に含まれるカドミウムの割合は世界的なテーマだ。日本は、米の中のカドミウム0.6ppmを上回る場合には、食用にはしないことになっている。

 「欧州連合が0.2ppmと厳しい基準を採用した。国連食糧機関なども許容基準をEUと同じにする方向で調整中」(6月14日 日経)であるという。日本で0.2ppmの基準になると、現在の8000ヘクタールの10倍(8万ヘクタールが土壌改良の対象になる)(同)という。

 日本の実質の稲作面積は、約230万ヘクタールだ。よって、約3.5%の農地からカドミウム0.2〜0.4ppm含まれている米が出荷されていることになる。

 農地からカドミウムを除去する研究が進んでいるようだ。(日経から細部省略)上記の方法で5年が経過すると基準値以下の米が生産できると言う。ただし、1ヘクタール当たり費用が2500万円もかかる。この費用を誰が負担するのだ。

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石田ふたみ