『日々の映像』

1996年01月07日(日)  日本国破産 長期債務残高

2005-08-10 【資料7】国及び地方の長期債務残高

日本国政府が発行した国債の発行残高は2005年度末で602兆円になります。ただ、公債は国債だけではありません。地方公共団体が発行する地方債もあります。この地方債を含めると長期債務残高は774兆円。
 さらに、下段にさりげなく「(注)2.このほか17年度末の財政融資資金特別会計国債残高は144兆円程度。」と書いてありますが、これがクセモノです。財政融資資金特別会計国債(財投債)とは政府が公共事業のために使うお金を調達する目的で発行される債券で、これ含めると、単年度の国債発行総額は、実は178兆円、政府部門だけで長期債務残高746兆円、国と地方を合わせると長期債務残高918兆円を超えることになります。

 ここで、またまたAさんの登場です。実はAさんの家族で借金をしていたのはAさんだけではありませんでした。Aさんの弟のBさんも2050万円もの借金をしていました。さらに、Aさんの奥さんのC子さんまで1440万円も借金していたことが発覚。しかも両人ともAさんを保証人にしています。これでAさん一家は、実に9180万円もの借金を抱えていることになりました。
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2005-08-11 【資料8】国及び地方の財政収支
 
ここでは、まず基礎的財政収支(プライマリー・バランス)について説明しておきましょう。基礎的財政収支とは、国や地方自治体などの「収入と支出の釣り合い」状態を見るもので、財政状態を示す指標とされています。通常、過去の借金の元利払いを除いた支出額と、国債などの発行によって得る分を除いた収入額の、差額のことをさします。基礎的財政収支がプラスということは、単年度の税収などによってその年の収支がまかなえていることを指します。逆にマイナスの場合には、国債等の新規発行をしなければその年の支出をまかなえないことを指します。
 グラフを見ると日本はずっとマイナス、先進国中最下位です。政府は「2010年代初頭にプライマリー・バランスの黒字化を目指す」をいう方針を出していますが、累積債務の額が大き過ぎるので、多少、黒字に転換しても焼け石に水です。しかも、これは一般会計だけの話であり、裏予算とも言える「特別会計」があります。特別会計は一般会計に比べ4.7倍もの規模を持つ「本当の国家予算」なので、実は、一般会計のプライマリー・バランスだけをみても財政が健全かどうかの判断はできません。
【参考】一般会計と特別会計の歳出額
http://www.stat.go.jp/data/nihon/g0501.htm
 特別会計の問題については、後日、詳しくみていきたいと思います。
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2005-08-12 【資料9】国及び地方の債務残高
 
長期債務残高:GDP比は170.0%と、ここでもダントツ先進国中最悪の1位です。2位のイタリアが119.5%、3位のフランスが76.2%、4位のドイツが68.6%、5位のカナダが67.2%。あれだけ「双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)」と危機が騒がれている米国は6位で64.9%。日本が経済規模に比べていかに巨額な赤字を抱えているかがわかると思います。
 これまでみたように、日本は税収44兆円でありながら歳出は82.2兆円もあり、長期債務残高は918兆円もあります。家庭に置き換えてみますと、年収440万円、年間支出822万円、借金総額9180万円。どう考えてみてもこんな状況をいつまでも続けられるはずがありません。前出の「経済学の定義」に照らし合わせてみれば、日本は既に財政破綻していると言っても過言ではありません。
 ただ、これすら実は表向きの話。側面や裏側からみると、実状はもっと惨憺たる状況です。次回から一般には知られていない、いろいろな角度から多角的に検証してみましょう。
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2005-08-13  バランスシートでも既に破産状態

どんなに借金を重ねても、返済できる資産さえあれば正常債権ということができます。財務省は、これまで3回、日本国のバランスシート(連結貸借対照表)を公表してきました。バランスシートをみれば資産と借金のバランスを知ることができます。それによると2001年3月末で198兆円の債務超過、2002年3月末で213兆円の債務超過、2003年3月末で253兆円の債務超過と、3年連続で債務超過、しかも徐々に負債金額が増えています。
【表】日本国のバランスシート日本国(2003年3月末)
【資産の部】
単位:兆円
現金・預金 49
有価証券
105
貸付金 291
建物・工作物 156
土地 79
その他 134
資産合計
814

【負債の部】 単位:兆円
国債
322
郵便貯金
233
年金預り金
173
保険準備金
125
その他 214
負債合計 1067

債務超過額
▲253
     (財務省試算)

 日本国の資産総額から、借金である負債を差し引いた残りは▲253兆円です。つまり、現時点で資産をすべて売却して清算したら、253兆円の借金だけしか残らない状態です。 しかも、財務省の試算した方法では、公的年金を支払わなくても良い前提で計算されています。実勢に合わせて年金債務を843兆円(財務省試算)とすると1096兆円の債務超過に陥っているのです。
 企業では3年連続債務超過となると倒産、つまり破産します。ですから企業会計に照らし合わせてみても、日本は既に破産していると言ってよいでしょう。しかし、国家ではこのように債務超過となっても資金繰りができている限り破産しません。では次回は、その資金を誰が出しているのかをみてみましょう。

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2005-08-14  国債を買い支える金融機関

日銀の資金循環統計によれば、日本銀行や財政融資資金を含む金融     機関が9割近くを保有しており、個人や企業の保有比率は、わずかしかありません。金融機関の中では、財政融資資金や日本銀行など公的機関が半分以上保有していることが分かります。外国人投資家の保有比率は、わずかに3.6%しかありません。これを根拠に「日本は外国から借金をしていないから大丈夫だ」などという人がいます。確かに日本国債は96.4%が日本国内で消化されています。それは単に、日本国債はリスクが高いわりに金利が低いので、外国人投資家にとって購入する魅力がないからにすぎません。ローリスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターンは賭け事の基本であり、マネーゲームと称される投機の世界では、いかにローリスク・ハイリターンを実現するかに血道をあげて取り組んでいます。シビアな外国人投資家が好き好んでハイリスク・ローリターンの日本国債を購入するとは思えません。

 日本国民が金融機関に預けたお金は、そのほとんどが国債を買うために使われています。郵便局からメガバンク、地方銀行にいたるまで、ほとんどの金融機関が国債漬けとなっているのです。銀行保有分は2004年度で約90兆円。つまり、日本国民は、個人的には国債を買っていなくても、間接的には、ほぼみんな国債の保有者です。また、預金・貯金だけでなく年金のために積み立てていた資金や保険のために積み立てていた資金も国債の購入に使われています。もし国債が暴落して紙切れになれば、それは私たちの金融資産もすべて吹き飛ぶことになるのです。
 日銀の資金循環統計によれば、2003年3月末時点における個人金融資産は約1369兆円になります。

2005年3月末現在の長期債務残高は、公表されているだけでも918兆円。これに表に出ていない隠れ借金、政府が保証人となっている行政の下請け機関、特殊法人・公益法人等の借金約400兆円を加えると、個人金融資産の約1400兆円をもう直ぐ超えてしまいそうです。財務省試算によると2007年度のプライマリー・バランスは22兆5千億円の赤字。今年度よりも更に悪化していきます。返済に充てる財源(個人金融資産)がなくなった時、デフォルト*1する可能性は高いといわざるをえません。
 また、現在は金利上昇のトレンドにあり、この先、長期金利が上昇すれば、国債の新規消化と既発国債の利払いが困難になります。国債の新規消化ができなければ国家予算が組めなくなり、既発国債の利払い滞れば、日本経済と円に対する信用不安から、大幅なインフレと円安になる可能性が高いといわれます。日本円と日本国債の価格は、実質的な資産ではなく、日本国の評価であり、日本株式会社の株価のようなものです。会社が破産すれば、その会社の株券は紙屑になるのと同じように、国家の財政が破産すれば、円と国債の信用価値がなくなって、円と債券が紙くずになるのです。個人や会社ならば破産すれば債務は免責となりますが、国家には世界に共通の破産法がないため「免責」はありません。つまり債務は帳消しにならないから、歳出削減と大増税で再建するか、ハイパーインフレによって円と国債を紙屑化するしかないといわれています。そして、その日はすぐ近くに近づいています。

★ワンポイントレッスン★ 第一の波は2008年に来る
 1998年、自らを「世界の借金王」と自嘲した小渕首相率いる内閣は、景気対策として34兆円もの国債を発行しました。2008年、この国債のツケを一気に払う必要が出てきます。10年ものの国債を償還するために、約40兆円の借換債を発行しなければならないのです。ちなみに2008年には総計で135兆円の国債発行が必要となり、以降、この山が数年間続き、2017年度には167兆円に迫ります。2008年危機説の根拠はここにあります。40兆円といえば、その年の税収に匹敵する金額です。つまり、この年から借金の先送りだけで税収を使い切ってしまうことになるのです。

■コラム 個人金融資産1400兆円って誰が持っている?
 
 新聞紙上などで「日本人の個人金融資産は1400兆円」と報道されていますが、自分や周りの人々の生活をみてもそれほどあるように思えません。いったい誰がそんなにお金を持っているのでしょう?
 日本銀行の「資金循環勘定」によれば日本人全体の個人金融資産は1421兆円(2001年末時点)となっています。その1421兆円の内訳は次のようになっています。
種類別保有高
現預金 771兆円
株式以外の証券 84兆円
株式 61兆円

保険・年金準備金
408兆円
その他 97兆円

 次に1世帯あたり貯蓄保有高の年代別平均の分布をみると下記のようになります。
年代別平均貯蓄保有高
20歳代 278万円
30歳代 692万円
40歳代 1091万円

50歳代 1557万円
60歳代 1860万円


70歳代 1787万円

 この平均値が1439万円なのですが、60歳以上の高齢者など少数の高額保有世帯によって平均値が引き上げられています。全世帯の約6割が平均値を下回っているわけですから、多くの人にとって実感とかけ離れた印象を受けるのも無理はありません。
 また、個人金融資産が1421兆円である一方、負債も383兆円あります。負債を引いた金融資産は1038兆円(▲26%)となります。さらに、個人金融資産1400兆円には個人事業主の「事業用資金」が半分近くも含まれています。つまり、この統計数字は純粋な個人資産のみではないようです。そこで、純粋な個人資産として見ることができるサラリーマン世帯(勤労者世帯)に限定し、かつ、退職金・被相続による収入等が加えられている可能性のある年齢者を除いた「25歳〜49歳の世帯平均」をみてみましょう。
25〜29歳:資産 473万円−負債 229万円=純金融資産 244万円
30〜34歳:資産 648万円−負債 556万円=純金融資産 92万円
35〜39歳:資産 853万円−負債 621万円=純金融資産 232万円
40〜44歳:資産 1120万円−負債 934万円=純金融資産 186万円
45〜49歳:資産 1367万円−負債 852万円=純金融資産 515万円
世界的にみれば日本人は裕福であることに間違いありませんが、教育費や住宅ローンに追われる30〜44歳の中間世代の暮らしは、決して楽とはいえないようです。
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石田ふたみ