やんの読書日記
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2005年02月19日(土) シナン 上下


夢枕 獏作
中央公論新社

オスマントルコの繁栄した時代
スレイマーン1世が自己の権力の象徴に
建てさせたセリミエジャーミー
建築したのがシナン
彼が建築家として活動を始めるのは
50才を過ぎてからで
若い時代には当時の先進国ベネチアなどを旅して
建築様式を学んだり、スルタンの目として
暗躍したのかもしれない。

この物語の佳境は、スルタンの側近で第二権力者の
イブラヒムの死だと思う。
絶対権力者でありながら人を見る目を持っていた
スレイマーンが元奴隷のイブラヒムを採用し
オスマンの国作りをして繁栄させていくのだけれど
権力争いに負け、スレイマーンの后のわなにはまって
暗殺されてしまう。自らはイスラムに改宗していなかったらしく
死際にアーメンと唱えるイブラヒムの悟りを知って
胸がかきむしられる思いがした。

シナンが思い描いていた建築が数学に基づいていたこと
神も数学によって成り立つと言う
科学者の能力が発揮されるのには時間がかかったが
それは素晴らしい遺産だと思う。





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