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忘却の彼方まで 2006年03月06日(月)

闇夜に血塗られた歴史は
音もなく去っていく
音もなく消えていく

忘れることさえできない人間は
ただ文字に指を滑らせて
指先を黒くするのみだ

記憶の果てには
忘却がある
忘却には記憶が必要だと
何人の人間が言っただろう

汚れた指先を見つめてみても
ちっとも記憶にはならない

その血に その痛みに
涙してみても
それもただの涙にしかならない

血を知れと 言うわけでもない
痛みを知れと 言うわけでもない
血を知らないようにと 願う
痛みを知らないようにと 願う

また歴史は一人歩きをしていく
人間はどこまで追いかけられるだろうか

忘却の果てに 行くことができるだろうか

指先を ふっ と吹き付けて
すべての記憶をなくしてみた





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熊野
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