空中楼閣

2004年06月07日(月) 一夜明けて

 
「大丈夫、絶対に変わったり出来ないから。」
そう言って必死に微笑む君を愛しく思う。
 
大丈夫なんだよ、変わっても。
だから、君を否定する。
「君は変わったよ。
 そして日々、変わり続けているよ。
 変わってしまったんじゃない。
 君は、変わる事が出来ているだけなんだ。」
雁字搦めのまま微笑み続ける可哀想な君。
そんな心より愛しい君を、僕は否定する。
 
「大丈夫、ちゃんと忘れて、変わっているから。」
そう言って必死に首を振る君を愛しく思う。
 
大丈夫なんだよ、忘れられなくても。
だから、君を否定する。
「君は変わらないよ。
 あの時のまま、綺麗なままだよ。
 変われないでいるんじゃない。
 君は、変わらずに居続けられるだけなんだ。」
歯痒いまでに過去に囚われた可哀想な君。
そんな心より愛しい君を、僕は否定する。
 
変わる事も、変わらない事も。
忘れる事も、忘れない事も。
どちらも決して悪い事じゃない。
変わってしまった自分も、変われない自分も。
忘れてしまった自分も、忘れられない自分も。
どちらも否定しなくて良いのだ。
全ては、そうである必要なんて無いのだから。
 
僕は、そう思う。
そう思い、断定する。
自分自身に言い聞かせる為に。
 


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亨 [MAIL]

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