空中楼閣

2004年05月12日(水) 某日、自宅にて。No.3

 
「先生、これをやれと?」
 
「そうです。
 自由に作って良いですよ。」
 
「箱庭を私にやれと。」
 
「はい。」
 
「こんな物じゃワタシは計れませんよ。
 先生が一番良く御存知なんじゃないですか。」
 
「でも、アナタにやって頂きたいんです。」
 
「ワタシは、期待以上ですよ。
 こんな子供騙しの物じゃ無理ですよ。
 あらゆる症例を詰め込みますよ。」
 
「そうだと思います。」
 
「ワタシには、コレしかないですから。」
 
「知ってます。」
 
「与えられた自由な時間を全てコレに費やしましたから。」
 
「知ってます。」
 
「ワタシには、コレが全て。
 その代わり、全てを手に入れましたから。
 多分、貴方を欺いてしまう。
 あらゆる方法で、欺く事が出来るんです。」
 
「知ってます。」
 
「・・・・・・。」
 
「さぁ、どうぞ。」
 
「でもワタシは、私をも欺くから。
 多分、答えは出ないです。
 ワタシが絶対に阻止しますから。」
 
「構わないですよ。」
 
 
最後には溜め息。
そして、何か、ゴソゴソと動かすような音。
 
カチャリ。
 


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亨 [MAIL]

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