少し前に通った道路を今日も通る。あの日、猫が轢き殺された場所には何も無かった。 既に猫かどうかさえ判別付かない程の死体。 友人が目を背けた死体に釘付けな私の瞳。 でも、思い出そうとすると記憶はどこか朧気で。数日前の事なのに。もう懐かしい思い出に成りかけていて。 引き換えに、ひどく鮮明な記憶。一昔も前の事なのに。思い出に成り得ず、昨日の事のように染み付いて離れない。 それは悪い事でないと思うけれど。多分、とても不健康で不健全な事なのだと思う。