2005年03月07日(月) |
第432話 引き寄せるもの |
以前この日記で書いたことがあるんですが、「遠吠えしながら放浪する犬」を自分の家で引き取ってお世話をしているFさんの話なんです。
私よりは少し年上なその方は、今、その遠吠えする犬(遠吠えしてた犬)のほかに、もう1頭世話をしています。
歩くことも不自由そうな柴犬の血が入った老犬。 朝の散歩でよく一緒になります。 よろめきはしないけど足元がしっかりせず、目もあまり見えない様子。
ある日、その犬に初めて逢った私にFさんが説明してくれました。 「また迷い犬が増えちゃったんですよ。」と苦笑まじりに。
去年の8月の16日。 お盆の送り火を玄関前でしていたら、まさに西の方から今にも倒れそうな犬が歩いてきたそうで。
当時Fさんの家には遠吠えする犬のほかに、理由があって預けられたらしい大型の犬がいました。いえ、今もいるんですが。 そのほかに、本来F家の犬である小型犬が2匹いて、Fさんは合計4匹の世話をしてたわけですよ。
(ああ、もうやだ。もう無理) そう思って家の中に一度は入ったFさんに、弟さんが 「姉ちゃん、あの犬、うちの玄関の前で倒れたよ・・」と報告したそうな。
「まさかねえ、自分の家の前で死なれてもこまるでしょう?」
仕方なく家の中に入れて、餌を食べさせたら、ガツガツたべてその日から少しずつ回復したそうです。
元の飼い主を保健所や警察に問い合わせたり、電柱に張り紙したりしても結果は出ず。 今、その子はFさんちの5匹目の犬になっています。
遠吠えする犬もこぎれいに毛並みの管理をされて、朝夕散歩に連れて行ってもらっています。
Fさんの家には、行き場を失った犬を引き寄せる何かがあるんだろうか。 パートの合間に犬たちの世話をしてるFさんを見ていると、普段宗教心のない私の頭の中にも「功徳」とか「慈悲」と言う言葉がふと浮かんできますよ。
新聞やTVには動物を虐待する話や可哀想な生き物の話が多く取り上げられるけど、こんなふうに犬に情と時間とお金と手間をかけてやってる人もいるんですよね。
私に同じこと、出来るかなあ。。 ノアに対するような気持ちで可愛がれるだろうか。 自信ない。
「大変なときは言ってください。私も手伝いますから。」 そうFさんに言ってはみたけれど
「あぁ、いいんですよ、仕事しながら子育てしてるんだもの、無理ですよ。」と、笑顔でおっしゃる。 せめて毎月のフードのごくごく一部を協力させてもらうぐらいしか出来ない。
小さい自分が情けなし。
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