2004年08月14日(土) |
第347話 太郎君の災難 |
昨日の夕暮れ、田んぼに散歩に行きました。 気持ちよい風が吹いていたのでいつもは行かない所まで足を伸ばしてみました。
さて帰るかと住宅街に向かって戻ろうとしたとき、今まさに田んぼに入ってリードを放された犬がいました。 そばにいたのは上品な奥様。 自由になったのは立ち耳の中型犬。
つばひろの帽子をかぶって上品なワンピースを着た奥様は、夕闇にまぎれる黒犬に気づいてないご様子。 こちらが立ち止まって相手の様子をうかがっていると、奥様、ノアに気づいたらしい。
「太郎、こっちいらっしゃい。」 声をかけるも太郎君、一瞬振り向いたけど無視。 今自由になったばかりだからねえ。 そりゃ戻りたくないよねえ。
太郎君はあちこちの匂いを嗅ぎながらこちらに近づいてくる。
奥様、少し慌てて 「太郎?ターロタロタロ!」 しかし太郎君、今回は完璧に無視。 まるで聞こえない素振り。
・・・太郎君はノアに気づいているけど攻撃する様子もないのでまあ、安心してたんだけど、奥様は見慣れない黒犬にかなり用心されてた様子。
「太郎!太郎!!」
声が険しくなってくる。
でも太郎君、奥様との距離を微妙に確保しながらゆっくり匂い嗅ぎ。
奥様、お気持ち、よーくわかります。 呼び戻しを無視されると情けないですよね・・・。 走って犬を追いかける気力も体力も無いのもわかりますし。
まあ、うちの黒いヤツは噛みませんが、見た目怖いですからねー。
そんなことを考えてる間にも、太郎君はのんびり近づいてくる。
「たろううううっっッッ!!!」
上品な奥様、もはや絶叫口調。
おかしいやら気の毒やら。 笑ってはあんまり奥様が気の毒か。 仕方なく私たちがUターンして違う道を選んで帰ることにしました。
ノアは、ずっとあまり興味無さそうに太郎君を眺めていて、私が 「こっちから帰るよ。」 と話しかけると (あ、そう) という感じで太郎君を振り返ることも無く従ってくれました。よかった。
振り返って見ると、怒り爆発の奥様、ワンピースのすそを翻して早足で太郎君に近寄るとリードを装着。 太郎君も奥様の怒りのオーラに、逃げることも無くおとなしくつながれてましたっけ。 奥様はそして余程腹立たしかったのでしょう、いきなり帰りだしました。
あーあー・・・ まだ太郎君、3分ぐらいしか歩いてないのに。
見慣れぬ黒犬と出会ったばっかりに、災難だったね。
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