MUSIC春秋
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 2005年08月19日(金)
教え

芋畑


高校3年生のある日
入り浸っていた楽器屋で
なんとなくお喋りしていたら
そのうち話題が尽きたので
会話を質問形式にしようと
店員が言った。
最初のうちは他愛のない内容で
冗談交じりに楽しんでいたが、
「宗教についてどう思うか。」
と聞かれた私が
「宗教にのめり込む人の気が知れない。
 お祈りしている暇があったら
 何か行動を起こした方がよっぽどいい。」
と言ったとき
その人は急に真面目な顔になって
「AさんがBさんの悪口をCさんに言ったとする。
 その時Cさんは何も言わずに聞くかもしれないが
 心の中ではAさんのことをかわいそうな人だと
 軽蔑するんだ。」
という意味のことを言い始めた。
(実際の台詞とは違います。)
私はその意味が理解できなかったわけではないけど
歳の割にはとてもコドモだったので、
“質問に正直に答えたのに
 なんで突然説教されなければいけないのか”
と、ちょっと気を悪くした。
しかもその(宗教についての)答えは
実は私自身の意見ではなく
当時の世界史の教師の受け売りだったので
先生がそう言ったのに。
てなことを思っていたと思う。


今はその楽器屋の言った意味が
とてもよく理解できる。
嬉しそうに人の悪口を言っている人を
はたから見ていると、とても哀れで滑稽だ。

そして
今は黙ってそんなことを考えている自分も
いつかそれを誰かの前で口に出した瞬間に
哀れで滑稽な人間になる。



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