MUSIC春秋
目次前日翌日
 2004年08月17日(火)
握手

♪あのさぁ/大槻ケンヂ
視線の先には2匹の仔猫。視線の先には・・・


今年もオーケンちゃんの
「真夏のアンプラグド」に行った。

先月亡くなったばかりの中島らもさんの話を
どんな風にするのかと思っていたら
「対談の予定の日の前に死んじゃった。」とか
「追悼ライブにはらもさんの幽霊も参加するんじゃないか。」
とか、意外にもカラッと話してみせた。

私が中島らもさんの本を読んだのは
オーケンちゃんの本を読んだのがきっかけだった。

オーケンちゃんはMCの中で一度も
しんみりとさせるような話はしなかったのに
「らもさんと一緒に歌ったことがある」という
“プカプカ”を聴いたら
何故だか泣けてしまった。

「シラフで演るのは5年ぶり」という
オーケンちゃんの表情は
いつもより硬かったけど
その分、
時々見せるちょっと照れたような笑顔は
とても温かかった。
以前は「気持ち悪・・・」(ごめん)
と思ったこともある『あのさぁ』に
溢れている優しさを
素直に受け入れることができた。

終演後、
客席から退場するオーケンちゃんに
左手を差し出すと
私の瞬間的な予測よりも
長く、しっかりとした握手。
その時彼の右手は遠方の客席に向かって振られ
顔は私に向けられることはなかったけど
確かに心のこめられた握手。
ステージの下でいつも私が感じている彼の人柄が
決して錯覚ではないことを教えてくれるような。
長く感じてもほんの2、3秒のその握手の感触は
それから何時間もずっと心から離れず
今まで何人ものミュージシャンに
握手してもらったのに
こんな気持ちは初めてかもしれないと思うほど
私は今猛烈に感動している。



目次前日翌日

MY追加mail