2004年08月15日(日)
プラタナス
♪Stay Gold/Stevie Wonder
最高気温38℃を初めて経験したのは 高校3年の夏休みだった。
夏休みと言えど 実習やインターハイの手伝い(プラカード持ちやお茶汲み) そしてバンドの練習のため 毎日、学校へと私は自転車を走らせていた。
今なら、 ギラギラと紫外線が照りつける酷暑の最中に 20分も自転車に乗って出かけるなんて とても考えられないけれど あの頃は平気だった。 学校に行けば あの子に会えるから。 たとえ片思いでも。
通学路に植えられた街路樹のプラタナスの緑が 青い空に映えて輝くのを仰ぎ 白い綿シャツに汗をにじませながら 真夏を実感した。 夏は美しいと実感した。 「まだたったの17回しか 夏を経験していないんだなあ。」 なんとなく不思議に思った。 「17回目の夏は、二度と来ないのか。」 青い空とプラタナスの緑を目に焼き付けるように 何度も仰いだ。
その後10年間、同じ道を通勤し 夏になるたびに同じ気持ちを味わいたくて 街路樹を仰いでみたけれど いつからか 夏になる前に枝を打たれるようになり あの日と同じ輝きは見られなくなった。 そして歩道の整備とともに プラタナスはハナミズキや他の木に 次々と植え替えられて行った。
| しかし、工事は 町中に及んだわけではなく 1.5Kmに及ぶその通りの 東西のはずれには 今でも幾十本かの 節だらけでごつごつになった 古びたプラタナスが 残っている。
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| あの日のように たっぷりと繁った緑の輝きは もう見られないけど |
| 気付けばもう あれから20回も 夏を経験してしまった。 |
| 同じ輝きを見られないのは |
| プラタナスのせいでは ないのかもしれない。 |
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